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山梨の郷土料理ほうとう

日本の郷土料理の歴史|北海道から沖縄まで全国の有名料理の由来とは

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 佐々木倫美(ささきともみ)

鉛筆アイコン 2021年12月27日

各地を旅行しつつその土地独自の美味を味わうには郷土料理が一番であろう。優れた食文化を有する日本には、各地に数多くの郷土料理が存在する。郷土料理には全国的に名前が知られている有名なものから、まだまだ隠れた一品として地元でしか食べられないものも多い。本記事では日本の郷土料理とその歴史、特徴について説明する。

  

1. 日本の郷土料理の歴史と現状

鮎の塩焼き
郷土料理とはその地域特有の伝統的な料理である。南北に長い日本は気候や風土も変化に富んでおり、各地域にその土地独自の優れた食文化が存在する。2013年に和食文化がユネスコの文化遺産に認定されたのを受け、農林水産省では各地域で継承されてきた郷土料理を次代に伝えるためのサイトを開設している。このデータベースの完成は令和3年度末を目指しているという。ちなみに令和2年度に登録された郷土料理は490余に登る。郷土料理にはいくつかの種類がある。
  • その地域の特産品を材料とするもの
  • その地方で多産および良質の食材があり、それを材料にするもの
  • 食材はその地方産とは限らないものの、その地で独自の料理に発展させたもの
  • 外国や他地域の影響を受けつつ、どの地域独自の発展をとげたもの
現在は大都市では著名な郷土料理であれば食べられる可能性もある一方、郷土料理がもつ素朴さが薄れつつあるという説もある。

2. 日本の郷土料理の歴史:地方編

沖縄郷土料理ソーキそば
数えきれないほど存在する日本の郷土料理。すべてを紹介するのは無謀なので、まずはそれぞれの地域の郷土料理の特徴やとくに知名度の高い料理を紹介する。今後旅行する機会があったら是非参考にしてほしい。

北海道の郷土料理の歴史

日本の国土の20%強を占める北海道は、海鮮類や豊かな土壌が生み出す農作物に恵まれた土地である。明治時代に入って開墾が進められた北海道はじゃがいもや小豆をはじめとするさまざまな産物が豊富である。北海道を代表する郷土料理といえば、鮭を使った石狩鍋、良質な小豆を使った赤飯、じゃがいもを使用するいももち、いくらの醤油漬け、ジンギスカンなどが有名である。また日本のお正月に欠かせない松前漬けも、北海道の松前町に起源をもつ郷土料理である。

沖縄の郷土料理の歴史

沖縄県は琉球といわれた時代より大陸との交流が盛んであった。食文化も当然その影響を受けている。とくに中国の影響を色濃く受けているといわれる沖縄の郷土料理、その最大の特徴は豚肉の使用が多いことである。内臓や血液、耳なども食する風習があり、名産の砂糖と引き換えに入手した北国の昆布を合わせる料理もある。また豆腐を多用するのも沖縄の郷土料理の突出した点であろう。よく知られた郷土料理にはゴーヤチャンプルー、沖縄そば、ブタ肉料理のラフテーなどがある。

鹿児島の郷土料理の歴史

本土の最南端に位置する鹿児島県は東南アジアとの交流の歴史に加えて、サトウキビやサツマイモ、タケノコなどの栽培が盛んな地でもある。桜島大根をはじめ海の幸にも恵まれた鹿児島県は、多彩な郷土料理が多い。また長期間にわたって鹿児島県をおさめていた島津家ゆかりの郷土料理も存在する。そのひとつが酒ずしである。全国的にも知られた郷土料理にはさつま揚げ、さつま汁、ぶり大根、かるかんなど多数。

長崎県の郷土料理の歴史

鎖国の時代にも唯一外国に向けて開いていた長崎では、ほかに類を見ない食文化が発展した。そのひとつが卓袱料理で、これは江戸時代に中国から伝わった料理を起源としている。海の幸が豊富な長崎県にはさらにちゃんぽんがあり、具沢山の具雑煮もある。四角い形状の大村寿司は、当時の領主の戦勝を祝ったことに端を発する郷土料理とされていて、歴史と縁が深い料理が多いことがわかる。

熊本県の郷土料理の歴史

火の国の別称を持つ熊本県は、戦国の武将加藤清正による灌漑事業によって農業が飛躍的に発展したといわれている。海の幸と温暖な気候に恵まれ、さらに阿蘇山をシンボルとする熊本県には、海の幸と山の幸がふんだんに使われた郷土料理が多い。全国的に有名な料理にはまず馬刺しがある。熊本県は馬肉の生産において日本一を誇っている。またれんこんの生産量も多く、からしれんこんの知名度は高い。小麦粉を使っただご汁、阿蘇高菜漬けなども有名である。

京都府の郷土料理の歴史

長らく日本の首都として文化の中心でもあった京都では、茶の湯などの影響を受けてみやびやかな食文化が開花した。精進料理や本膳料理など格式のある料理が生まれたほか、独自の京野菜を使用した郷土料理も多い。京都の農産物を使った郷土料理には万願寺とうがらしを炊いたもの、千枚漬け、壬生菜のからしあえなどがある。また正月料理に欠かせない黒豆煮、現在は全国で食されるおはぎや栗ごはんも京都の郷土料理である。

広島県の郷土料理の歴史

広島県は瀬戸内海と中国山地に挟まれた地形が特徴である。地域によって気候には相違があるが、漁業も農業も盛んである。広島県でよく知られた郷土料理には、高菜やの野沢菜と並ぶ広島菜を使った漬け物があげられる。その歴史は17世紀にまでさかのぼる郷土料理である。また福山藩の藩主が名付け親となった府中味噌は、長らく高級品として珍重されてきた。そのほか、名産の牡蠣を使った料理や柿の葉を使った料理なども広島県の郷土料理である。

愛知県の郷土料理の歴史

織田信長や徳川家康など歴史に名を残す偉人と縁が深い愛知県。勇敢なことで知られた尾張屋三河の武士たちの活躍を支えたのが、この地の食文化である。愛知県の郷土料理を支える食材のひとつが、濃厚な味わいを持つ豆味噌である。現在の味噌煮込みうどんなどの料理はこの味噌なしには成り立たない。同じく濃厚な風味をもつたまり醤油も愛知県の特産となっている。さらに三河湾で獲れるあさりも将軍に献上されたほどの美味をほこっている。愛知県の郷土料理で著名なものといえばきしめん、串あさり、味噌田楽、たこめしなどなど。全国的に知られる郷土料理が多い。

3. 日本の郷土料理の歴史:有名料理編

ひつまぶしに出汁をかける様子
物産展などで人気の郷土料理は枚挙にいとまがないが、郷土料理と聞いてイメージする料理にはほうとうや鶏飯などがある。郷土料理らしい素朴さとオリジナリティを有した代表的な3つの料理について、その歴史や特徴を紹介する。

ほうとうの発祥や歴史

ほうとうはよく知られた山梨県の郷土料理である。小麦粉を練った平たい麺を味噌仕立てのつゆで食べるもので、さまざまな野菜が具として加えられる。ほうとうは中国から渡来した小麦粉の加工食品の名である。甲斐の国(現在の山梨県)を本拠地にしていた戦国武将武田信玄が、陣中食に取り入れたのが山梨との縁である。これが農民にも伝わり、郷土食として定着したという経緯がある。

ひつまぶしの発祥や歴史

ウナギ料理のひとつとして近年人気のひつまぶし。ひつまぶしは愛知県の郷土料理である。小ぶりの丼にごはんをよそい、一口サイズに刻んだウナギを乗せて食べる。2杯目は薬味を乗せ、3杯目はだし汁をかけて食べるのがひつまぶしである。その起源は愛知県の熱田神宮付近にある料亭である。明治初頭に創業したあつた蓬莱軒の主人が考案したひつまぶしが評判を呼び、近年は全国的な人気を博しているのである。

鶏飯の発祥や歴史

鶏飯と書いて「けいはん」と読むこの料理は、鹿児島県および奄美地方の郷土料理である。白飯の上に蒸した鶏肉のささみ、錦糸卵、パパイヤの味噌漬けなどさまざまな具をのせ、鶏ガラのスープをかけて食べる料理である。薩摩藩の支配下にあった甘味の人々が、薩摩の役人たちを懐柔するために考案した料理がその発祥とされている。当時貴重な鶏肉を使用することで二心がないことを示したのだという。当時は炊き込みごはんの形態であったが、昭和に入りスープをかける食べ方が定着した。

結論

日本の食文化の豊かさを余すことなく伝えてくれる郷土料理。その地に赴かなくてもすでに普及している郷土料理も多いが、まだまだ一般的には知られていない料理も少なくない。郷土料理は各地域の風土や気候、歴史を踏まえて発展した食文化であり、今後も継承していく必要があることはいうまでもない。各地を旅行する際にはぜひ、ご当地の郷土料理を食べてその地を堪能してほしい。
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  • 更新日:

    2021年12月27日

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