- 炭水化物 28.5g
- カリウム 38mg
- カルシウム 6mg
- マグネシウム 10mg
- 食物繊維 4.2g
- ※1.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 https://fooddb.mext.go.jp/
- ※2.株式会社はくばく「大麦とその効用」 https://www.hakubaku.co.jp/omugi-lab/kouyou/
- ※3,8,10,11.厚生労働省「e-ヘルスネット」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- ※4.徳島県医師会「おなら」 https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/1664-2018-11-22-00-43-37
- ※5.株式会社ロッテ「食物繊維のとりすぎは体に悪い?過剰摂取の影響と適切な摂取量を解説」 https://www.lotte.co.jp/medipalette/2680/
- ※6.医療法人湘南ON会湘南藤沢おぬき消化器クリニック「胃もたれの原因と治療法」 https://www.onuki-clinic.com/stomach/
- ※7.独立行政法人環境再生保全機構「食物アレルギーの子どものための 食事の基礎知識」 https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/allergy/recipe/knowledge/allergenic_food03.html
- ※9.農林水産省「ゆっくり食べる」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_02.html
- ※12.中部ろうさい病院治療就労両立支援センター「糖質を減らして健康的な体を手に入れる方法」 https://www.chubuh.johas.go.jp/preventive_center/images/toshitsu.pdf
1. 麦ご飯の特徴
健康の維持に効果があるといわれる麦ご飯。穀類の滋味を味わえると麦ご飯を好む人がいるいっぽうで、白飯と比べると食べにくいと思う人も多いだろう。麦ご飯を食べて得られるメリットとは具体的にどのようなものなのかを説明する。
麦ご飯の栄養成分
麦ご飯とは、白米に大麦を加えて炊いたり、あるいは大麦だけを炊いたものを指す。麦ご飯を食べることによって摂取できる栄養は次のようなものがある。(※2)
麦ご飯100g中の主な栄養(※1)
つまり麦ご飯を食べることで、豊富なミネラルや食物繊維を摂取できるのである。
どんなメリットがある?
麦ご飯を食べることによるメリットは、なんといっても豊富な食物繊維を摂取できる点にある。(※2)厚生労働省によれば日本人の食物繊維摂取量は年々減少しているため、1日1食は玄米や麦ご飯を摂取することを推奨している。(※3)食物繊維は大腸まで到達する栄養素であり、腸内の環境を整えるために必須の成分である。(※3)そのため便秘の解消の一助となる。(※3)また水溶性食物繊維であるβグルカンは、食事をした後の血糖値の上昇やコレステロール値を抑えたりするなど、生活習慣病の予防に大いに役に立つことが認められているのである。(※2)また麦ご飯は消化の速度が遅いため、満腹感の維持に役に立つ。これはダイエットにも有効な手段となるだろう。(※2)
2. 麦ご飯のデメリット
食物繊維が豊富に摂取できるのをはじめ、麦ご飯を食べることで得られる効能は計り知れない。いっぽうでデメリットも存在する。場合によっては不快な症状に悩まされる可能性もゼロではない。ここでは麦ご飯を食べることで生じるデメリットについて紹介する。
おならが出やすくなる
食物繊維を豊富に含む麦ご飯を食べることによって、腸内の環境が変化しガスがたまりやすくなることがある。これは、身体によいとされている成分を摂取した場合も変わらない現象であり、ガスがたまることによっておならが出やすくなってしまうのである。(※4)とくに過敏性腸症候群の人はガスがたまりやすいので注意が必要である。(※4)
便秘や下痢になる可能性
腸内の環境を整えるとされている食物繊維であるが、過剰摂取や体調によっては便秘や下痢を引き起こす可能性もある。(※5)水溶性の食物繊維は水分を吸って膨張し便を押し出す働きがあるが、過剰摂取によって水分が多くなり下痢を引き起こすのである。(※5)また不溶性食物繊維は、摂り過ぎると腸に過剰な刺激を与え、これが便秘となることもある。(※5)
胸焼けを起こす可能性
麦ご飯は消化に時間がかかる食材である。(※2)これは満腹感を維持できるというメリットがあるものの、胃もたれを起しやすいというデメリットと表裏一体である。(※6)胃の中に食べたものが長くとどまると、膨満感を感じげっぷや胸焼けを引き起こしやすくなるのである。(※6)
アレルギーを起こす可能性
小麦アレルギーを有している人は、大麦で炊く麦ご飯を食べてアレルギーを起こす可能性が報告されている。(※7)アレルギーを持っている場合、とくに子どもがいる家庭では注意が必要となる。(※7)
3. 麦ご飯のデメリットに対処するには
デメリットがあるといえども、麦ご飯の摂取をあきらめるにはメリットが捨てがたい。麦ご飯を食べることで生じるデメリットのうち、いくつかは工夫によって対処が可能である。デメリットを解決できる麦ご飯の食べ方を紹介する。
麦の量を減らす
麦ご飯とは、大麦だけを使ったものを指すのではない。白飯と大麦を混ぜて炊いたものはすべて麦ご飯と呼ぶのである。日本大百科全書によれば、麦ご飯は白米に大麦を2~3割加えるのが基本だという。しかしデメリットを解消するために、この麦の量を減らして1割ほどにしてみるのも手である。1割から徐々に増量し、自分に合った割合を知るようにしよう。
食事の際に水分を摂る
便秘になりやすい人の傾向として、水分の摂取が足りていない場合もあるという。食事をする際にも、しっかりと水分を摂取することで便秘の解消につながることもある。(※8)
よく噛む
消化に時間がかかる麦ご飯は、胸焼けなどの症状を引き起こしやすい。これを解決するためには、とにかくよく噛んで食べることが近道である。よく噛んでゆっくりと食べることは、消化を助けるにとどまらず、ダイエットや脳の活性化にも寄与するのである。(※9)
4. 麦ご飯の効果的な食べ方
デメリットに配慮しつつ麦ご飯を食べる習慣をつければ、健康への効果が大いに期待できる。麦ご飯を食べることで得られるメリットを逃さないための方法はあるのだろうか。麦ご飯の栄養をより効果的に取り入れる食べ方を紹介する。
食べるタイミング
消化に時間がかかる麦ご飯は、朝食に食べることで満腹感の維持というメリットを最大限に活用できる。これによって摂取エネルギーを節約できるため、ダイエットの効果も期待できるのである。(※2)逆に夕飯に麦ご飯を食べると胃に負担になることもある。
発酵食品と一緒に食べる
食物繊維を多く含む麦ご飯は、整腸効果がある。腸内の善玉菌は食物繊維によって増殖するが、乳酸菌は悪玉菌の増殖を抑える働きがある。(※10・11)そのため、この2つの効果を一度に得るために、麦ご飯とともに発酵食品を食べるとよいだろう。納豆や漬物などがその代表である。
冷めてから食べる
麦ご飯は炭水化物が豊富である。(※1)炭水化物に含まれる糖質は、冷めると消化されにくく、それによって血糖値の上昇を抑えられるという働きがある。(※12)レジスタントスターチというこの成分を活用するために、麦ご飯も冷めてから食べると血糖値の上昇を抑えられる可能性がある。おにぎりなどにして食べるとよいかもしれない。
結論
健康によい食品として注目されている麦ごはん。栄養的に見てもミネラルや食物繊維が多く、現代人には有益な食品であることがわかる。いっぽうで、豊富な食物繊維のためにいくつかのデメリットも生じる。いくつかのデメリットは、工夫によって解消できる可能性も大である。麦ご飯を上手に食生活に取り入れて、そのメリットを最大限に活用するようにしよう。
(参考文献)
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