目次
- 洗濯桶や洗面器などを2用意し、30度℃程度の水をはる
- 一方にオシャレ着用中性洗剤を適量溶かす
- レーヨンを入れ、振るように優しく洗う
- 数十秒洗ったらもう片方のキレイな水をはった洗濯桶に移す
- 同じく振るようにして優しくすすぐ(泡立たなくなるまで水を換えながら)
- すすぎが終わったら取り出し、バスタオルでタオルドライをする
- 平干しネットに広げ、風通しのよい場所で陰干しをする(平干しネットがなければ、ピンチハンガーの上面などでも代用できる)
- ※1:洗濯表示(平成28年11月30日まで) _ 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - ※2:洗濯表示(平成 28年12月1日以降) _ 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
1. レーヨンとは?

レーヨンとはどのような繊維なのか、まずは基本的なことから解説する。
シルクに似た「再生繊維」のひとつ
レーヨンは綿や麻といった天然素材とは異なる、人工的に作られる化学繊維のひとつで、その中でも「再生繊維」に分類されている。再生繊維には植物系と化学系があるが、レーヨンは植物系だ。シルクに似た光沢と肌触りを持つ繊維として人気がある。
2. レーヨンの特徴

レーヨンの特徴やメリットについて詳しく解説していこう。
上品な光沢感がある
レーヨンの最大の特徴といえば、まるでシルクのように美しい光沢感だろう。シルクに似せて作られているため見た目も似ている。衣類に使うと上品な印象に仕上がる。
肌触りが滑らか
肌触りが滑らかで心地よく、着心地もよい。これもレーヨンの大きな魅力のひとつだ。サラリとした軽さと涼感があるので夏に着用しても暑苦しいといった印象を与えにくい。
ドレープ性に優れている
とろみのある「テロン」とした風合いでドレープ性があり、優美でエレガントな質感も備えている。しなやかさがあり、動きに合わせて広がる裾も美しい。
価格が安い
一般的に化学繊維は、天然繊維に比べて見た目の高級感に劣るものが多い。だがレーヨンは、高級な天然繊維であるシルクに似た質感で作られており、かつそれを安価で楽しめる。
3. レーヨンを取り扱う上での注意点

レーヨンにはメリットもあるがデメリットもある。トラブルを避けるためにも、取り扱う上での注意点もしっかり覚えておこう。
水に弱い
水に弱い点はレーヨンのデメリットといえるだろう。洗濯すると強度が極端に低下し縮みやすくなる。縮むと元に戻らないため水濡れには注意が必要だ。
摩擦に弱い
レーヨンは摩擦に弱いという欠点もある。洗濯ネットに入れるなどの対策が必要だ。液体などをこぼして濡れたとき、強くこすって拭き取ろうとすると摩擦で白くなることもある。乾いた布に吸い込ませて乾かすようにしよう。
熱に弱い
熱に弱いのもレーヨンのデメリットである。アイロンがけは可能だが、高温で変質するため設定温度を上げすぎないように注意しよう。
シワ・シミになりやすい
レーヨンはシワになりやすい。とくに濡れるとシワや型崩れの原因になるので、脱水を短くするといった対策が必要になる。また水に弱いことから「水シミ」も発生しやすい。水で繊維が変化し乾いたあともシミのように残ってしまう。
4. レーヨンの用途・仕立てるのに適したアイテム

続いてレーヨンの用途について解説していこう。
シャツやカーテン
レーヨンは高級なシルクに似せて人工的に作られた繊維だ。高級な質感から、シャツやカーテンといった衣類からインテリア用品まで幅広く用いられている。
肌触りのよさから、シーツや毛布といった寝具に使われることも。レーヨン自体は洗濯が難しいものの、ほかの繊維と混紡することで水洗いしやすくなる。
部屋着やパジャマ
レーヨンは肌触りがよいため、部屋着やパジャマとしても人気がある。洗濯といったお手入れのしやすさを重視したい方は、ポリエステルやコットンなどと混紡されているものを選ぼう。
裏地
カラーバリエーションが豊富な上、見た目も高級感があるレーヨンは、スーツやジャケットを始めとした衣類の裏地に使われることも多い。それでいて価格が手頃なのがうれしいポイントだ。
5. レーヨンのお手入れ方法

水に弱いレーヨンは自宅での洗濯が難しい素材だ。濡れると糸が太くなり、引っ張る力が強くなるためひどく縮むことがある。とはいえ着用のたびにドライクリーニングに出すのは不経済だし繊維を傷めることにもなる。自宅でのお手入れ方法もぜひ覚えておこう。
洗濯する前の確認事項
レーヨンを洗濯する前にまずは洗濯表示を確認しよう。桶に水が入ったマークや手のマーク、あるいは洗濯機のマークや手洗イの文字があればご家庭でも洗える。ただしバツが描かれている場合はNGなのでクリーニングに出そう。(※1)(※2)
またレーヨンはデリケートなので、水洗いできる場合も色落ちの有無を確認するとよい。オシャレ着用中性洗剤を目立たない部分に塗布し、3分ほど放置する。キレイな白い布を当てて色が移らないか確認してから洗濯しよう。
手洗いする方法
【洗濯機で洗う場合は?】
レーヨンを洗濯機で洗う場合は洗濯ネットに入れて、30℃以下の水とオシャレ着用中性洗剤でドライ、手洗い、おしゃれといった弱水流コースで洗おう。
脱水方法と干し方
洗濯機での脱水は控えて速やかに取り出し、タオルドライをする。そのあと、平干しネットなどにのせて、風通しのよいところで自然乾燥する。
伸びる原因になる吊り干しは避け、平干しで陰干しをするのが基本と覚えておこう。ただし洗濯で縮んでしまったときは、吊り干しをして自重で伸ばす方法もある。
アイロンのかけ方
洗濯表示でアイロンOKか確認しよう。繊維の向きに沿ってアイロンがけすると型崩れを防げる。なお洗濯したあとにアイロンをかける場合は、乾いたことを確認してからにしよう。
レーヨンは熱に弱いため設定温度は「低温」「中温」にするとよい。あて布を使用することと、テカリの原因になるスチームの使用を控えることも大切なので覚えておこう。
【レーヨンの保管方法は?】
レーヨンは湿気を含むと縮むおそれがある。除湿剤や乾燥剤と一緒に衣装ケースに入れて保管しよう。あわせて虫食いを防ぐため防虫剤も入れておくと安心だ。ポリエステルなど一般的な繊維はレーヨンと保管方法が異なるため、分類しておくとわかりやすい。
6. レーヨンに関してよくある質問

最後にレーヨンにまつわるよくある疑問についてお答えしていこう。
再生繊維・合成繊維・半合成繊維の違いは?
レーヨンなどの化学繊維は「合成繊維」「半合成繊維」「再生繊維」に分かれる(レーヨンは再生繊維)。合成繊維の原料は石油で、人工的に合成されており「アクリル」「ポリエステル」などがこれにあたる。
半合成繊維は天然繊維と化学繊維を合わせて作られており「アセテート」「プロミックス」などがそのひとつだ。
レーヨンを始めとした植物系の再生繊維の原料は天然素材だが、そこへ化学処理をほどこすことで再生繊維になる。天然素材に化学処理をする部分は半合成繊維と同じだが、溶解したセルロースを再生する工程があるため再生繊維と呼ばれている。
原料や製造方法は?
レーヨンの主原料は木材パルプだ。木材に含まれるセルロースを抽出し、いったん溶液にしたあと再生されて繊維となる。細いノズルから押し出し、細長い繊維にして再生するといった製造工程を経て完成する。
ポリエステルとの違いは?
レーヨンとポリエステルは同じ化学繊維だ。ただしレーヨンは再生繊維、ポリエステルは合成繊維、したがって両者は原料が異なる。ポリエステルは強度が高くシワになりにくいのが特徴だ。レーヨンとは見た目や質感も違うので機会があれば比較してみてほしい。
毛玉ができにくい?
レーヨンとは本来毛玉ができにくい素材である。だがポリエステルやウールなどと混紡されている場合、レーヨンの比率が低いほど毛玉ができやすくなる。
通気性はそれほどでもない?
レーヨンは通気性に優れているといわれるが、実際には「優れている」というほどではない。通気性の点では天然繊維のほうが優れているし、レーヨンの通気性をわかりやすくいえば「ナイロンよりはマシ」といった程度である。
結論
レーヨンとは美しい光沢感と滑らかな肌触りが特徴の再生繊維だ。シャツやカーテン、裏地など幅広く使われている。ただし水や熱に弱いなどデメリットもあるため取り扱いには注意が必要だ。洗濯や保管には気をつけよう。洗うときはオシャレ着用中性洗剤を使い、洗濯機ならネットに入れる。脱水はせずタオルドライをしてから平干しで乾燥させよう。
(参考文献)
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