目次
1. 揚げ物などに使った油の誤った処理方法

最初に、揚げ物などに使用した油の誤った処理方法から解説する。くれぐれも以下のような処理方法は控えよう。
排水口に流すのは絶対にNG
排水管に残った油が冷たい水と混ざり合って固まったり、食器用洗剤と混ざり合って粘り気の強い塊になったりするおそれがある。排水管が詰まる原因にもなるで、そうした処理をしている方は今すぐに止めよう。
環境に悪影響が及ぶこともある
ご家庭の排水管の問題だけでは済まない場合もある。お住まいが下水処理設備の整っていない地域だとしたら、環境に大きな負荷を与えることにもなるのだ。油がご家庭の排水口から排水管を経て川や海に流れ込み水質の悪化を招いてしまえば、川や海で暮らす生物たちの命が脅かされてしまう。こうしたことからも、絶対に控えよう。
2. 揚げ物などの油を回収してくれる自治体もある

たとえば東京都品川区や目黒区のように、使用済みの「廃食用油」を回収してくれる自治体もある(※1)。資源として再利用するためだ。本稿ではこのあと処理方法について解説するが、その前に自治体に確認してみることをおすすめする。再利用してもらえれば環境や資源にも優しいうえ、ごみの量も減らせるなどいいことづくめである。自治体によって異なるので、まずはホームページなどで確認してみるとよいだろう。
3. 揚げ物などに使った油の正しい処理方法

それでは、揚げ物や天ぷらに使った油の正しい処理の仕方を紹介しよう。いずれも「可燃ごみ」として出すことができる処理方法だ。
市販の凝固剤で固める
揚げ物などに使った油を処理する方法としてもっとも手軽なのが、市販の凝固剤で固めてしまうという方法だ。油がまだ熱いうちに凝固剤を入れてよく混ぜる。1時間ほど待つと油が固まるので、フライ返しなどですくって取り出す。そのまま「燃えるごみ」として出せる。凝固剤はスーパーやドラッグストア、ネットショップなどで購入できる。
商品情報
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牛乳パックに詰める
空になった牛乳パックに、丸めた新聞紙やキッチンペーパーを詰めよう。着なくなった洋服や端切れなどを使ってもよい。そこへ揚げ物などに使った油を冷ましてから注ぎ吸収させる。あとは、粘着テープなどで牛乳パックの口をしっかりと密閉し、燃えるごみとして出すという処理方法だ。ただし気温が高くなる時期はとくに自然発火のおそれがある。紙や布はあらかじめ水などで濡らしておくようにしよう。
ポリ袋に詰める
基本的な処理方法は牛乳パックを使う場合と同じだ。ポリ袋の中に紙や布などを詰めて、冷ました油を注いで吸収させる。同じく紙や布は水に濡らしておこう。なお袋が破れてしまうといけないので、二重にしておくことをおすすめする。口をギュッと結び輪ゴムなどできつく縛ったら、燃えるごみとして出そう。流し入れる際、油がこぼれてしまうこともあるので箱などの中に袋を入れて行うとよいだろう。
4. 未開封の油や少量だったときの処理方法は?

ここまで、使い終えた油の処理について解説してきたが、未開封だった場合やごく少量だった場合はどうなるのだろうか?
未開封の油の処理も基本的には同じ
封を開けていない、あるいは開けたが未使用のまま消費期限が過ぎたという油もあるだろう。こうした油も、基本的には上述の処理方法でOKだ。自治体が廃油回収をしているのであればそちらに出すことをおすすめする。間違っても、油が入ったままの容器を可燃ごみに出さないように注意してほしい。
少量だったときは油吸収パッドに吸わせる
「揚げ焼き」などで少量の油を使った場合は、市販の油吸収パッドに吸わせるという処理方法がおすすめだ。菜箸などでつまみながら油の中へ入れると、みるみるうちに吸収してくれる。ただし油が熱いと自然発火するリスクがあるため、必ず冷ましてから行うことだ。油を吸収したパッドはポリ袋などに入れてしっかり口を閉じ、お住まいの地域のルールに従ってごみとして処分しよう。
5. 揚げ物などの油を処理する際の注意点

油を処理する際の注意点をまとめたので確認しておいてほしい。
速やかに処理する
油を吸収させた紙や布などは、速やかに廃棄しよう。とくに、高温になる場所に置いておくと自然発火のリスクが高まるため気をつけてほしい。
ポリ袋を使う際は二重にする
万が一の油漏れを防ぐため、ポリ袋を使う際は二重にするなどしよう。
薄い紙パックは使わない
ポリ袋と同じように、油漏れを防ぐため薄い紙パックには入れないようにしよう。
流しには絶対に捨てない
繰り返しとなり恐縮だが、シンクの排水口などには絶対に流さないようにしてほしい。
十分に冷ましてから処理する
凝固剤を使う場合は別だが、それ以外の方法で処理する場合は油が十分に冷めてから行おう。
市販の凝固剤は使用方法を正しく守る
凝固剤は商品によって使い方や注意点が異なる場合がある。パッケージに書かれた使用方法や注意点を守って正しく使用しよう。
6. 油が入っていた容器の処理方法は?

空になった油の容器は、どういった処理をすればよいのだろうか?
「ガラス」や「プラスチック」などに分別して処理する
油の容器は大きくガラスとプラスチックがある。ガラス容器はそのまま「ガラスごみ」として処理できる。ただしキャップやシール、PPラベルなどは「その他プラスチック容器」に区分されるため気をつけよう。
プラスチック容器も同様に「その他プラスチック容器」だ。醤油や飲料などリサイクル対象となっているペット容器とは扱いが異なるため、事前に自治体のごみ出しルールを確認して適切に処理してほしい。
プラスチック容器も同様に「その他プラスチック容器」だ。醤油や飲料などリサイクル対象となっているペット容器とは扱いが異なるため、事前に自治体のごみ出しルールを確認して適切に処理してほしい。
7. 疑問にお答え!油は何回使える?

ここからは「油は何回まで使えるのか」「保存方法は何が正解なのか」などよくある疑問にお答えしていく。処理方法とあわせて覚えておくと役に立つはずだ。
油の再利用は2〜4回が目安
どういった調理に油を使ったかにもよるが、一般的に再利用は2〜4回が目安とされている。たとえキレイに見えても4回以上再利用することは控え、上述した処理方法で正しく廃棄しよう。
8. 疑問にお答え!油を処理するタイミングの見極め方は?

逆に、4回未満でも処理したほうがよいケースもある。次のような油は捨てるタイミングと思って上述の方法で適切に処理しよう。
処理したほうがよい油の状態とは?
- 色が濃くなった
- 粘り気が出てきた
- 異臭がするようになった
- 180℃前後まで熱すると煙が立つようになった
- 加熱したときの泡がなかなか消えないようになった など
こうした状態が確認できた油は処理したほうがよい。劣化した油は食べ物の風味を損なうだけでなく胃もたれや胸焼け、吐き気などを招くおそれもあるため要注意だ。
9. 疑問にお答え!油の正しい保存方法とは?

揚げ物などに使った油の正しい保存方法も知っておこう。
用意するもの
- 網じゃくし
- こし器
- キッチンペーパー
- 密閉容器
網じゃくしは100均でもOKなので、目が細かいものを選ぼう。また油こし紙があればそちらを使うとよい。
使用した油の正しい保存方法
- 油をほどほどの熱さまで冷ます
- 網じゃくしなどを使って揚げ物のカスを取り除く
- こし器の上にキッチンペーパーを広げ、油をこす
- 密閉できる容器に移し替える
- 油が完全に冷えたら容器を密閉し、冷暗所に保管する
完全に冷えてしまうと粘り気が出てこしにくくなる。そのためほどほどの熱さで行うのがコツだ。ただし火傷にだけはくれぐれも気をつけてほしい。
保存容器はオイルポットがおすすめ
保存容器は密閉できて耐熱性のあるもの、光を通さないものなどがよいのだが、加えて次回使うときの使いやすさも考慮し、オイルポットをおすすめする。
結論
料理男性ならぜひマスターしたい揚げ物だが「油の処理が苦手」という方は意外と多い。だが本稿で解説した正しい処理方法を覚えておけばもう安心だ。市販の凝固剤を使えば簡単に処理できるし、空の牛乳パックやポリ袋を使う方法も慣れればスムーズに作業できる。揚げ物を思う存分楽しむためにも、注意点も踏まえつつ正しい処理方法を身につけよう。
(参考文献)
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