目次
1. 地域別のインド料理の種類

インド料理と一括りにしがちだが、実は地域によってインド料理の種類はさまざまだ。使われる材料の種類や味付けの仕方も異なるため、受ける印象は大きく変わる。インド料理は東西南北で分けられることが多く、日本で親しまれているインド料理の多くは北インドの料理だ。ここでは、地域別のインド料理の種類と特徴を紹介する。
南インド料理の種類と特徴
南インドでは米が主食として食べられている。料理には野菜や豆、魚がよく使われているのが南インド料理の特徴だ。味付けにはカレーリーフやマスタードシードといったスパイスがよく使われているため、辛みの強い料理が多い。南インド料理では乳製品の代わりにココナッツミルクを使用しているため、独特の風味を楽しめる。食事のスタイルも特徴的で、バナナの葉の上にごはんや料理を盛り付けた「ミールス」が有名だ。南インド料理の種類には、野菜を炒めて作る「ポリヤル」や「トーレン」、スパイシーな味付けが特徴のスープ「ラッサム」などがある。
北インド料理の種類と特徴
北インドでは小麦から作られるナンやチャパティが主食として食べられている。鶏肉や羊肉など肉を使った料理が多いのが北インド料理の特徴だ。味付けにはナツメグやシナモン、ガラムマサラなどのスパイス、バターから作られた「ギー」という油などがよく使われている。北インドの料理の種類には、野菜を蒸し煮にした「サブジ」やタンドール窯で鶏肉を焼いた「タンドールチキン」などがある。
西インド・ゴア料理の種類と特徴
西インドでは米と小麦の両方が主食として食べられている。かつてはポルトガル領であったこの地域では、料理にもポルトガルの影響が見られる。西インドの料理は「ゴア料理」とも呼ばれ、豚肉料理があるのが特徴だ。また、海も近いため魚料理も豊富だ。しかし、肉や魚料理が豊富な一方で、菜食主義者も多いため野菜や豆を使った料理も豊富だ。
東インド・ベンガル料理の種類と特徴
東インドでは米と小麦の両方が主食として食べられているが、米のほうが親しまれている。川や海で獲れた魚を食べているため、魚料理が豊富なのが特徴だ。東インド料理は「ベンガル料理」とも呼ばれ、味付けにはマスタードシードやマスタードオイルがよく使われる。また、マスタードシードやクミンなどのスパイスを合わせた「パンチフォラン」という独自のミックススパイスが使われるのも特徴の1つだ。
2. インド料理代表・インドカレーの種類

インド料理にはさまざまな種類があるが、日本ではインド料理といえばカレーというイメージが強い。実際にインドにはさまざまなカレーがあり、使われる食材やスパイスによってその味わいは大きく異なる。ここでは、インドカレーの種類をいくつか紹介する。
ムルグマカニ(バターチキンカレー)
日本でも親しまれているバターチキンカレーは北インドで食べられているカレーだ。ヨーグルトやスパイスに漬け込んだ鶏肉をタンドール窯で焼き、カレーに入れるのが本場の作り方だ。ガラムマサラ系のスパイスで味付けされており、チャパティと一緒に食べる。
キーママタル(ひき肉のカレー)
日本ではキーマカレーとして親しまれている。日本ではみじん切りにしたたまねぎや人参を入れるが、北インドではグリンピースを入れる。キーママタルもチャパティと一緒に食べる。
パラクパニール(ほうれん草とチーズのカレー)
パラクパニールも北インドで食べられているカレーで、緑色なのが特徴だ。パニールと呼ばれるチーズは家でも作ることができる。熱した牛乳に酢を加えるとチーズの塊が浮かんでくる。それを取り出し、水切りしたものがパニールとなる。
アヴィヤル(野菜とヨーグルトのカレー)
アヴィヤルは南インドを代表するカレーだ。野菜とヨーグルトのほかにココナッツミルクも使われており、あっさりとした味が特徴だ。日本で食べられている一般的なカレーよりも水っぽいが、ごはんとよく絡む。
サンバル(野菜と豆のカレー)
サンバルも南インドで食べられているカレーだが、その見た目はカレーというよりもスープに近い。インドではさまざまな豆が食べられているが、サンバルにも同様にさまざまな豆が使われる。本場の南インドではトゥールダルと呼ばれる豆を入れて作られる。
ポークヴィンダルー(ポークカレー)
ポークヴィンダルーは西インドを代表するカレーだ。ポークカレーと聞くと、日本でも食べられるポークカレーをイメージするかもしれない。しかし、ポークヴィンダルーはワインビネガーに漬け込んだ豚肉を使っているため、また違った味わいだ。さらに、スパイスで味付けしているため、辛みと酸味の両方を楽しめる。
マチェル・ジョル(魚のカレー)
マチェル・ジョルは東インドを代表するカレーだ。魚料理が豊富な東インドらしいカレーで、海水魚はもちろん、コイなどの淡水魚でも作られる。マスタードシードやマスタードオイルを使っているため、普段食べているカレーとは違った味わいを楽しめる。
3. カレー以外のインド料理の種類

インド料理はカレーの種類が多く、どうしてもカレーメインで考えてしまう。しかし、インド料理にはカレー以外にもさまざまな種類の料理がある。ここでは、項目別にインド料理の種類を紹介する。
インド料理のパンの種類
インドは地域によって主食が異なるが、北インドを中心として北部では小麦から作られるパンがよく食べられている。
【ナン】
日本ではカレーと一緒に食べられることが多いナン。北インドでは主食として食べられている。一般的なパンと同じく生地を発酵させるが、薄くのばしてタンドール窯で焼いている。
【チャパティ】
チャパティは発酵させずに焼いた薄焼きパンだ。全粒粉で作られているのが特徴で、素朴な味わいが楽しめる。ナンとは異なり、タンドール窯を使わずに焼く。そのため、何よりもポピュラーな主食だ。
【プーリー】
プーリーはチャパティを揚げた料理だ。揚げることで少し膨らみ、チャパティとはまた違った食感を楽しめる。
【パラタ】
パラタの原材料はチャパティと一緒だが、何層にも生地を重ねているのが特徴だ。層を重ねているため、サクサクとした食感を楽しめる。
インドの米料理の種類
インド南部ではお米が主食として食べられているため、インド料理には当然ながら米料理もある。ただし、日本とは米の種類が異なり、インドでは粒が細長いインディカ米が一般的だ。
【ビリヤーニー】
ビリヤーニーはいわゆるインド風炊き込みごはんだ。半茹でにしたお米とカレーを交互に重ねてから蒸しあげた料理で、そのまま食べてもよし、カレーをかけて食べてもよしと2種類の楽しみ方ができる。
インドの野菜料理の種類
菜食主義者の多いインドでは野菜料理の種類も豊富だ。野菜料理と聞くと味気ないイメージがあるが、インド料理ではスパイスがたっぷり使われているため、野菜料理でも満足度はバツグンだ。
【サブジ】
オクラやじゃがいもなどの野菜を蒸し煮にした料理だ。使う食材にとくに決まりはなく、インドでは家庭料理として親しまれている。ガラムマサラ系のスパイスを使って味付けするのがポイントだ。
【アチャール】
日本でカレーのお供といえば福神漬けやラッキョウ漬けだが、インドではアチャールが一般的だ。アチャールに使う野菜にも決まりはなく、柑橘系の皮などを加えて作る。
【ラッサム】
ラッサムはトマトベースのスープだ。こしょうがたっぷりと入っているので、酸味と辛みが強いのが特徴だ。
インドの肉や魚料理の種類
インドは地域によって肉が食べられていたり、魚が食べられていたりと多種多様だ。また、使われている肉や魚の種類も異なるため、地域性が強く感じられる。
【タンドールチキン】
日本でも有名なインド料理だ。鶏肉をヨーグルトやスパイスに漬け込み、タンドール窯で焼くのが特徴だ。タンドール窯がある北インドでよく食べられている料理で、こんがりと焼けた鶏肉とスパイスの香りが食欲をそそる。
【シークカバブ】
シークカバブは羊やヤギのひき肉を使って作られるつくね料理だ。ただし、日本のつくねとは異なり、串に刺しタンドール窯で焼く。たっぷりの香辛料が入っているため、シークカバブ単体でも食べごたえバツグンだ。
【フィッシュフライ】
フィッシュフライと聞くと欧米の料理をイメージしてしまうが、インド料理のフィッシュフライはスパイス焼きを指す。スパイスをたっぷりと塗りこんだ魚をじっくりと蒸し焼きにすることで、身は柔らかく、噛むたびにスパイスを堪能できる。
インド料理のサイドメニューの種類
最後に紹介するのはスナック感覚で食べられるインド料理だ。合わせてインド料理に欠かすことができない飲み物も紹介する。
【サモサ】
三角の見た目が可愛らしいサモサ。じゃがいもやたまねぎ、豆、ひき肉といった具材をスパイスで味付けし、小麦粉の皮で包んで揚げた料理だ。チャツネをつけたり、スープに浸して食べたりといろいろな食べ方ができる。
【ドーサ】
米粉と豆で作った生地をクレープ状に焼いたドーサ。生地だけで食べることはなく、中に具を入れて巻いて食べるのが一般的だ。じゃがいもなどの野菜をスパイシーに炒め、巻いたものは「マサラドーサ」と呼ばれる。南インドでは朝食に食べられることが多い。
【マサラチャイ】
ミルクティーにスパイスを加えたものをマサラチャイと呼ぶ。北インドでよく飲まれている。
【インディアンコーヒー】
南インドでよく飲まれているインド風カフェオレだ。泡立てているのが特徴だ。
4. インド料理のスパイスの種類

インド料理では数種類のスパイスが使われるのが一般的だ。使われるスパイスの種類は地域によっても異なるため、そのすべてを把握しようとすると大変だ。ここでは、インド料理を代表するスパイスについて紹介する。
ターメリック
キレイな黄色が特徴的で、カレーの色味を出す重要なスパイスとして知られている。日本ではウコンとも呼ばれる。
クミン
食欲をそそる独特な香りが特徴的なスパイスだ。パウダータイプのものが使われることもあるが、インド料理ではシード、つまり種の状態で使われることも多い。
コリアンダー
パクチーの種を乾燥させたスパイスをコリアンダーと呼ぶ。パクチーは独特な香りが特徴的で好みが分かれるが、コリアンダーは柑橘系の香りが楽しめる。全体の風味を調和させる働きがあるため、カレースパイスには欠かすことができない。
ガラムマサラ
ガラムマサラは単一のスパイスの名ではなく、数種類のスパイスを混ぜたものを指す。混ぜるスパイスの種類や量は家庭や料理人によって異なる。
シナモン
お菓子作りに使われることが多いスパイスで、甘い香りが特徴的だ。アップルパイなどに使われるほか、マサラチャイにも使われる。
クローブ
シナモンとはまた違った甘い香りを楽しめるスパイスだ。臭み消しとして肉料理で使われる。
結論
インド料理と一口にいっても、インドは地域によって主食の種類やよく使われる食材の種類、味付けの仕方が大きく変わる。バターチキンカレーやタンドールチキンなど日本でもメジャーになってきているインド料理はたくさんあるが、調べてみると知らない料理が多いことにも気付くはずだ。気になる料理はぜひ、インド料理店でチャレンジしたり、家で作ってみたりしよう。
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