1. 魅惑のインド料理

スパイス使いの名士
インドは、フランス料理やイタリア料理などと並ぶ、世界的な料理の一つ。特徴は、何と言っても多彩なスパイス使いにある。インドでは、古くから食事にターメリックや胡椒が使われてきた。16世紀になるとそのスパイスを求めてやってきたポルトガル人が、中南米原産の唐辛子をインドに持ち込む。ここから、さらにインドのスパイス使いは進化していくことになる。
インドにカレーはない!?
多くの人はインドといえば、カレーを思い浮かべるだろう。しかし、インドにはカレーと呼ばれる食べ物は厳密にはない。私たちがよく知るインドカレーには、それぞれ、サグ、ダールなど、名前が存在するのだ。ちなみにカレーという言葉が生まれたのは、16世紀頃。インド南部で使われるタミル語の「kari=カリ」が英語圏に伝わった際に、訛って「curry=カリー(カレー)」になったという説が有力だ。すなわちカレーという言葉は、英語圏発祥というわけ。
多民族国家
インドは広大な国土を有する多民族国家なので、地域によって使われる素材や味は様々だ。その種類は、大まかにわけて東西南北の4つ。それぞれ、気候や風土、さらに宗教がかなり異なる。主食においても、コメと小麦に違いがあるようだ。
2. インド料理大全

北インド料理
北インド調理は、中央アジアやペルシャの影響を色濃く受けて誕生したと言われている。豪華なムガール料理、乳製品が多彩なパンジャブ料理、辛く味わい深いカシミール料理など。主食は小麦を使ったナンやチャパティ、パラータなど。北インドのカレーは主に、カシューナッツやアーモンドのクリームとギーと呼ばれるバターオイルを使用した、こってりタイプ。惣菜はタンドリーチキンやシークケバブなどがある。
南インド料理
南インド料理は、まずコメが主食。日本と同じジャポニカ種のコメが食べられている。乳製品ではなく、ココナッツミルクを使うのも大きな特徴で、さらりとしたカレーが多い。肉だけでなく、魚も多く使われている。豆と野菜を煮込んで作るスパイシーなスープ、サンバールやクレープのようなドーサなどがよく知られている。
東インド料理
大きな河川が多く、魚を使った料理が発展したのがこの地域。主食は、インディカ種のコメでベンガル料理が有名。ベンガルフィッシュカレーと聞いたことがある人もいるかもしれない。マスタードオイルを使ったもので、日本人にもとても食べやすい味だ。バングラディッシュと近いこともあり、双方の文化が混じり合って食にも反映されている。
西インド料理
ガンジーの生まれ故郷でもある西インドは、厳格な菜食主義のジャイナ教徒が多く暮らしている。そのため、菜食が発展している。野菜と豆、乳製品だけの定食(ターリ)が広く食べられている。この地域は、乳製品の産地としても知られており、料理や飲み物にも多く使われている。
3. 美味しいインド料理のお惣菜

タンドリーチキン
そもそもはタンドゥールと呼ばれる壷釜で焼かれることからこの名がついたタンドリーチキン。インドのお惣菜の中でもよく知られている存在だ。実はこれも簡単に家で作ることができる。骨つきのチキン(、手羽元や手羽先でもOK)をすりおろしニンニク、ケチャップ、カレー粉、塩を混ぜたプレーンヨーグルト液につけて、フライパンで焼くだけ。オーブンで焼くこともできる。
サブジ
宗教上の理由も相まって、野菜料理が発展しているインド。サブジは、中でもとてもポピュラーなもので、スパイスを纏った野菜の蒸し煮のようなもの。どんな野菜でも美味しく食べられるので、毎日の献立に活躍してくれる。有名なのはジャガイモのサブジだが、筆者の家では残り野菜で作るのが定番。作り方は、野菜は大きさを揃えて切る。鍋にニンニクとクミンシードとオリーブオイルを入れて香りを出し、野菜を加えて炒め、ターメリック、コリアンダー、塩で調味し、ざく切りにしたトマトかトマトの水煮を加え、蓋をして、さっと蒸し煮にするだけ。スパイスはお好みのものを使うといい。
ライタ
現地でダヒと呼ばれるヨーグルトと野菜で作るサラダ。塩味のヨーグルトなんて、と嫌厭することなかれ!これが一度食べると病みつきになる味なのだ。玉ねぎやきゅうり、ピーマンなど、お好きな生野菜を小さめのさいの目に切り、塩とすりおろしたニンニク、クミンパウダーで味付けしたヨーグルトと混ぜるだけ。青唐辛子などを加えてよりスパイシーに仕上げたり、豆などでも美味しい。
結論
スパイスを上手に操るインド料理には、無駄なものを加えることなく、素材の持ち味を引き出してくれるテクニックが満載。ぜひ、覚えて毎日の献立に活用してみて欲しい。
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