目次
- (※1~3)文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp - (※4~5)厚生労働省 「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp - (※6)生物系特定産業技術研究支援センター 《こぼれ話7》ナス由来の成分で血圧や気分の改善効果
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/135283.html
1. ダイエットに効果的?なすの気になる栄養とカロリー

まずは、なすから得られるカロリーと糖質量を見ていこう。ほかにもどのような栄養素があるのか、ダイエットへの効果はどのくらいあるのかも紹介する。
なすは低カロリー
カロリーとはエネルギー単位の1つであり、身体を動かすために必要なエネルギーだ。生のなす(100 gあたり)に含まれているカロリーは18kcalである(※1)。これはなすと同じ旬を迎える他の野菜、たとえば南瓜(100gあたり78kcal)(※2)や蓮根(100gあたり66 kcal)(※3)と比べてみても低カロリーだということがお分かりいただけるだろうか。
次に糖質とは、たんぱく質、脂質と並ぶエネルギー産生栄養素のひとつで、集中力や疲労感の減少を抑える役目がある。
続いて、なすの可食部100gあたりに含まれる主な栄養素と含有量を紹介する。
カリウム
カリウムは身体に必要不可欠なミネラルの一つで、浸透圧の調整などといった働きがあり、むくみを抑えて代謝を上げる。生のなす100gあたりに含まれているカリウムの量は220mg(※4)である。摂取されたカリウムは、尿中への排泄を促す役目があるため便秘改善につながり、ダイエットにも効果がある。
食物繊維
現在、ほとんどの日本人が不足しているので積極に摂りたいといわれている食物繊維は、小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する食品成分である。便秘の予防や血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下を促してくれることで知られている。脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を緩やかにしてくれるので、ダイエット中の方には積極的に取り入れていただきたい栄養素だ。生のなす1本(100gあたり)に含まれている食物繊維の総量は2.2g(※5)である。
コリン
コリンはなすに多く含まれている、なす由来成分コリンエステルのことである。神経や消化器官(胃や腸など)自律神経に反応することで、血圧の改善やストレス解消など、さまざまな効果も明らかになっている。ストレスが原因で、過食になりがちな傾向を抑えるのに役立つだろう。(※6)
ナスニン
ナスニンとは、なすの皮に含まれる特有のポリフェノールである。眼精疲労を和らげ、ダイエットに効果的な強い抗酸化力が期待できるため、ナスニンが豊富に含まれているなすの皮も、なるべく食していただきたい。
以上のことから、なすは栄養素が高く野菜不足解消の役に立つということが分かった。さらに、紹介した栄養素すべてにダイエット効果が期待できるのだから驚きの野菜だ。
2. なすのダイエット料理の注意点

なすは栄養素が高く低カロリーなので、ダイエット料理に適している。しかし調理法によってはカロリーアップしてしまうので注意が必要だ。ここでは、なすダイエットをする際、料理の注意点を紹介する。
なすは油を吸いやすい
実はなすと油の相性はバツグン。なすの苦みを油によって和らげ、より旨みを感じられるようになるのだ。しかし油の吸収率が高く、焼く・揚げるなどの調理法は高カロリーになってしまう恐れがあるので、油を使わない蒸す・茹でるといった方法をおすすめする。ちなみに電子レンジでの加熱は油を使わず簡単に加熱でき、時間と手間の短縮になるのでぜひ試してほしい。
高カロリーの食材に注意
低カロリーのなすはダイエット向きの野菜だが、食材の組み合わせによってはカロリーアップの落とし穴があるので注意が必要だ。たとえば、相性のよさそうなチーズやウインナーなど高カロリーのものを沢山入れてしまうと、カロリーオーバーしてしまうので気を付けよう。
食べ過ぎは体を冷やす
なすは身体を冷やす野菜ともいわれている。その理由は、なすに含まれているカリウムには身体の余分な水分や熱を外に逃がす働きがあるからである。そのため、食べ過ぎには注意が必要だ。身体が冷えると新陳代謝が悪くなるので、身体を温める食材として知られている生姜などと一緒に食べることをおすすめする。
3. なすダイエットの成功のコツ

なすダイエットで成功をつかむために、なすの食べ方のコツを教えよう。
なす料理を最初に食べる
なす料理は食事の前、もしくは最初に食べよう。先に食物繊維の多いなすを食べることにより血糖値の上昇を防ぎ、また満腹感も得られるため、ほかのメニューを食べ過ぎるのを防ぐのだ。最初に野菜を食べるだけで手軽にダイエット効果が得られるので、ぜひ試していただきたい。
皮も一緒に食べる
前項でも説明したが、なすの皮には「ナスニン」というポリフェノールが含まれている。ナスニンには抗酸化作用があり、コレステロールを下げ、血液の流れをスムーズにする働きも期待できるため、積極的に取り入れよう。捨ててしまいがちな皮を食べやすくするコツは、皮の固い部分のみ取り除き、皮の表面に切込みを入れることだ。このちょっとした工夫で味がしみやすくなり、食べにくい皮も食べやすくなる。
4. ダイエット中に人気のなすメニュー4選

ダイエット中におすすめのヘルシーなす料理をいくつか紹介しよう。
1.麻婆茄子
麻婆茄子は油を使うため、高カロリーになりがちだが、カロリーをオフする方法がある。それは、なすを油で炒めるのではなく電子レンジにかけて加熱すること。そうすると油通しを行わないので、大幅なカロリーカットができる。このひと手間で、通常の麻婆茄子の半分以下のカロリーで麻婆茄子が完成する。ぜひダイエット中はなすを揚げず、レンジで作ることをおすすめする。
2.なすの煮びたし
なすの煮びたしは、鍋1つで簡単に油を使わず調理できるので、カロリーも糖質も低いメニューだ。温かいままでも冷めても美味しくいただけるので、作り置きにも向いている。
3.なすの浅漬
塩でもむだけで手軽にできる浅漬。塩はカロリーがないので、低カロリーな一品が完成する。刻んでマリネサラダにするのもおすすめだ。
4.なすの生姜焼き
低カロリーななすに生姜を加えることで、身体の芯からポカポカ温まり、代謝アップが期待できるメニューだ。かさが減るので炒めすぎないことがポイントだ。生姜焼きの味付けと相性のよいエリンギやしめじなど、食物繊維が多く含まれているきのこも一緒に入れると、より満腹感を感じる一品になる。
結論
今回は、なすを活用したダイエット方法と気になる栄養素やカロリーを紹介した。しかし、行き過ぎたダイエットは危険をともなう可能性もある。何より大切なのはバランスのよい食事である。なすの栄養を効率よく摂り、5大栄養素(タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル)をなるべくバランスよく摂取するよう心がけよう。
(参考文献)
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