目次
- 1. ポリエステル生地の特徴とは?
- 2. ポリエステルのメリット
- 3. ポリエステルのデメリット
- 4. ポリエステルが使われているアイテム
- 5. ポリエステルを扱う上での注意点
- 6. ポリエステルは使い勝手がよい優秀な素材
- ※1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - ※2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
1. ポリエステル生地の特徴とは?

ポリエステルという素材についての基本的なところから解説しておこう。
合成繊維のひとつ
ポリエステルは石油をもとに作られる合成繊維のひとつだ。ナイロンなどに続いて1950年代に生産が開始され、現在ではもっともポピュラーな合成繊維といっていいほどの存在となった。
天然素材との違い
動物の毛や皮、植物などから作られるのが天然素材だ。ポリエステルは石油由来のため本質が異なる。それ以外の違いといえば、天然素材は肌に優しい点、ポリエステルはシワになりにくく取り扱いやすい点などである。
またポリエステルのような合成繊維は大量生産が可能なため価格が安い。一方天然素材は採取できる量が限られているため、価格が高くなりやすいといった違いもある。
ポリエステルの種類
【PET|ポリエチレンテレフタレート】
もっとも代表的なポリエステルの種類である。ペットボトルの「ペット」もこのPETが由来だ。加工過程でさまざまな形状に変えられるため、生地の風合いや機能性が異なるアイテムの生産が容易である。天然素材や合成繊維と混紡することで多様な特徴を持たせられる。
【PBT|ポリブチレンテレフタラート】
アウトドアウェアやスポーツウェアなどに多く使われているのがPBTだ。PETも耐久性が高いが、それ以上に耐久性がある素材とされている。ストレッチ性も備えているため、水着などによく使われる。自動車の部品や電子機器などにも多く使われている。
【PEN|ポリエチレンナフタレート】
PETとほぼ同じ工程で製造されるが、高機能性で強度が高いポリエステルがPENである。紫外線に対するバリア性が高いほか、耐加水性にも優れており熱酸化抵抗も強い。こうした特徴があることから、衣類というよりはフィルムなどに使われることが多い。
ナイロンとの違い
ポリエステルは世界でもっとも生産されている繊維、それに次ぐのがナイロンなのだが、ポリエステルには価格が安い、熱に強い、シワになりにくいといった特徴がある。一方ナイロンは柔軟性に優れ、染色しやすくカラーバリエーションも豊富だ。ストレッチ素材にも適している。
2. ポリエステルのメリット

ポリエステルのメリット・デメリットについて見ていこう。まずはメリットから解説する。
耐久性に優れ洗濯に強い
合成繊維は全般的に耐久性がある。型崩れしにくく、普通に洗濯をしている分には縮んだり伸びたりすることはほとんどない。洗濯や熱などに強い素材だ。
速乾性がある
ポリエステルは吸水性・吸湿性が低いため、水に濡れるなどしてもすぐに乾く。寝具のカバーなどにも使われているが、それは汗を吸ってもサラサラしているといった特徴があるからだ。
シワになりにくい
吸水性・吸湿性が低いことから、水濡れによる影響をほとんど受けない。これがシワになりにくい要因だ。アイロンがけが不要なものも多い。
耐候性がある
ポリエステルがアウトドア用品に多く使われる大きな理由のひとつが、優れた耐候性である。外気に長時間さらされても劣化しにくいという特徴がある。
管理が楽
カビや虫食いなどによる影響を受けにくいのもポリエステルのメリットだ。保管の際そこまで神経質になる必要がない素材である。とはいえ汚れなどを放置すれば虫食い被害に遭うことはある。保管前はキレイに洗濯しておこう。
3. ポリエステルのデメリット

さまざまなメリットがある一方、デメリットも存在する。たとえば次のような点を覚えておこう。
静電気が発生しやすい
ポリエステルは摩擦などにより静電気が発生しやすいため、冬場など乾燥するシーズンは注意が必要だ。
汚れやにおいが付きやすい
ポリエステルはにおいや汚れを吸着しやすい。ほかの洗濯物と一緒に洗う際はネットに入れるなど、ひと工夫が必要だ。長期間引き出しの中に収納していたときなども、においが移ることがある。
毛玉ができやすい
同じく、ポリエステルは洗濯や摩擦などにより毛玉ができることも多い。できた毛玉は、天然素材と異なり生地に残るため目立ちやすい。
色移りしやすい
モノにもよるが、洗濯によって色移りする場合もある。洗う前には色落ちなどをチェックしておくことが大切だ。
4. ポリエステルが使われているアイテム

さまざまなメリット・デメリットがあるポリエステルだが、身近なところではどのようなアイテムに使われているのだろうか?
バッグやシーツ、寝袋などさまざまなアイテム
一例だがリュックやトートバッグ、シーツや布団カバー、寝袋など身のまわりのさまざまなアイテムに使われている。耐久性や取り扱いやすさが求められるアイテムなどに、ポリエステルが含まれていることが多い。
ファッションアイテムにも数多く使われている
たとえばカジュアル系のアウター、アウトドアウェアやスポーツウェア、コートやアノラックなど挙げればキリがない。やはり耐久性や耐候性、取り扱いやすさが求められるアイテムに多く使われている。
5. ポリエステルを扱う上での注意点

ポリエステルの衣類などを取り扱う上での注意点をまとめた。洗濯やアイロンがけをする際は、次のようなことに気をつけよう。
洗濯する際の注意点
【脱水時間は短めに】
ポリエステルは洗濯機でも手洗いでも洗える。脱水は洗濯機を使うことが多いが、その際は脱水時間に注意しよう。ポリエステルは速乾性があるため1分ほどでも十分だ。シワになりにくいとはいえ、過度な負担はシワを招く要因となる。余計なシワを防ぐため短時間で済ませよう。
【色移りに注意】
また汚れがひどい洗濯物、あるいは色の濃い洗濯物と一緒に洗ってしまうと、色が移ったり汚れが再付着したりすることがある。できればそうした洗濯物とは一緒に洗わないようにしよう。
【洗濯表示をチェック】
洗濯には強いが、間違った方法で洗濯してしまうとダメージや色移りといったトラブルを招く要因となるおそれがある。洗濯表示(※1)(※2)に記載された方法で正しく洗濯しよう。
【乾かすときは自然乾燥で】
ポリエステルは熱に強いといった特徴こそあるが、乾燥機にかけてしまうと変形などのリスクが生じる。もともと乾きやすい素材であることから、できれば自然乾燥をおすすめする。
アイロンをかける際の注意点
【中温までに留め、可能なら当て布をする】
ポリエステルは熱に強いためアイロンがけができる。あて布が不要なアイテムも多い。だが、熱に強いとはいえ、高温で当てると変形やテカリが出ることがある。アイロンは中温までに留めておいたほうが無難だ。またできれば当て布をすることもおすすめする。
摩擦や火気にも注意が必要
摩擦で毛玉ができるのを防ぐため洗濯ネットに入れて洗濯しよう。洗濯物を詰め込みすぎないことも大切だ。もうひとつ、熱には比較的強いものの耐火性はないため火気もNGだ。溶けたり燃えたりするおそれがあるので気をつけよう。
6. ポリエステルは使い勝手がよい優秀な素材

ポリエステルは扱いやすく洗濯にも強い上、シワができにくく熱にも強いなど多くのメリットがある。非常に使い勝手がよく、そのためさまざまなアイテムにも使われている。静電気が発生しやすい、毛玉ができやすいといった欠点もあるが、特徴をよく理解して上手に扱おう。
結論
ポリエステルは多くの製品に使われている石油由来の合成繊維だ。本稿で解説してきたメリット・デメリット、取り扱い上の注意点などを正しく理解することでより快適に、より長くアイテムを使い続けることができるだろう。ぜひこの機会にポリエステルに関する知識を深めよう。
(参考文献)
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