目次
1. うなぎが美味しい旬の時期はいつ?

ここでは、うなぎの旬は何月なのか、その理由を紹介する。夏のスタミナ食としてイメージが定着したうなぎだが、実は脂がのって美味しい時期はまた別にあるので知っておこう。
天然うなぎの旬は秋から冬
秋から冬に漁が行われる天然のうなぎ。もともとうなぎは冬眠する魚のため、寒くなってくると越冬に向けて身体に栄養を多く蓄える。そのため、水温が下がり始める10月頃から冬眠前の12月に獲れたうなぎはたっぷり脂がのることから、秋冬がもっとも美味しい旬の時期だといわれている。
春夏のうなぎはあっさり
では、春・夏に獲れたうなぎは美味しくないのかと思うかもしれないがそうではない。獲れはじめである春の天然うなぎは脂のりが少ないことから、あっさりとした味わいが好きな人におすすめだ。脂がのりはじめる夏の天然うなぎも、脂がのりはじめるピーク前ではあるが、食欲が減退しがちな季節ならではの格別な味わいを楽しめるだろう。
天然うなぎが獲れるのは5月から12月
天然うなぎの漁期は、うなぎが冬眠から目覚め活発に動き始める5月から冬眠に入る前の12月までである。日本中の川や湖に生息しているうなぎだが、貝や甲殻類を食べたうなぎはとくに美味しいといわれており、あさりが多く獲れる静岡県の浜名湖や、エビの産地でもある高知県の四万十川、そのほか水郷である福岡県の柳川がうなぎの産地として有名だ。産地別の旬については後述するのでチェックしてみてほしい。
養殖うなぎの旬は一年中
天然うなぎの旬について紹介してきたが、現在スーパーや魚屋などで流通している国産うなぎの99パーセントは養殖うなぎ。我々が口にするうなぎはほとんど養殖ということだ。現在天然のうなぎは非常に貴重なものになっているが、獲れた時期や環境、食べているものによって味が大きく変わるという特徴がある。それに対し養殖うなぎは、12月から4月の春の季節に向けて上ってくるシラスを捕獲し、1年ほどかけて養殖し出荷する。養殖業者が水質管理をしっかり行い、成長を確認しながら適切な餌を与えるため、年間を通して身が太り脂ののった一定の品質を保てるのだ。養殖のうなぎについては、一年中が旬で安定して美味しく食べられるといえるだろう。
2. うなぎの旬の時期は夏じゃない?

天然うなぎの旬は秋から冬であることをお伝えしたが、うなぎといえば夏場に店頭に多く並ぶイメージが強いため、旬は夏じゃなかったの?と感じた人もいるはずだ。ここでは、うなぎが夏に多く出回るようになった由来や、夏に食べることのメリットを紹介しよう。
夏にうなぎを食べる由来
うなぎといえば夏のイベントとして土用の丑の日が有名だ。しかし、春夏秋冬それぞれにやってくる土用の丑の日の中で、夏はとくにうなぎと結びつきが強いのはなぜだろうか。有名な説では、江戸中期の学者である平賀源内が、うなぎ屋に夏の暑い季節にうなぎが売れないことを相談され、「本日丑の日」と書いたのぼりを出すよう提案。店が繁盛したため、ほかの店も真似するようになり、結果として土用の丑の日にうなぎを食べることが定着したというものがある。丑の日にはもともと「う」のつくものを食べると健康にいいという信仰があったため、暑い夏に精をつけたい人たちがうなぎを食べるようになったのが由来のようだ。
夏にうなぎを食べるメリット
夏が旬というわけではないうなぎ。しかし、夏の土用の丑の日にうなぎを食べることは栄養面からみて理にかなっている。うなぎは食欲増進効果や疲れを解消する効果のあるビタミンA、ビタミンB1が豊富。(※1)そのほか、若返りや生活習慣病予防などの効果が期待できるビタミンE、DHAやEPAも含まれている。(※1)うなぎを食べることは夏バテ対策に多くのメリットがあるといえるだろう。
3. 産地別のうなぎの旬の時期

日本は縦に長いことから、産地によってもうなぎの旬の時期が違う。続いては、うなぎの名産地として知られる浜松・四万十川・柳川それぞれの旬の時期や特徴、有名である理由について紹介しよう。
静岡・浜松のうなぎの旬
うなぎが名産品として有名な浜松。その理由として、海につながる浜名湖や天竜川といった水源が豊富であることがあげられる。とくに浜名湖は江戸時代から天然うなぎが豊富に獲れていた歴史があり、明治時代から始まった静岡県の大規模なうなぎ養殖は、昭和40年に全国で7割の生産量を占めるほどになった。近年、生産量は減少しているものの品質のいい浜名湖うなぎは現在も根強い人気がある。そんな浜松で獲れる天然うなぎの旬は、7月下旬から8月にかけてだといわれている。栄養を多く含み、皮がやわらかいのが特徴だ。
高知・四万十川のうなぎの旬
日本最後の清流といわれる高知の四万十川。そこで獲れる天然うなぎは、清流でもまれ歯ごたえがよいという特徴がある。旬の時期は5月から10月といわれ、春から夏はあっさりとした味わい、秋にはこってりとした味わいが楽しめる。また、高知は水質のよさを活かした養殖うなぎの生産も盛んで、天然うなぎに引けをとらないといわれている。定番の蒲焼きで食べるのも人気だが、もち米とうなぎを竹皮で包んだ「うなぎちまき」も地元ならではの食べ方だ。
福岡・柳川のうなぎの旬
福岡県柳川市は古くから天然うなぎの産地として知られている。有明海にそそぐ筑後川と矢部川河口に近く、質のよいうなぎが豊富に獲れていた。旬の時期は脂を多く蓄える冬。現在は天然うなぎの漁獲量は少なくなったものの、柳川も養殖技術が高く、恵まれた水質を活かして味のよい養殖うなぎを生産している。この土地ならではの食べ方としては「うなぎのせいろ蒸し」がある。うなぎとごはんが入ったせいろを蒸した料理で、秘伝の甘辛いタレの味わいが特徴だ。
4. 旬の天然うなぎと養殖の違い・見分け方

味わう機会が少なく貴重な旬の天然うなぎだが、養殖うなぎとどのような違いがあるのだろうか。旬の天然うなぎと養殖うなぎの相違点は、まず見た目の違いに天然うなぎは腹の部分が黄色がかっているという点がある。対して養殖うなぎは、背中が青っぽい色をしているのが特徴だ。気になる味の違いだが、天然うなぎは生息する環境によって大きさや脂のりが異なるため一口にはいえないものの、一般的な養殖うなぎと比べてあっさりとした味わいが特徴的といえる。そのほか川魚らしいさわやかな香りや強い歯ごたえを感じられるのが旬の天然うなぎだ。一方、クセのない味わいで脂がよくのっているのが養殖うなぎ。整った環境で育てられたうなぎは、安定した美味しさが特徴といえる。
5. 旬のうなぎの美味しい食べ方

旬のうなぎを食べる機会があるなら、できるだけ美味しい食べ方でいただきたいものだ。ここでは代表的な調理法である蒲焼き、白焼きの解説やそのアレンジ方法も紹介するのでチェックしておこう。
蒲焼き
旬のうなぎの美味しい食べ方といえば蒲焼き。うなぎを開いて串を刺し、タレを塗りながら照り焼きにする方法だ。パリッと焼き上げた皮の香ばしさと柔らかい身の食感、タレの味わいが楽しめるのが蒲焼きの魅力。定番のうな重はもちろん、卵焼きにうなぎを巻いたう巻き、きゅうりの酢の物と和えるうざくといったアレンジ料理に展開できる。子どもにはひつまぶしにすると食べやすいだろう。
白焼き
蒲焼きと違い、タレをつけずに焼き上げる白焼きは旬のうなぎ本来の味わいが楽しめるのが魅力的。塩やわさびをつけて素材の味を活かした食べ方をするのがおすすめだが、わさび醤油につけてお刺身のような食べ方をしたり、ポン酢をつけダレにしたりしても美味しい。薬味として、青ねぎや玉ねぎのスライスをのせてアレンジするのもいいだろう。さっぱりとした味わいの白焼きは、いろいろな薬味やタレに合うので試してみてほしい。
結論
うなぎの旬の時期は秋~冬であることを紹介した。どの季節のうなぎもそれぞれ違った美味しさが楽しめるが、脂が多くのったうなぎを食べたい人は冬に食べるのがおすすめだ。ぜひ家族の特別な日にうなぎを使った料理をふるまったり、うんちくついでに親しい人をうなぎのお店に誘ったりしてみてはいかがだろうか。
(参考文献)
この記事もCheck!