1. 日本のカレーとインドカレーの違い

日本の一般的なカレーはお皿の上にご飯とカレーソースを盛ったもの。一方でインドカレーはステンレスの皿の中央にご飯が盛られており、それを囲うようにステンレスの器に入ったカレーなどのおかずが並べられているのが一般的だ。このほかにも違いは多くあるのでそれぞれの特徴を確認しよう。
日本のカレーは「ルー」で作る
日本のカレーといえば、一般的には「カレーライス」と呼ばれるお皿の上にご飯とカレーソースを盛った料理のことだ。家庭やお店によって味付けや具材は異なるが、主な特徴は以下のとおりである。
- カレールーを使ってトロミのあるカレーソースを作る
- 肉類・玉ねぎ・ニンジン・ジャガイモなどが使われる
- 1種類のソースだけをご飯の上(横)に盛り付ける
インドのカレーは「スパイス」で作る
インドのカレーは一つの料理を指すわけではなく、香辛料を使った煮込み料理の総称のようなものである。そのため、それぞれの料理にはサーグ、コルマ、ダールなどの名前が付いている。しかし、外国人向けには「カレー」と紹介していることが多く、その料理には以下のような特徴がある。
- 香辛料・スパイスを使ってカレー料理を作る
- ステンレス皿の上に複数のカレー料理を並べる
- 外国人向けに「○○カレー」という名前を使う
2. 世界日本のカレーの歴史とは?

カレーは18世紀にインドからイギリスに伝わり、明治時代にイギリスから日本へと伝わる。その後、カレーは日本人向けに改良が重ねられていき、戦後の1950年代に固形タイプのカレールーが誕生する。ここでは、そんな世界と日本のカレーの歴史について詳しく確認しておこう。
18世紀:インドからイギリスにカレーが伝わる
カレーのルーツはインド料理にあるが、そのカレーがイギリスに伝わったのは18世紀とされている。少なくとも『The Art of Cookery Made Plain and Easy(明快簡易料理法)』により1747年には伝わったことが分かっている。また、1770年代にインド総督のヘイスティングズが、イギリスでカレー料理を紹介したそうだ。それによりイギリスでは広く「カレー料理」が知られるようになったという。
19世紀初頭:C&Bがカレーパウダーを販売する
18世紀後半にはイギリスでカレー料理が評判になったが、本場のインドカレーを再現するのは難しかったという。その中で19世紀初頭にイギリスのC&B社が、スパイスを調合しておいたカレー粉を「C&Bカレーパウダー」という名前で販売する。このカレー粉は少しずつイギリス人に受け入れられていき、やがてヴィクトリア女王をはじめとする上流階級も食べるようになったという。
19世紀後半(明治時代):カレー粉が日本に伝わる
イギリスのC&B社によって作られた「C&Bカレーパウダー」は、明治時代の初め(1870年頃)に日本にも伝わる。その後1872年には敬学堂主人の『西洋料理指南』などに、カレーの作り方が記載されたという。ただし、この本で紹介されていたカレーは、カエルや長ネギなどの食材を使っているのが特徴。そのため、現代のカレーライスとはやや異なる料理となっている。
20世紀初頭(大正時代):今のカレーライスの原型ができる
19世紀後半に日本へ伝わったカレーは、20世紀初頭に現在のカレーライスの姿へと変わっていく。使われる食材は玉ねぎ・ニンジン・ジャガイモなどが中心となり、小麦粉を使ってソースにトロミをつけることが多くなる。また、1923年にエスビー食品から国産カレー粉が販売され、日本でも広く食べられるようになる。なお、20世紀初頭にはカレーうどんやカレー南蛮なども誕生している。
1950年:日本人向けのカレールーが誕生する
戦後の1950年になると、ベル食品が固形タイプのカレールー(ベルカレールウ)を販売し始める。また、ハウス食品、エスビー食品、江崎グリコなどからも独自のカレールーが販売される。カレールーの利点には「調理が簡単なこと」「保存性が高いこと」などがあり、これにより日本人のカレーはカレールーを使った「カレーライス」が一般的なものへとなっていく。
3. 市販のインドカレー風のルー2選!

日本ではさまざまな食品メーカーがカレールーを製造・販売しているが、中には商品名に「インドカレー」「印度カレー」と使っているものもある。そんなカレールーを2種類紹介しておこう。
商品1.ハウス食品「印度カレー」
「印度カレー」は、各種食品の製造・加工・販売などを行っているハウス食品のカレールーである。1960年に誕生した同社のロングセラー商品であり、その特徴は数多くのスパイスや鶏肉由来のうま味成分を使っていること。また、「香りのミックススパイス」で豊かな香りが楽しめることだ。辛さには「中辛」と「辛口」の2種類があり、サイズにはそれぞれ115gと230gの2種類がある。
商品2.創健社「インドカレー(辛口)」
「インドカレー(辛口)」は、創健社が製造しているカレールーである。36種類のスパイスを使っているほか、べに花油・国産小麦・チキンブイヨンなど食材にこだわったスパイシーが特徴。また、備え付けの香辛料小袋を使えば、辛さと香りをプラスすることも可能である。こちらのサイズは115gのみとなっている。
4. まだまだある世界のカレーを紹介!

カレーは世界中で食べられている料理であり、その地域ごとに異なる特徴が見られる。ここでは日本のカレーとも、インドカレーとも異なる世界のカレーについて確認してみよう。
その1.タイカレー
タイで有名なカレー(ゲーン)には、グリーンカレー・レッドカレー・イエローカレーなどがある。タイカレーの特徴は生の香辛料(ハーブ)を使っていることであり、ハーブ由来の豊かな香りや味わいを楽しめるという。また、ナンプラーやココナッツミルクなどを使っているため、少しクセがあるのも特徴となっている。タイカレーの詳細については以下のページで確認してみよう。
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その2.スリランカカレー
スリランカカレー(ライス・アンド・カレー)の特徴は、ココナッツミルクをベースにしているスープ状のカレーであること。また、近隣で海産物が多くとれるため、魚介類をメインにしていることがある。その他にもミックススパイスである「トゥナパハ」を使っていることなども特徴だ。そんなスリランカカレーの詳細については以下のページで解説している。
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結論
カレーはインド発祥の料理ではあるが、長い歴史の中でその国・地域に合わせて変わってきた。そのため、スパイスで作る本場のインドカレーと、ルーで作る日本のカレーライスは作り方・味・見た目などがかなり違っている。なお、ルーを使って本場の印度カレーを再現したい場合は、ガラムマサラやターメリックなどを使って味を調節してみるとよいだろう。
【参考文献】
- ※:農林水産省「カレーはどこから来たの?」
https://www.maff.go.jp/j/agri_school/a_menu/curry/01.html
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