1. ミネラルが豊富!海苔の栄養素と効果とは

最初に海苔の栄養成分について紹介しよう。
一枚だとどのくらい?海苔の栄養成分
海の野菜といわれるくらい、海苔には多くの栄養成分が含まれている。まず、海苔に含まれるおもな栄養成分が、100gあたりでどのくらい含まれているかを解説しよう。(※1)
- 葉酸:1200μg
- 鉄分:11.0mg
- 亜鉛:3.7mg
- 食物繊維:31.2g
- ビタミンC:160mg
- ビタミン B1:1.21mg
- ビタミン B2:2.68mg
- ビタミンA(レチノール活性当量):3600μg
では一枚(3g)あたりでは、どのくらいの量が含まれているのだろうか。(※1)
- 葉酸:36μg
- 鉄分:0.3mg
- 亜鉛:0.1mg
- 食物繊維:0.9g
- ビタミンC:4.8mg
- ビタミン B1:0.04mg
- ビタミン B2:0.08mg
- ビタミンA(レチノール活性当量):108μg
次にそれぞれの栄養成分の効果と海苔一枚あたりの含有量が、栄養の摂取目安に対してどの程度かを解説する。ちなみに海苔一枚のサイズは、原則として縦が21cmで横が19cmだ。この一枚のサイズを全型と呼ぶ。また海苔の単位は帖で表し、一帖は全型の海苔10枚だ。
海苔の栄養:葉酸
葉酸は代謝に関与するビタミンで、DNAとRNAのような核酸、たんぱく質の生合成を促す働きがあり、細胞の生産と再生を助けるため、身体の発育に重要である。一日の摂取の推奨量は成人男性(30~49歳)で240μgだ。
海苔の栄養:鉄分
鉄分は人体に必要なミネラルの一種だ。赤血球のヘモグロビンに多く存在しており、不足すると貧血を起こすことがある(※3)。一日の摂取の推奨量は成人男性(30~49歳)で7.5mgだ。2枚食べたとしても0.6mgで、別の食品から6.9mg補うといいだろう(※4)。
海苔の栄養:亜鉛
亜鉛は欠乏すると肌あれや爪の障害、抜け毛などが現われる(※5)。一日の摂取の推奨量は成人男性(30~49歳)で10mgだ。2枚食べたとしても0.2mgで、別の食品から9.8mg補いたい(※6)。
海苔の栄養:食物繊維
水に溶けやすい水溶性食物繊維は小腸で栄養素の吸収速度をゆるやかにし、食後の血糖値上昇を抑える働きがある。水に溶けにくい不溶性食物繊維は水分を吸収し、便の容積を増やす。一日の摂取の目標量は成人男性(30~49歳)で21g以上だ。2枚食べたとしても1.8gで、別の食品から19.2g摂取するのがおすすめだ(※7)。
海苔の栄養:ビタミンC
ビタミンCは毛細血管や歯、軟骨を正常に保つ効果が期待できる。一日の摂取の推奨量は成人男性(30~49歳)で100mgだ。2枚食べたとしても9.6mgで、できれば別の食品から90.4mg摂取したい(※8)。
海苔の栄養:ビタミンB群
ビタミンB群は体内のさまざまな代謝に必要である酵素の働きを補っている(※9)。一日の摂取の推奨量は成人男性(30~49歳)でビタミンB1が1.4mg(※10)ビタミンB2が1.6mgだ(※11)。2枚食べたとしてもビタミンB1が0.08mgで、ビタミンB2が0.16mgである。1日の摂取量に達するには別の食品から補いたい。
海苔の栄養:ビタミンA
ビタミンAの主要成分のレチノールは、目と皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める働きがある。一日の摂取の推奨量は成人男性(30~49歳)で900μgだ。2枚食べたとしても216μgで、別の食品から684μg摂取するといいだろう(※12)。
2. 海苔の栄養、食べ過ぎにはデメリットも?

次に海苔の栄養を摂取しすぎるとデメリットがあるかを解説する。
ヨードの過剰摂取になる
ヨードとは甲状腺ホルモンの主原料だ。 甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進し、子どもの場合は成長ホルモンとともに成長を促す働きがあるので、ヨードは身体に必要なミネラルといえるだろう。しかし甲状腺ホルモンを作るために必要なヨードはわずかで、一日あたり0.05~ 0.15mgだ。ヨードが多く含まれている食品は海藻類で、とくに昆布が群を抜いており、続いてひじきだ。わかめや海苔に含まれる量は、先述した2つと比較するとはるかに少量だ(※13)。少量だからといってあまり食べ過ぎるのは健康に悪い影響を与えるかもしれない。
海苔の一日の摂取量の目安
海苔は一日2枚(全型)食べると健康によいといわれている(※2)。手でつまんでストックしておくと気軽に食べることができるので、おやつがわりに食べる習慣をつくってみてはいかがだろうか。
3. いろいろな海苔の栄養成分

ここではいろいろな海苔に含まれる栄養成分を紹介しよう。
海苔の佃煮の栄養:三島食品「のり佃煮」
三島食品の「のり佃煮」に含まれるおもな栄養素と量を紹介する。のり佃煮の量は5gあたりだ。(※14)
- たんぱく質:0.2g
- 脂質:0.0g
- 炭水化物:1.6g
- ナトリウム:120mg
- 食塩相当量:0.3g
では5gあたりの海苔に同じ栄養素はどのくらい含まれているのだろうか。(※1)
- たんぱく質:2.0g
- 脂質:0.2g
- 炭水化物:2.0g
- ナトリウム:30.5mg
- 食塩相当量:0.1g
のりの佃煮のほうが海苔より食塩相当量が多いので、食べ過ぎには注意したいところだ。
韓国海苔の栄養:ニコニコのり「韓国味のり」
ニコニコのりの「韓国味のり」に含まれるおもな栄養素と量を紹介する。韓国味のりの量は4gあたりだ。(※15)
- たんぱく質:1.1g
- 脂質:0.9g
- 炭水化物:1.2g
- 糖質:0.2g
- 食物繊維:1.0g
- 食塩相当量:0.4g
では4gあたりの海苔に同じ栄養素はどのくらい含まれているのだろうか。(※1)
- たんぱく質:1.6g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:1.5g
- 糖質:0.3g
- 食物繊維:1.2g
- 食塩相当量:0.1g
韓国味のりも海苔より食塩相当量が多いので、食べ過ぎには注意したいところだ。
4. 海苔とわかめの栄養の違い

最後にわかめ100gあたりに含まれる栄養素をピックアップして紹介しよう。海苔と比べるとどちらのほうが栄養が多く含まれているのだろうか(※16)。
- 葉酸:29μg
- 鉄分:0.7mg
- 亜鉛:0.3mg
- 食物繊維:3.6g
- ビタミンC:15mg
- ビタミン B1:0.07mg
- ビタミン B2:0.18mg
- ビタミンA(レチノール活性当量):79μg
100gの量で比較すると、すべて海苔のほうが栄養素が多く含まれている。ただし海苔を100g食べるとなると大変な量で、先述したようにどちらもヨードが含まれているため、適度な量を摂取したいものだ。
結論
海苔に含まれる栄養や摂取して期待できる効果、食べ過ぎのデメリットを紹介した。先述したように海苔の一日の摂取量の目安は全型で2枚だ。もちろんそれ以上食べてはいけないというわけではないが、ヨードや塩分の摂取し過ぎに注意して食生活に取り入れてもらいたい。
(参考文献)
※1出典:文部科学省「藻類/あまのり/ほしのり」
※2出典:一般社団法人おにぎり協会「【海苔のはなし】vol.7 驚くべき海苔の栄養」
※3出典:厚生労働省「鉄」
※4出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量」
※5出典:公益財団法人 日本豆類協会「亜鉛」
※6出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「亜鉛の働きと1日の摂取量」
※7出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「食物繊維の働きと1日の摂取量」
※8出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンCの働きと1日の摂取量」
※9出典:厚生労働省「ビタミン」
※10出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンB1の働きと1日の摂取量」
※11出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンB2の働きと1日の摂取量」
※12出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンAの働きと1日の摂取量」
※13出典:昭和大学横浜市北部病院 外科系診療センター 外科「甲状腺とヨードについて」
※14出典:三島食品株式会社「のり佃煮」
※15出典:ニコニコのり株式会社「韓国味のり」
※16出典: 文部科学省「藻類/わかめ/原藻/生」
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