1. 6つの基本スパイス

カレーはいろいろなスパイスを組み合わせて作るが、今回は基本となる6つのスパイスの特徴について紹介する。作りたいカレーに合わせて、それぞれ量を加減して使うとよい。
香りを引き立てるスパイス
- クミン
強く香り立つスパイスで、カレーの一番重要なスパイスだ。加熱することで、より一層香りが強調されるので、他のスパイスより先に鍋に入れて炒りつけ、香りを引き出す。カレーのほか、ひき肉料理やコロッケにも適している。 - コリアンダー
クミンと同様、カレーに欠かせないスパイスだ。カレーには実の部分を使うが、葉は香菜(パクチー)である。香菜とは香りが違い、柑橘系の爽やかな香りとスパイシーな香りがする。 - カルダモン
「香りの王様」とも言われ、甘く清涼感のある芳香がするが、刺激的な辛味と苦味も併せ持つ。少量でも効果があるので、量は控えめでよい。サフランやバニラと同じく、高価なことでも知られている。チャイやコーヒーといった飲み物の香り付けにも使われる。 - オールスパイス
オールスパイスは、いろんなスパイスを混ぜ合わせたものではなく、実はひとつの香辛料の名前。ナツメグ、シナモン、クローブを掛け合わせた香りがするため、オールスパイスと名付けられた。いろんな具材との相性がよく、使いやすい。
2. 色と辛味を加えるスパイス

味覚には嗅覚も影響するが、特に口に食べ物を含んでから香り立つ匂いは美味しさを際立たせる。さらに、視覚も味覚を左右することが分かっている。カレーにも嗅覚、視覚を刺激し、そして「辛い」という味覚に影響するスパイスが使われている。先に紹介した香りを司る4種のスパイスのほか、色や味わいを高めるスパイスがある。
●色で美味しさを引き出すスパイス「ターメリック」
日本では「うこん」と呼ばれるスパイスで、黄色い色をつけるのに使われる。ほろ苦い味わいで、やや土くさい香りもする。カレーには必ず使われる。サフランが高価なため、ご飯を炊くときなど、代わりに使われることも多い。
●辛さで味を引き締める「チリペッパー」
チリペッパーは刺激的な辛さを引き出すスパイスで、スパイシーな香りも感じられる。英語では"HOT"とも表現されている。コロンブスが大陸から持ち帰って以来広まるが、それ以前のインドのカレーは、それほど辛くなかったという。日本では、一味唐辛子や鷹の爪として古くから親しまれている。
香りと、色、辛さを表現する6つのスパイス。香りのスパイスを全体の50~80%、色のスパイスを10~40%、辛さのスパイスを5~10%の割合の分量でミックスするとバランス良く仕上がる。
香りと、色、辛さを表現する6つのスパイス。香りのスパイスを全体の50~80%、色のスパイスを10~40%、辛さのスパイスを5~10%の割合の分量でミックスするとバランス良く仕上がる。
3. 知っておきたいスパイスの使い方

6つのスパイスを使う時、具材やカレーの種類によって、それぞれ量のバランスを変えていく。また、オーバースパイスといって、スパイスの入れ過ぎによって風味を損なわないようにするよう注意したい。
具材とスパイスの相性とは
- 淡白な風味の具材には強すぎない香りを選ぶ
鶏肉や野菜、豆のカレーには、優しい香りのクミンやコリアンダーを多めに入れる。 - 牛肉や豚肉の味わいを深めるスパイス
牛肉や豚肉など濃厚な旨みのある肉を使ったカレーには、力強いオールスパイスを。味に深みが出ます。 - 辛さの調節はこのスパイスにおまかせ
6つのスパイスの中で、強烈な辛味を持っている唯一のスパイス「チリペッパー」。このスパイスの量の加減をすることで、辛さが決まる。
オーバースパイスとは
カレーに限らず、料理にスパイスやハーブを効かせすぎると、苦味を感じたり、メインの肉や野菜の風味が損なわれたりしてしまう。オーバースパイスにならないためにどうしたらいいのか。少なめの量から調整して、徐々に自分の味を見つけるとよい。辛いカレーが好きだからといって、チリペッパーを大量に入れるというのは避けたほうが無難である。そして、調理前に6つのスパイスを皿に出しておくと、それぞれのバランスがよく分かるので失敗しにくい。
結論
カレーの基本スパイスは6種類。少ないと思われるかもしれないが、実は、この6種類だけでビーフカレーからバターチキンカレー、キーマカレー、えびのココナッツミルクカレーなど、さまざまなカレーが作れるのだ。まずは、この6種類を使いこなして、いろんなカレーにチャレンジしたい。