目次
1. 普茶料理とは

普茶料理は「ふちゃりょうり」と読む。禅宗の行事に際して、一堂に会した関係者が茶をいただく際に食べる精進料理の御馳走のことである。
普茶料理の伝来
伝来は江戸の初期。京都の宇治に黄檗宗大本山萬福寺の開祖である、隠元禅師が中国から日本に持ち込んだとされている。隠元禅師は、普茶料理以外にも中国の禅や食材を多く伝えたことでも知られる存在だ。インゲン豆も彼が伝えたもののひとつである。
普茶料理の特徴
「普く大衆と茶を供にする」という意味を示すことから、普茶の名前が用いられ、席に上下はなく、1テーブルに4人で座り、同じものを同じ量みんなで分け合って食べるスタイルが特徴だ。また植物油や葛を多様しており、味わいもまろやかなコクがあり、味付けも割としっかりめだ。現代人にも食べやすい味わいの料理といい換えることもできる。精進料理にはご法度とされている肉や魚、卵料理をもした料理があるところも特徴的である。
精進料理と普茶料理の違い
日本でそれまで食べられてきた精進料理は、より淡白な味わいで油を使うこともない。味わいも食材を生かすように薄めである。また肉や魚をもしたものもないので、その点は大きな違いといえるだろう。また1人1膳のスタイルが基本であり、みんなで分け合うスタイルは当時は非常に斬新に映ったようだ。ただ、普茶料理も大きな意味で捉えれば、精進料理のひとつである。
2. 普茶料理のメニュー

普茶料理は、約400年も前に誕生した料理でありながら、現代人でも楽しむことのできるメニュー構成になっている。その一部をここでご紹介しよう。
箏羹(シュンカン)
旬の野菜や乾物の煮物。大皿に盛り付けるのが最大のポイントで、目にも華やか。メイン料理の立ち位置だ。
油茲(ユジ)
天ぷらのような揚げ物料理。素材や衣に味がついているもので、唐揚げに近い。梅干しや饅頭などの変わり種もあり。
麻腐(マフ)
ごま豆腐のルーツともいえる存在。ごまのねっとりとした食感と旨みを存分に味わうことができる。
雲片(ウンペン)
葛でとじた姿が雲のようであることから、雲片と名付けられた。食材を細かく刻んで、葛でとじた食べ物である。調理過程で出たヘタや皮も余すことなく食べるための工夫でこのような形になった。
浸菜(シンツァイ)
その名の通り、浸した菜なので野菜のおひたしやなますなど、さっぱりとしたもののこと。普茶料理のなかでは一番、あっさりとしている。
寿免(スメ)
油茲の入ったお吸い物のようなもの。昆布出汁が使われることが多い。
モドキ
精進の食材をかまぼこや魚の蒲焼、卵焼きに見立てた料理のこと。今でいうソイミートのようなものである。
3. 普茶料理はどこで食べることができる?

現代人が食べても美味しいと感じられる普茶料理、実際に食べてみたくなる。ここでは食べることができる場所をご紹介していこう。
黄檗宗大本山萬福寺
本家本元、黄檗山萬福寺では、普茶料理を食べることができる。本格的な普茶料理から、やや品数が少なめのカジュアルなものまで、価格帯が選べるところも嬉しい。僧侶が境内を案内してくれるコースもある。
茶普檗黄白雲庵
黄檗山萬福寺の前にある普茶料理の老舗。基本とフルコースから選ぶことができる。禅宗でなくともお祝い事や法事など、人が集まるときにもおすすめだ。
普茶料理梵
東京にも普茶料理を食べられる店がある。平日のランチは定食や弁当と少しカジュアルに食べられる普茶料理を楽しむことができる。
結論
普茶料理は、中国から伝わった禅宗の僧侶たちに供される精進料理で、日本のそれよりも植物油が使われるなどの理由から、現代人に合う味わいになっている。約400年ほど前にすでにこのような食文化が栄えていたと思うと驚きである。現在は宗教にかかわらず、普茶料理を提供している料理店で食べることができる。
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