目次
1. ぶどうの基本と一般的な旬を押さえよう

ごく気軽に食べることができる価格のものから箱入りの高級品種まで、ぶどうは種類が多い。まずはぶどうの歴史、主な品種、そして一般的なぶどうの旬について概略を見てみよう。
ぶどうってどんな果物?
ぶどうはブドウ科ブドウ属であり、全世界ではオレンジについで2番目に栽培量が多い果物である。その栽培が始まったのは紀元前3000年ともいわれている。日本をはじめ世界中に野生種が分布しているが、栽培種はヨーロッパとアメリカの品種が主である。航海を得手としたフェニキア人によって紀元前1500年頃にギリシアにもたらされたぶどうはその後、西洋において文明のシンボルとして定着していった。ぶどうを原料とするワインは、キリスト教とも深いつながりを持っていたこともその理由である。日本における栽培は、1186年に現在の山梨県において中国から渡来した種を植えたのが最初とされている。日本ではその気候にヨーロッパ系の品種が合わないため、アメリカ系の品種が数多く栽培されている。ぶどうには豊富な糖質、カリウムが含まれており、果皮部分にはアントシアニンなどの抗酸化物質が存在する。
ぶどうの品種の違い
ぶどうの栽培品種は、世界に1万以上存在するといわれている。ヨーロッパ系の栽培品種は皮が薄く劣化しやすいため、雨量の多い日本の気候に不向きとされている。そのためアメリカ系の交配種であるデラウェア、巨峰、マスカット・ベーリーA、キャンベル・アーリーなどが主流となっている。ヨーロッパ系のぶどうは、甲州とネオ・マスカットが挙げられる。また、醸造用のカベルネやリースリングは日本での栽培が少ない。
一般的なぶどうの旬はいつ?
ぶどうは一般的に、5月から6月に花を咲かせる。そして8月から10月に収穫することが多い。日本の市場においてもぶどうの出荷量が最も多いのは9月であり、晩夏から秋が旬といって差支えないだろう。
2. ぶどうの人気品種ごとの旬をチェック!

スーパーに並ぶ商品から果物専門店で贈答用に販売される品種まで、ぶどうの品種は実にさまざまである。その中から、とくに人気の品種について概略を紹介する。
デラウェア
種のないぶどうの代表といえば、デラウェアである。日本人にとくに愛されるデラウェアは、アメリカのオハイオ州デラウェアにおいて19世紀末に発表された品種である。明治時代に日本に到来し、日本国内で最も栽培されるぶどうの品種となった。7月中旬から8月中旬が旬であり、酸味と甘みがほどよい美味しさである。皮離れがいい小粒である。
巨峰
巨峰は、日本の気候にもマッチしたヨーロッパの品種から生まれたぶどうである。1942年に日本で誕生した巨峰は、日本のぶどう畑における最大の栽培面積を誇っている。黒紫色で粒が大きく、一房の重さが300~500gになる。その旬は8月中旬から9月中旬である。
ピオーネ
1973年に種苗登録されたピオーネは、巨峰とカノンホールマスカットを交配して誕生したぶどうである。巨峰よりも粒が大きく甘みが強い。高級品として人気のピオーネは、早ければ6月に市場に出ることもあるが、旬は巨峰と時期がほぼ同じ。8月中旬から9月中旬である。
シャインマスカット
21世紀に入ってから開発されたシャインマスカットは、大粒の高級品種として知られている。黄緑色の果皮と酸味が少ない優れた味わいのぶどうである。シャインマスカットは7月から出回ることもあるが、旬は8月から10月である。
3. ぶどうの旬を逃さない美味しい食べ方

水分の多いぶどうは傷みやすい果物である。旬の時期に収穫したぶどうは、どのようにして食べるのが最も美味しいのか。食べるタイミングや選び方など、より美味しいぶどうの食べ方を紹介する。
収穫後のぶどうの食べごろ
ぶどうは、収穫前に完熟させるのが基本である。収穫後は追熟しない果物であるため、購入したぶどうはなるべく早く食べるの美味しく食べきるコツといえるだろう。また、シャインマスカットはぶどうの実の色によって甘みの乗りがわかるという説もある。冷たいぶどうは夏には美味であるが、冷やしすぎるとせっかくの甘みを感じにくい傾向もあるようだ。食べる数十分前に冷蔵庫で冷やすとより甘さを実感できる。
美味しいぶどうの選び方
美味しいぶどうを選ぶためには、まず実に張りがあるものを選ぶようにしよう。また、茎の部分もシャキッとしていること、枯れた茶色のものは避けることも重要である。より甘いぶどうを選択するためには、ブルームという白い粉状のものが付着しているものを選ぶとよい。パック内で果実がポロポロと落下しているものは鮮度が落ちている可能性がある。
ぶどうはどれくらいで食べきればいい?
前述したようにぶどうは追熟しないため、購入後は早めに食べきるのが基本である。通常は2~3日で食べきるのが望ましいが、巨峰などは冷凍できるのでシャーベット状にして食べるのも美味である。また水分はぶどうの果実部分の傷みを早めるため、食べる直前に洗うのもコツである。
結論
人類と長い歴史をともにしてきたぶどうは、世界中にさまざまな品種が存在する。日本のぶどう市場もデラウェアをはじめ、高級品として扱われる品種など幅は広い。ぶどうの旬は晩夏から秋にかけてがよく知られているが、品種や栽培法によっても多少異なる。鮮度がよく甘みが乗っているぶどうを選び、最後まで美味しく食べてほしい。
(参考文献)
1.一般社団法人全国農業協同組合中央会「ブドウ」
この記事もCheck!