目次
- ※1.農林水産省「食品中のヒ素に関するQ&A」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_as/qa.html#9
- ※2.文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)藻類/ひじき/ほしひじき/ステンレス釜/乾」 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09050_7
- ※3~5,7.厚生労働省「e-ヘルスネット」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- ※6.小学館「日本大百科全書(ヨウ素)」
- ※8.小学館「デジタル大辞泉(ビタミンK)」
- ※9.小学館「日本大百科全書(葉酸)」
1. 生ひじきの下処理方法

鮮魚コーナーで売られている生ひじきが手に入ったら、どのように下ごしらえをすればいいのだろうか。はたして、生で食べられるのか。なかなか入手できない生ひじき、失敗がないように上手に処理したい。その手順を見てみよう。
生ひじきを洗う
生ひじきはまず、水で洗う必要がある。ボウルなどの容器にたっぷりの水を入れ、ひじきについた汚れを落とす要領で洗っていこう。その後30分ほど水に浸け、傷みが目立つひじきは除去しておく。
生ひじきを茹でる
鍋に湯を沸騰させ、水洗いをしたひじきを投入する。茹で時間は再度の沸騰後、5~10分である。好みの固さに茹で上がるよう、茹で時間は調節するとよいだろう。汚れや含有物が気になる場合は茹でこぼしをする。発色が気になる場合には酢を少々加えると艶がよくなる。
2. 生ひじきはそのまま使って大丈夫?

生ひじきと聞くと生わかめと同じ感覚で、生で食べられるようなイメージがある。実際には、生ひじきはそのまま食するには問題があるといわれている。その問題点、また解決方法について説明する。
茹でてヒ素を除去する方が良い
諸外国よりも海藻や魚介類を食する日本では、海中に存在するヒ素が食物連鎖によって体内に入る可能性が高くなる。(※1)ひじきに関しても同様であるが、農林水産省では日常的に食する量であれば特に健康に大きな被害はないとしている。(※1)また、ヒ素を除去するためには、生ひじきは茹でこぼしをすると有効であることも農林水産省によって報告されている。(※1)
スーパーの生ひじきも下処理が必要?
生のひじきは、春に旬を迎えて採取される。本当の意味でのこの生ひじきが出回る時期は限られており、それ以外の時期に見かける生ひじきは乾燥したものを再び水で戻したタイプであることが多い。いずれの場合も、水で洗うだけではなく熱湯に通してから料理に使うのが基本である。
3. 生ひじきのおすすめの食べ方

ひじきといえば煮物というイメージがあるが、それ以外にも美味しく食べる方法はいくつもある。ひじきは油と相性がよく、また和風の味付けにするとより風味を楽しめるとされているが、目先を変えたメニューでも生ひじきを食べてみよう。
生ひじきの煮物
生ひじきは王道の煮物でまず楽しみたい。生ひじきを洗い茹でこぼしなどの下処理をしたら、にんじんやこんにゃく、油揚げや干しシイタケなどの具材で甘辛く煮ると美味しい。レンコンや鶏肉も生ひじきと相性がよい食材である。
生ひじきのサラダ
下処理をした生ひじきはサラダにしてフレッシュ感を堪能してもよい。きゅうりやアボカド、トマトやレタスのほか、レンコンやジャガイモ、豆腐や豆類を入れてヘルシーに、またはボリューミーに食べることができる。食べやすい大きさに切ったこれらの具に、下処理をした生ひじきを混ぜて好みのドレッシングなどで気軽に楽しめる。
生ひじきの炊き込みご飯
生ひじきと相性のよいにんじんと油揚げとともに、炊き込みご飯にすれば子供たちも喜ぶ。醤油やだし汁とともに香り付けのごま油を入れると食欲も進む。あるいはツナを加えて、海の幸の味わいをご飯にしても乙である。おにぎりにすれば行楽のお供にも便利である。
ハンバーグや卵焼きに
油と相性のよいひじきは、ハンバーグや卵焼きの具として加えても風味が出る。ひじきの煮物を敬遠する子供たちも、大好きなハンバーグや卵焼きに生ひじきを加えれば違和感なく食べてくれるだろう。
4. 生ひじきの保存方法

その名とは裏腹に生で食べることができない生ひじき。その生ひじきはどのように保存するべきなのだろうか。最後まで美味しく食べるための生ひじきの保存方法について紹介する。
長期保存なら冷凍して保存
生ひじきは保存が効かない食材である。購入後はなるべく早い消費が望ましいが、冷凍保存をすればある程度保たせることができる。冷凍保存のために、生ひじきは下処理後に小分けにし、ラップ等にくるんで冷凍庫に入れるようにしよう。冷凍した生ひじきは1か月をめどに使い切ること。解凍は自然解凍、あるいは煮物などにそのまま投入して問題ない。
冷蔵保存なら2・3日
冷凍保存をしない場合、冷蔵庫に入れた生ひじきはどのくらい持つだろうか。最高でも3日、それ以内に食べないと生ひじきにカビが生じる可能性もある。賞味期限切れとなる前に、美味しい状態で生ひじきを食べきるようにしよう。
5. 生ひじきの栄養

生ひじきにはどのような栄養が含まれているのだろうか。スーパーなどで生ひじきとして出回るタイプは、乾燥のものを水に戻して販売されていることが多い。それをふまえて、ここでは乾燥ひじきの栄養について数値を見てみたい。乾燥ひじき100g中に含まれる栄養は、以下のようなものがある。(※2)
カルシウム 1000mg
葉や骨の形成のために重要な役割を果たす。(※3)
マグネシウム 640mg
骨の成長を促進するほか代謝を助ける。(※4)
鉄 6.2mg
赤血球と深い関連があり不足すると貧血を引き起こす(※5)
ヨウ素 45000μg
甲状腺ホルモンの構成要素として骨の形成や成長に重要な役割をもつ。(※6)
カロテン 4400μg
体内でビタミンAとなり老化や動脈硬化を予防する可能性がある。(※7)
ビタミンK 580μg
血液を凝固する働きを持つ。(※8)
葉酸 93μg
体内におけるタンパク質の分解や合成を助ける。(※9)
ミネラルやビタミンが豊富なことは一目瞭然である。いずれの栄養素も健康の寄与に大きな役割を果たすことから、生ひじきは有益な食材といえる。
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結論
生ひじきは、春の旬の時期に出回るもののほかに、乾燥ひじきを水で戻した状態で売られているものを指す。いずれの場合も食感や健康のために、洗って茹でて使うのが基本である。下処理後の生ひじきは煮物やサラダ、ご飯ものなどさまざまな形で活用可能である。栄養面でもメリットが多い生ひじき、保存にも注意して美味しく食べてほしい。
(参考文献)
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