目次
1. 辛いだけじゃない!香辛料の種類と特徴一覧

料理にアクセントをつける素材として、スパイスのほかにハーブがあげられる。スパイスとハーブの区別はわかりにくいが、日本大百科全書ではそれぞれ次のように定義されている。
・スパイス
香辛料と訳される。植物性の調味料であり通常は粉末であることが多い。味や香りに多面性がある。
・ハーブ
花、葉、茎、種などの香りを薬品や食品、化粧品などに活用する場合の名称である。
日本安全食料料理協会によれば、日本では特にスパイスとハーブの境界線は明確ではないものの、ヨーロッパでは自家栽培が可能か否かで分けているという。つまり、自宅で栽培できるものはハーブ、そうでないものはスパイスというくくりである。(※1)
主なスパイスとその特徴を見てみよう。
・ペッパー(胡椒)
インド南部が原産の胡椒は、紀元前400年ごろから知られている香辛料である。銀と同じ価格で取引されるほど珍重された。防腐効果も需要が高かった理由である。(※2)グリーン、黒、白の種類があり、刺激成分と香りが愛されている。
・ナツメグ
ニクズクと呼ばれる木の果実である。インドネシア原産で、主に肉料理のスパイスとして知られている。肉の生臭さに有効な香味とまろやかなほろ苦さが特徴である。とくにハンバーグをはじめとするひき肉料理によく合う。
・シナモン
クスノキ科の樹木の樹皮である。セイロンニッケイの別名もある。古代ローマ時代から珍重された歴史がある。スティック状のものは飲料に使われ、粉末状のものは菓子に使われる。とくにりんごとの相性がよい。
・クローブ
フトモモ科の植物で日本名は丁子。矯臭作用があり、肉料理、ポトフ、さまざまなソースに活用される。フルーツケーキをはじめとするスイーツにも活用される。紀元前3世紀の中国でもすでに愛されていたスパイスである。
2. 地域別の香辛料の種類

香辛料は全世界で種類が多く、それらを利用して独自の食文化が発展してきたといっても過言ではない。それぞれの国では、どのような香辛料が使用されてきたのだろうか。各国の主な香辛料の種類と特徴について紹介する。
中華料理の香辛料の種類
日本人の舌にもなじむ中華料理には、さまざまな香辛料が使用されている。香りや刺激を演出してくれる主な香辛料を見てみよう。
【花椒】
ミカン科の落葉低木である山椒の実であり、ピリッとした刺激がある。麻婆豆腐に使用される。
【陳皮】
みかんの皮を乾燥して粉状にしたものである。柑橘類の香りが特徴で、七味唐辛子にも含まれている。八宝菜に使用される香辛料でもある。
日本料理の香辛料の種類
繊細な和食と香辛料の組み合わせはぴんと来ないが、以下の香辛料が知られている。
【山椒】
山椒はミカン科の落葉低木で、葉や果実はその清々しい芳香で日本を代表する香辛料とされている。佃煮やうなぎのかば焼きなどに使用され、独特の存在感を放つ。
【山葵】
アブラナ科の植物で日本の特産である。根茎の部分は峻烈な香りと辛味があり、刺身には不可欠の香辛料である。鼻につんとくる独特の感覚が特徴である。
タイ料理の香辛料の種類
エスニック料理といえばタイの食文化を思い出す人が多いほど、日本でも浸透しているタイ料理。そのタイ料理にはどんな香辛料が使われているのだろうか。
【ウコン】
ショウガ科の多年草の根茎が香辛料となっている。インド原産で、染色の材料としても古代から使用されてきた。粉末のタイプはターメリックと呼ばれ、カレーにも必須の香辛料である。
【カルダモン】
ショウガ科の多年草の果実を乾燥させた香辛料である。樟脳のような香りが特徴で辛味も有している。カレーにも主材料として用いられる。サフランやバニラに次ぐ高価な香辛料として知られてきた。
【ウイキョウ】
フェンネルの名でも知られるセリ科の多年草である。葉はハーブとなるが種が香辛料として使用される。肉料理、魚料理いずれとも相性がよい香辛料である。
台湾料理の香辛料の種類
日本とも親交が深い台湾。その台湾料理は、旅行者ならずとも好む人が多いほど人気がある。台湾料理に使用される香辛料をいくつか見てみよう。
【八角】
ダイウイキョウの果実で、中華料理に欠かせない香辛料である。肉の臭み対策のほか、肉を軟らかくするともいわれている。甘草やアニスのような香りが特徴である。
【五香粉】
文字通り、5つの香辛料を配合したものである。桂皮、八角、山椒、ウイキョウ、クローブなどが含まれている。
3. 料理別の香辛料の種類

香辛料は、意識しなくても日常的に口にしていることが多い。たとえば我々が頻繁に口にするカレーやハンバーグには、どんな香辛料が含まれているのだろうか。普段知らずに口にしている香辛料の数々を、ここでおさらいしてみよう。
カレーの香辛料の種類
インドを代表する料理カレーは、まさに香辛料の真髄を活かした食といって過言ではないだろう。すでに配合済みのカレー粉は世界で販売されているほど、その風味は万人に愛される。カレーの香辛料として知られているのは、ターメリック、サフラン、ウイキョウ、コリアンダー、クローブ、胡椒、シナモン、カルダモン、ナツメグなどである。100種を超えるスパイスの配合は、地方や家庭によって異なるといわれている。日本のカレーは、明治以来に到来して以降、白飯と組み合わされて人気となった。
この記事もCheck!
ハンバーグの香辛料の種類
自宅で作るハンバーグも、香辛料を効かせるだけでワンランクアップした仕上がりになる。ハンバーグの香辛料としては、ひき肉料理と抜群の相性を誇るナツメグは外せない。また、ピリッとしたアクセントとなる胡椒もよく使用される。より洗練された味わいにするためには、コリアンダーやクミンを加えてもよいだろう。いずれの香辛料も、スーパーのスパイスコーナーに常備されている。ぜひ試してみてほしい。
結論
香辛料と一口にいっても、和洋中いずれの食文化にもさまざまなスパイスが使用されており奥が深い。香辛料は香りや辛みによって料理にアクセントをつけるものであり、これによって料理の仕上がりも俄然レベルアップするのである。世界の料理に使用される主な香辛料は、気軽に入手できる。風味を確かめつつ、自宅での料理に大いに活用してほしい。
(参考文献)
1.日本安全食料料理協会「ハーブとスパイスの違いについて」
2.一般財団法人教職員生涯福祉財団「胡椒」
この記事もCheck!