目次
1. 広東料理とは

広東料理とは、中国広東省で生まれた料理のことである。中国の南側に位置し、貿易港を多く有する土地柄で、肉、魚、野菜とありとあらゆる食材が揃うことでも知られている、そんな広東料理を詳しく解説しよう。
中国四大料理のひとつ
北京料理、四川料理、上海料理とならんで、四大料理に数えられる広東料理は、日本でもお馴染みのメニューがずらり。また日本のみならず、世界各国で愛されている存在でもある。
2. 広東料理の特徴

ほかの中国料理に比べるととにかくバリエーションが豊富なところも広東料理の特徴である。その秘密に迫っていこう。
食は広州にあり
中国の南の方に位置する広東省は、香港そしてマカオを有することでも知られている。海そして、山、川や湖など、自然に恵まれた地形で、気候も比較的温暖。また沿岸部には貿易港が点在していたことから、食材のバリエーションが多彩だ。調理法や味付けも西洋に影響を受けているものが多い。中国でも「食材広州(食は広州にあり)」と言い伝えられ、一目置かれる存在だ。さらに燕の巣、フカヒレ、ナマコといった高級食材の名産地としても知られている。
マイルドな味わい
豊富な食材を生かした料理はほかの中華料理に比べてマイルド。辛味はあまり使われず、素材の味を生かした料理が多い。調味料は醤油や味噌が基本だが、ウスターソースやマヨネーズなど、西洋を感じさせるものを使うことも多い。オイスターソースやXO醤も広東料理でよく使われる。
飲茶発祥の地
日本でも人気の飲茶は、広東生まれ。中国茶と点心を一緒に嗜むものである。
3. 代表的な広東料理のメニュー

とにかくバリエーション豊富な広東料理だが、実際に料理名を見てみると日本の暮らしになじみ、家庭料理として愛されているものも多い。ここでは代表的なものをご紹介していこう。
焼売
焼売はいまや日本では知らない人はいないほど、ポピュラーなメニューである。皮に肉種を包んで蒸したもので広東では「シャオマイ」と呼ばれている。日本語読みの「シュウマイ」もここから来たものと考えられている。焼売も点心のひとつで、もともとは動物性食材を使わないで作られていたものが、徐々に肉を使うものに変化していったという説がある。日本には昭和初期に横浜に伝来し、その後浸透していった。中国でも似た料理が各地に存在する。
フカヒレの姿煮
高級中華料理の代名詞的存在のフカヒレの姿煮は、サメのヒレを天日干ししたものを使って作られる。それ自体にあまり味はないので、上湯スープや調味料で味を付けるのが基本である。姿のままのものを排翅、繊維がほぐれたものを散翅と呼ぶ。広東はフカヒレの産地でもある。
酢豚
酢豚も今や日本では家庭料理のひとつ。下味を付けて揚げた豚肉と色とりどりの美しい野菜を甘酢で和えた料理である。パイナップルが入っているところも貿易港、広東生まれならではである。
八宝菜
こちらも今や家庭料理の定番になっている存在だ。「八」とは中国で「多くの」ということを意味し、さまざまな具材を合わせたものである。五目旨煮との別称もある。豚肉、エビ、イカ、野菜など、多彩な具材なバリエーションは、豊富な食材を有する広東らしさを表している。
かに玉
ほぐしたかにを混ぜた卵を焼いたもの。広東語では芙蓉蟹と呼ばれ、芙蓉の花のように白くなるよう卵白だけで作るものが一般的である。上からあんがかかっている。ちなみに全卵を使うかに玉や天津飯は日本生まれの料理という説が濃厚だ。
油淋鶏
中国には油淋という調理法が存在する。これは茹でた食材を乾かし、油をかけながら揚げるというもので、油淋鶏もそもそもはそのような調理法であった。
油淋鶏も広東生まれの料理である。ぱりっと揚がった鶏肉にネギや生姜、砂糖、醤油、酢で作った甘酢醤油ダレをかけたものである。現地では揚げていない鶏肉を使うこともあるという。日本でもここ数年で、ポピュラーな料理になった。
チャーシュー
日本でラーメンに乗っている多く煮豚で、本来のチャーシューとは異なる食べ物である。広東で愛されているのは、蜜汁叉焼なるもの。下味を付けた豚肉を赤色の色素や赤い腐乳に漬け、明炉という中国式のオーブンで焼き上げ、最後に水飴をたっぷりと回しかけて完成だ。
広東や香港ではこのままはもちろん、ごはんに乗せたり、肉まんの具材にしたりと大活躍の存在だ。甘みと複雑味のある味わいが特徴である。
ごま団子
ごま団子は広東では煎堆と呼ばれている。甘い点心のひとつで、ごま餡を包んだ団子にさわにごまをつけて、油で揚げたものである。広東では縁起がいいとされ、お正月に食べられるものとしても知られている。
結論
広東料理は、日本の家庭料理としてもおなじみのメニューがずらり。中国のみならず、日本人、そして世界中の人を魅了する料理が数多く存在するといえそうだ。豊富な食材を生かしたシンプルな味付けなので、老若男女に愛される点でも優秀。いつかは、本場で食べてみたいものだ。
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