このサイトは、画面を 
縦にしてご覧ください。
うなぎの効果は何がある?豊富な栄養で精がつくって本当?

うなぎの効果は何がある?豊富な栄養で精がつくって本当?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

鉛筆アイコン 2021年10月27日

高級魚として知られるうなぎ。土用の丑の日に食べる習慣からもわかるように、うなぎは精がつく栄養豊富な魚というイメージがある。では、うなぎには具体的にどのような栄養が含まれているのか。夏バテの味方としても知られるうなぎの栄養について詳細を説明する。

  

1. うなぎの栄養成分

うなぎの蒲焼
文部科学省の食品成分データベース上で、うなぎの食べ方としては最も一般的なかば焼きの栄養成分を見てみよう。(※1)うなぎには、ビタミンAをはじめとするさまざまなビタミン類、カルシウムやリンに代表されるミネラルが豊富に含まれていることがわかる。うなぎに含まれる栄養素とそれぞれの効能を具体的に見てみよう。

ビタミンA

うなぎのかば焼き100g中には、1500μg(レチノール活性当量)のビタミンAが含まれている。(※1)これは、魚介類の中でもトップレベルに位置する。(※2)ビタミンAは、とくに目や皮膚を守る効能で知られている。ビタミンAが不足すると皮膚の角質化などが起こりやすい。成人男性の1日推奨摂取量は900μg前後であるため、うなぎのかば焼き100gでその数字をカバーできる。

ビタミンB1

ビタミンB1は糖分の代謝に必須の成分であり(※3)、体内におけるさまざまなエネルギー産生を助ける役割を担う。(※4)ビタミンB1の不足は、神経炎を誘発する可能性もある。(※3)成人男性ならば、1日あたり1.4mgのビタミンB1の摂取が理想とされている。(※4)うなぎのかば焼き100g中には、0.75mgのビタミンB1が含まれており、ほかと比べても比較的多い数字である。(※1)

ビタミンB2

ビタミンB2は糖質や脂質の代謝に関連する、水溶性ビタミンである。(※5、6)。発育には必須の栄養素であり、髪や皮膚の再生にも関わっている。(※6)不足すると口角炎や頭痛などの原因になることもある。(※5)成人男性ならば、1日1.6mgのビタミンB2を取り入れるのが理想とされている。うなぎのかば焼き100g中には、ビタミンB2が0.74mg存在している。

ビタミンD

ビタミンDは骨や歯の発育に必要な栄養素であり、カルシウムなどのミネラルの吸収を促進する働きがある。(※7)日本人は魚介類からビタミンDを摂取する傾向にあり、成人男性の1日の摂取目安量は5.5μgとされている。(※7)うなぎのかば焼き100g中には、19μgのビタミンDが含まれている。(※1)ビタミンDの欠乏は、骨粗しょう症など骨に関する疾病を招きやすくなる。(※7)

ビタミンE

ビタミンEには細胞の酸化を防ぎ、老化を予防する作用がある。野菜や植物性の油に多く含まれるビタミンEだが、うなぎのかば焼き100g中にも4.9mg含まれている。(※1)成人男性が1日に摂取すべきビタミンEの目安量は6.5mgである。(※8)

ミネラル類

うなぎのかば焼き100g中に含まれる主なミネラルは、以下のような数字である。(※1)
  • 亜鉛:2.7㎎
  • 鉄:0.8㎎
  • カルシウム:150㎎
このうち亜鉛は、皮膚や肝臓、前立腺など重要な臓器に存在する成分である。(※9)また、DNAや精子の生成にも不可欠とされている。(※9)亜鉛の不足は免疫機能を低下させたり、肝胆系の疾患を招くこともある。(※10)成人男性が1日に摂取すべき亜鉛の推奨量は10mg。うなぎのかば焼き100gには2.7mgの亜鉛が含まれている。(※9)
また鉄は、体内における酸素の運搬という大切な役目を担っている。日本人に不足しがちなミネラルであるため、意識して摂取することが肝要である。(※11)。成人男性の1日推奨摂取量は7.5mgであり(※11)、うなぎのかば焼き100gを食べると0.8mgを取り入れることができる。(※1)
ミネラル成分の中でも最もよく知られているカルシウムは、骨の形成のために必要な成分である。(※12)そのほか、細胞や筋肉もカルシウムを必要としている。(※12)成人男性の場合、カルシウムは1日に650~700mg摂取することが推奨されている。(※12)うなぎのかば焼き100gには、150mgのカルシウムが含まれている。(※1)

DHA・EPA

近年、サプリメントなどで注目されているDHAやEPAとはどのような栄養素なのだろうか。DHAは不飽和脂肪酸のひとつであり、正式名をドコサヘキサエン酸という。飽和脂肪酸が中性脂肪などを増やす要因であるのに対し、不飽和脂肪酸は健康維持に有益なものとされている。(※13)DHAは血管を拡張する役割があり、血流をよくすることができる。また、脳の働きもサポートする栄養素なのである。(※13)またEPAは、血管の血栓を防ぐ効能があるうえ、消化管ホルモンの分泌を促す作用も認められている。(※13)うなぎにはいずれの不飽和脂肪酸も含まれている。(※1)

2. うなぎの効果と効能

うな重
古来よりスタミナ源として知られてきたうなぎには、さまざまな栄養素が含まれているのである。こうした栄養素をうなぎから摂取することで、どのような効果や効能が期待できるのだろうか。

目や皮膚の粘膜の健康を保つ

うなぎには豊富なビタミンAが含まれている。その主要成分であるレチノールは、目の健康に寄与することで知られている。(※2)目の粘膜を保護し、薄暗い場所でも視力を保てる働きを発揮する。(※2)ビタミンAによる粘膜の保護は目だけではなく、皮膚にもおよぶ。(※2)

骨や皮膚、からだの発育を促す

うなぎには、数々のミネラル成分やビタミン類が内包されている。とくにカルシウムや亜鉛など、骨や重要な臓器に不可欠のミネラル成分が多く、からだの成長に深く関わっているといってよいだろう。(※9・10・11)また、うなぎに含まれるビタミンB群は、体内におけるさまざまなエネルギーの生成を助けているのである。(※4・6)

血管の健康を保ち、血液の流れをよくする

うなぎには、血流の健康に関与する栄養素も多い。ビタミンEは、血管の健康を維持するために有益である。(※8)また、不飽和脂肪酸であるDHAやEPAも多く含むので、血栓を防いだり血管を広げる作用も期待できるのである。(※13)

アンチエイジング

昨今話題の抗酸化作用。この作用をうなぎも有している。うなぎに含まれるビタミンEには細胞の酸化を防ぎ、老化を防止する作用があるのである。(※8)つまり、うなぎはアンチエイジングの要素も持っていることになる。

発がん物質の効果低減

近年の研究で、ビタミンAの主成分レチノールには発がん物質の効果を低下させることが明らかになったという。(※2)うなぎを食べたからといってがんを抑制できるという短絡的なことではないにせよ、今後の研究に注目したい。

3. 焼いたうなぎや肝の栄養成分

うなぎの肝焼き
うなぎはかば焼きにして食べることが多いが、肝の美味を愛する人がいれば、白焼きにしてわさび醤油で食べるのが好きな人もいるだろう。それぞれの食べ方における栄養成分も見てみよう。

かば焼きの栄養

もう一度、かば焼きの栄養を復習してみよう。100gあたりに含まれる栄養成分は、以下のようになる。(※14)
  • ビタミンA:1500μg
  • ビタミンB1:0.75㎎
  • ビタミンB2:0.74㎎
  • ビタミンD:19μg
  • ビタミンE:4.9㎎
  • 亜鉛:2.7㎎
  • 鉄:0.8㎎
  • カルシウム:150㎎
  • n3系多価不飽和脂肪酸:2.87g

白焼きの栄養

食通たちに愛されるうなぎの白焼きの栄養はこちらである。(※14)
  • ビタミンA:1500μg
  • ビタミンB1:0.55㎎
  • ビタミンB2:0.45㎎
  • ビタミンD:17μg
  • ビタミンE:5.3㎎
  • 亜鉛:1.9㎎
  • 鉄:1.0㎎
  • カルシウム:140㎎
  • n3系多価不飽和脂肪酸:2.27g

肝の栄養

うなぎの肝は癖になる美味しさがあり、肝焼きはうなぎ屋でも人気のメニューである。その肝の栄養素を紹介する。ただし、焼いた肝の栄養価はデータベースに掲載されていないので、ここでは生の肝の栄養素をご紹介しよう。(※14)
  • ビタミンA:4400μg
  • ビタミンB1:0.30㎎
  • ビタミンB2:0.75㎎
  • ビタミンD:3.0μg
  • ビタミンE:3.9㎎
  • 亜鉛:2.7㎎
  • 鉄:4.6㎎
  • カルシウム:19㎎
  • n3系多価不飽和脂肪酸:0.79g

4. うなぎを食べると精がつくといわれる理由は?

鰻
平賀源内が提唱したといわれる土用の丑の日のうなぎ。夏バテ防止のために食べるとされるうなぎには、精がつく食べ物というイメージがある。これまで見てきたように、うなぎには豊富なビタミンやミネラルが含まれている。エネルギーの産生や免疫機能を支えてくれる栄養素も多いため、精がつく、すなわち元気を維持できるという言い伝えもあながち外れてはいないのである。
それでは、うなぎさえ食べていればすべての栄養素が網羅できるのだろうか。

うなぎだけでは栄養は不足する?

多種のビタミンやミネラルを含む完全食品に見えるうなぎであるが、決定的に欠如している栄養素もある。それが、食物繊維とビタミンCである。食物繊維は大腸まで到達し、腸内環境を整える作用がある。(※15)また美容に不可欠とされるビタミンCは、コラーゲンを作り出すために必要な栄養素である。(※16)いずれの栄養素も、健康のために、うなぎ以外の食材で補うようにしよう。

結論

高級食材でもあるうなぎは、美味しいだけではなく栄養面においてもメリットが多い。さまざまなビタミンやミネラルを含んでいるので、健康のために役立つことは間違いない。つまりうなぎを食べれば精がつくという言い伝えも、あながち外れていないのである。とはいえ、うなぎに欠けている栄養素もあることから、バランスのよい食べ方を心がけてほしい。
(参考文献)
1.文部科学省「食品成分データべース(魚介類/<魚類>/うなぎ/かば焼)」
2.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンAの働きと1日の摂取量」
3 .旺文社「生物事典(ビタミンB1)」
4.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンB1の働きと1日の摂取量」
5.旺文社「生物事典(ビタミンB2)」
6.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンB2の働きと1日の摂取量」
7.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンDの働きと1日の摂取量」
8.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンEの働きと1日の摂取量」
9.公益財団法人長寿科学振興財団「亜鉛の働きと1日の摂取量」
10.小学館「日本大百科全書(亜鉛)」
11.公益財団法人長寿科学振興財団「ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量」
12.公益財団法人長寿科学振興財団「カルシウムの働きと1日の摂取量」
13.一般財団法人教職員生涯福祉財団「DHA/EPA」
14.文部科学省「食品成分データベース(魚介類/<魚類>/うなぎ/)」
15.公益財団法人長寿科学振興財団「食物繊維の働きと1日の摂取量」
16.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンCの1日の働きと摂取量」
この記事もCheck!
インフォメーションマークアイコンオリひとを楽しむための注意事項はこちら
  • 更新日:

    2021年10月27日

この記事をシェアする      
  • Facebook
  • Twitter
  • Hatebu
  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

人気記事一覧

急上昇
週間

新着記事一覧新着記事一覧