1. 食物繊維とは?

食物繊維は難消化性の成分であり、おもに腸の働きを助ける栄養素として知られている。(※1)近年の研究で食物繊維の働きは広範囲に及ぶことが判明し(※1)、食後の血糖値を抑えたりコレステロールの値を下げるなどの作用もあることが報告されている。(※2)植物繊維には2種類がある。それぞれのタイプについて特徴を見てみよう。
水溶性食物繊維
食物繊維の中でも、水に溶けるタイプを水溶性食物繊維と呼ぶ。水溶性食物繊維は水分を吸収してジェル状になる特徴がある。(※3)ペクチンやアルギン酸がこのタイプの代表で、海藻やこんにゃくに多く含まれる。腸内細菌に栄養を与えるほか、食後の血糖値を抑える働きをするのも水溶性食物繊維である。(※3)
不溶性食物繊維
食物繊維には不溶性のタイプも存在する。不溶性食物繊維は水を吸収すると十数倍に膨張することから、整腸や排便を促進するのである。(※4)有害物質を便とともに排出する働きがあるため、腸内をキレイにする効果が望める。(※2)セルロースやキトサンといった食物繊維が、不溶性として知られている。
食物繊維の摂取推奨量
食物繊維は健康維持のために重要な役割を果たしている。現在の日本人は、食物繊維の摂取が不足しているという報告もある。(※2)成人男性であれば、1日に摂取すべき食物繊維の目標量は21g以上である。健康のために意識して摂取したい。
2. ごぼうの食物繊維

知れば知るほど、その重要性に目から鱗が落ちる食物繊維。ごぼうには、この食物繊維が豊富に含まれているといわれている。(※1)
この項目では100g当たりのごぼうの食物繊維量を紹介するが、ごぼう1本の平均重量は150gといわれている。食物繊維摂取量の参考にしてほしい。
ごぼうの食物繊維量
まずは生のごぼうの食物繊維量を見てみよう。水溶性と不溶性の数字にも注目しよう。(※5)
生のごぼう100g当たりの食物繊維量
茹でたごぼうの食物繊維量
ごぼうは生で食べることがほとんどない野菜である。実際に食べる場合を想定し、茹でたごぼうの食物繊維量を見てみよう。(※6)
茹でたごぼう100g当たりの食物繊維量
ごぼうの加工品にも食物繊維は多い?
ごぼうには加工品も存在する。山ごぼうの味噌漬けやごぼう茶、葉ごぼうなど、食卓を彩るごぼうは少なくない。これらのごぼうの加工品にも、豊富な食物繊維が含まれていることは同じである。ごぼうの加工品も美味しく食べて、その食物繊維を取り入れたいものである。
3. ごぼうの食物繊維の特徴

ごぼうに含まれる食物繊維の特徴として、水溶性と不溶性のバランスのよさがあげられる。食物繊維を多く含む野菜における水溶性と不溶性の割合を見ると、不溶性の食物繊維の値が水溶性の3~5倍であることが多い。(※2)しかし、ごぼうは2種類の食物繊維の値の差がそれほど大きくなく、非常に均衡がとれているといえるのである。
ごぼうの食物繊維の効果・効能
ごぼうの特徴は、2種類の食物繊維がほぼ均等に含まれていること。ほかの野菜は、不溶性食物繊維が多い傾向にあるため、便秘の改善などには大いに役に立つと考えられる。一方、ごぼうには不溶性食物繊維だけでなく、水溶性食物繊維も多く含まれている。水溶性食物繊維は、コレステロール値や血糖値の調節にも一役買ってくれるので(※2)、生活習慣病の予防のためにも、ごぼうをぜひ定期的に摂取したい。(※2)
ごぼうのそのほかの栄養素
ごぼうに含まれる食物繊維以外の栄養素を、文部科学省の食品成分データベースから拾ってみよう。(※5)
ごぼう(生)100g当たりの主な栄養素
ビタミンは突出して多いとはいえないが、ミネラルはある程度含まれているといえる。
4. ごぼうの食物繊維量は多い?

茹でた状態のごぼうは、100g中に6g強の食物繊維を有している。とはいえ、この数字だけ目にしても、多いのか少ないのか判断に迷うところである。ほかの野菜と比べて、ごぼうの食物繊維量がいかに多いかを比較して実感してみよう。
野菜の中ではトップクラス
ごぼうは、ほかの野菜と比べると、ビタミンなどの栄養素が少ないというデメリットがあるものの、食物繊維の豊富さがその欠点を補ってあまりある。ごぼう以上の食物繊維量を誇る野菜は、あまりないと考えられる。
また前述したように、水溶性と不溶性のバランスに関しては、他の追随を許さない存在である。さらにモロヘイヤやしそなど、食物繊維が多いほかの野菜と比べると、手軽に一定量食べられる点も、ごぼうの長所といえるだろう。
野菜以外で食物繊維を補うなら?
率先して摂取すべき食物繊維であるが、野菜以外にはどんな食材に多く含まれているのだろうか。ライ麦やオートミールなどの穀類、きのこ類、豆類、干し果物にも食物繊維は豊富に含まれている。ほかの栄養素とのバランスも考慮して、上手に献立に組み入れるようにしよう。
結論
きんぴらごぼうや味噌汁の具など、食卓に登場する頻度が高いごぼう。ごぼうは豊富な食物繊維が含まれているだけでなく、水溶性と不溶性のバランスが突出してよい食材なのである。それだけでなく、ごぼうにはさまざまなミネラルも含まれている。日本人が古来から愛してきたごぼうを、現代人のわれわれも大いに堪能したいものである。
(参考文献)
1.小学館「日本大百科全書(食物繊維)」
2.公益財団法人長寿科学振興財団「食物繊維の働きと1日の摂取量」
3.小学館「デジタル大辞泉(水溶性食物繊維)」
4.小学館「デジタル大辞泉(不溶性食物繊維)」
5.文部科学省「食品成分データベース(野菜類/ごぼう/根/生)」
6.文部科学省「食品成分データベース( 野菜類/ごぼう/根/ゆで)」
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