1. 栄養がないは嘘!セロリの栄養と気になる効果効能

生で食べて美味しいだけではなく、独特の芳香が料理におけるアクセントにもなるセロリ。セロリには思いのほかさまざまな栄養が含まれている。セロリが含む栄養、またその栄養がもたらす効能について見てみよう。
セロリの栄養成分表
涼しく水に恵まれた気候を好むセロリは、瑞々しさが特徴の野菜である。そのため、可食部100g中、94.7gは水分である。そのセロリには、主に以下のような栄養が含まれている。
セロリ(生)可食部100g当たりの栄養(※1)
また、セロリ100g当たりのカロリーは12kcal、糖質は2.1g。セロリ同様にせり科に属するパセリや三つ葉と比較すると、カロリーは低く糖質はわずかに高いという特徴がある。いずれも非常に低いことから、ヘルシーな食材であることは自明の理である。また、リンやカルシウムなどのミネラルも豊富に含んでいる。
ビタミンB1
ビタミンB1は糖質の代謝のために重要な役割を果たす栄養素である(※2)。ビタミンB1が欠乏すると、糖分からエネルギーへの変換がうまく行えず疲労感を覚える可能性も高くなる。
ビタミンB2
ビタミンB2は、エネルギーの代謝に深く関連する栄養素である(※3)。ビタミンB2が不足すると、口内炎などのトラブルの原因となる。
ビタミンC
美容には不可欠とされるビタミンCは、皮膚や細胞に必須のたんぱく質であるコラーゲンの合成に必要不可欠な栄養素である(※3)。ビタミンCの不足は、疲労感や倦怠感、貧血などさまざまな症状を喚起する可能性がある。ビタミンCを多く含む野菜にはブロッコリーがある。ブロッコリー100g中には、140mgのビタミンCが含まれている。これは、セロリが含む量のおよそ20倍である。
βカロテン
βカロテンは、体内でビタミンAとなる。ビタミンAは、生活習慣病の原因となる過酸化脂質をコントロールするという働きがある(※5)。ビタミンAの欠乏は、発育不良や皮膚の乾燥などの症状を引き起こすこともある(※4)。βカロテンを多く含む野菜にはほうれん草やにんじんがあげられる。これらの野菜には、100gあたり600μg以上のβカロテン量が存在しており、これはセロリの含有量の10倍以上となる。
食物繊維
食物繊維は胃や腸で消化されず、大腸まで達する栄養素である。そのため、整腸作用があるのはもちろん、コレステロールや血糖値にもよい影響をもたらすことが報告されている(※6)。食物繊維はさまざまな野菜に含まれており、たとえば大根100g中には1.4gが含有されている。セロリ100g当たりの食物繊維量は1.5gである。
カリウム
カリウムはミネラルの一種であり、野菜や果物に多く含まれる栄養素である。カリウムの最大の特徴は、塩分の過剰摂取に有効な栄養素であるという点にある。カリウムを多く含む野菜のひとつにはほうれん草があり、100g中690mgのカリウムを有している。セロリには、410mgのカリウムが含まれている。
セロリの香り成分
セロリには独特の香りがあるが、これはアピインとセネリンという栄養素に起因する。この2つの栄養素には、リラックス効果があることが報告されている。その香りをさまざまな料理に応用して楽しみたい。
2. セロリの栄養のダイエット効果

セロリを栄養学的に見れば、それだけでもさまざまな効能があることがわかる。同時に、セロリはダイエット効果も高い食材とされている。まず、セロリには多量のカリウムが含まれている。カリウムは体内の塩分をコントロールするためむくみの解消につながるとされている(※8)。また、セロリに含まれるビタミンB群は体内の代謝と深く関連する栄養素とされているため(※9)、脂肪などの燃焼効果が期待できる。繊維質もあることから便秘の解消はもちろん腹持ちの点でも期待できるセロリは、積極的に摂取してダイエットに活用してみよう。ただし、セロリだけを過剰摂取して栄養のバランスが崩れないよう、用心は必要である。
3. セロリの栄養の効果的な食べ方

現代人に必要な栄養素を多数有しているセロリは、ぜひ効果的に食べたいものである。セロリの多くは、サラダ感覚で生で口にすることが多いが、それ以外にも効率的に摂取する方法はあるのだろうか。セロリのベストな食べ方について説明する。
加熱して食べる
生でその食感を楽しむことが多いセロリであるが、加熱することで繊維が柔軟になり多量の摂取が可能になる。また、水溶性のビタミンを逃さないために、セロリをスープの具材にするのもひとつの手である。サラダのセロリが食べ飽きたら、加熱して趣を変える食べ方も一興である。
旬のセロリを食べる
セロリにかぎらず、旬の野菜は栄養素も最大数になることは明白である。セロリの旬は夏の終わりから秋にかけてであり、新鮮なものは瑞々しい緑色をしている。質のよいセロリの選び方は、茎の部分がキレイに湾曲し表面や切り口が乾燥していないものを選ぶとよいだろう。
茎だけでなく葉も食べる
セロリといえば、茎の部分の食感を楽しむ野菜というイメージである。しかし、葉の部分には茎以上の栄養が含まれていることが多く、セロリならではの栄養を葉を食べることで多量に摂取できるのである。たとえばβカロテンに関しては、葉の部分の含有量は茎の部分の2倍にもなる。葉は茎の部分よりもデリケートであるため、保存方法などに留意して摂取するようにしよう。
すぐに食べない時は冷凍する
セロリの栄養素を効果的に摂取するためには、正しい保存方法を覚えておくのも大事である。セロリは葉の部分から水分が失われやすいため、茎と葉の部分は切断してビニール袋などに入れ、垂直にして冷蔵庫で保存するとよい。また、すぐに食べない場合にはセロリを冷凍することも可能である。冷凍する場合には、茎も葉も解凍後に使いやすい大きさにカットして、専用の袋に入れて冷凍庫に入れる。冷凍した場合は、最大で1ヶ月を目安に使いきろう。
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4. セロリの栄養は妊婦に危険?

妊娠中にセロリを摂取することは危険という噂がある。その要因となっているのが、セロリの種を原料にするセロリシードに流産を誘発する子宮収縮の作用があるためとされている。しかし、セロリそのものにはそうした作用は認められていない。むしろ、セロリに含まれる繊維や葉酸、カルシウム、βカロテン、鉄分は、妊娠中に摂取が推奨されている栄養素である。それらを有しているセロリは、妊婦も日常的に食べるほうがメリットが大きい。また、セロリの香りの素となっているアピインとセネリンはストレスの軽減にもつながる要素である。妊娠中はぜひ、さまざまな料理法でセロリを食べて健康を維持してほしい。
結論
セロリは、1955年以降日本の食卓に普及したといわれている。独特の食感と香りは好き嫌いが分かれるものの、サラダやスープの具としても使用頻度は高い。セロリには健康に有益な栄養素が多く含まれており、子どもから大人まで日常的に摂取したい野菜である。妊娠中の女性の健康にも寄与する栄養が多く、適量を食べることは心身の健康につながるだろう。新鮮なセロリは正しく保存し、その栄養素を効果的に取り入れてほしい。
(参考文献)
1.文部科学省「食品成分データベース(野菜類・セロリ・葉柄・生)」
2.小学館「デジタル大辞泉(ビタミンB1)」
3.厚生労働省「水溶性ビタミン」
4.小学館「デジタル大辞泉(ビタミンA)」
5.厚生労働省「e-ヘルスネット(カロテノイド)」
6.厚生労働省「e-ヘルスネット(食物繊維の必要性と健康)」
7.厚生労働省「e-ヘルスネット(カリウム)」
8.一般財団法人日本educe食育総合研究所「『むくみ』に効く!3つの栄養素と食材」
9.公益財団法長寿科学振興財団「ビタミンB1の働きと1日の摂取量」
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