目次
- 1. 「ジョギングは効果ありすぎ」といわれる理由は?
- 2. ジョギングとそのほかの運動の効果や消費カロリーを比較
- 3. ジョギングの正しいやり方
- 4. ジョギングの効果を高めるためのポイント
- 5. ジョギングを継続するためのコツ
- 6. ジョギングの効果に関するよくある疑問
- 脂肪燃焼・ダイエット
- 骨や筋肉の強化
- 心肺機能・持久力の向上
- 生活習慣病予防(血糖値のコントロール)
- ストレス解消
- 睡眠の質の向上
- ※1:国立健康・栄養研究所『改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」』
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf - ※2:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準 2013 (概要) 」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xppb.pdf - ※3:e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html
1. 「ジョギングは効果ありすぎ」といわれる理由は?

ジョギングは有酸素運動のひとつで、ランニングよりも緩やかな「時速6.4km以下(分速107.3m以下)で走る運動」と紹介されることが多い。主観的判断で「楽〜ややきつい」と感じる運動強度だ。そんなジョギングは「効果がありすぎる」といわれているが、なぜだろうか?一般的にジョギングには、次のような効果が期待できるとされている。
それぞれ詳しく解説していこう。
脂肪燃焼・ダイエット
有酸素運動であるジョギングには脂肪燃焼効果が期待できる。消費カロリーは「体重(kg)×運動時間(h)×運動強度(METs)×1.05」で求められる。ジョギングの運動強度は7.0METs(※1)のため、体重で異なるが10分で50〜120kcal程度を消費できる計算になる。ジョギングの脂肪燃焼効果は短時間でも期待できるという。
骨や筋肉の強化
ジョギングに取り組むことで骨が丈夫になり、筋肉も強くなる。骨が強くなる理由には、運動によって骨を作る細胞が活性化することが関係している。また筋肉が強くなる理由としては、ジョギングによって足腰に強い負荷がかかることが関係している。
加えて、運動に取り組むことで筋肉や関節が柔らかくなり柔軟性が増すという効果も期待できる。
心肺機能・持久力の向上
ジョギングには心肺機能の向上効果も期待できる。肺活量や心拍出量(1分間に心臓から送り出される血液の量)が増えれば、身体に十分な酸素や栄養素を届けられるようになる。結果として運動中の持久力アップや、日常生活で疲れにくくなるといったメリットが生まれる。
生活習慣病予防(血糖値のコントロール)
有酸素運動であるジョギングは生活習慣病の予防にも役立つ。有酸素運動には体脂肪や血中の悪玉コレステロール、中性脂肪を減らす効果があるとされており、高血圧症や冠動脈疾患などの予防にも役立つという。
また生活習慣病を予防するには「3METs以上の運動を週60分以上取り組む」のが望ましい。(※2)ただし一般論であるため、ジョギングを始める前に必ずかかりつけ医や主治医などに相談しよう。
ストレス解消
ジョギングにはストレス発散効果も期待できる。その理由は諸説あるが、有名なのは「エンドルフィンといった脳内物質が分泌され、幸福感が得られるから」というものだ。適度に身体を動かして疲労感や爽快感、達成感が得られることもストレス解消に役立つだろう。
睡眠の質の向上
ジョギングに取り組むことで睡眠の質の向上も期待できる。とくに習慣的に運動に取り組んでいる人は寝付きがよく、深い睡眠が得られる傾向にある。ただし激しい運動は睡眠の妨げになるおそれがあるため注意しよう。(※3)
美脚・美肌・ウエスト引き締め効果も?
筋トレではないため過度な期待はできないが、下半身の筋肉が引き締まることによる美脚効果があるともいわれている。血行や新陳代謝の促進による美肌効果、脂肪燃焼によるウェストの引き締め効果なども期待できる。
ジョギングのみで得られるわけではない、あるいはジョギングが直接的にこうした効果をもたらすわけではないかもしれないが、継続することで何かしらの変化は得られるだろう。
2. ジョギングとそのほかの運動の効果や消費カロリーを比較

日常的な運動にはランニングやウォーキング、筋トレなどもある。ジョギングを比較した場合、効果や消費カロリーにどのような違いがあるのだろうか?運動強度や消費カロリーは速度で変わるため参考値としていただきたい。また体重70kgを想定して算出している。
ランニングとの違い

ランニングとジョギングにはこのような違いがある。ジョギングは日常的な運動不足の解消、健康目的やダイエット目的などでおこなうことが多いが、ランニングはそれよりも強度が高い。なお心拍数については後述しているので、ぜひそちらもご覧いただきたい。
ウォーキングとの違い

ジョギングはウォーキングよりも強度が高くカロリーも効率よく消費できる。ウォーキングの効果に不安を覚えるかもしれないが、継続すれば脂肪燃焼効果や心肺機能の向上効果などは得られる。むしろ初心者や運動不足の人は、ウォーキングから始めることをおすすめしたい。
筋トレとの違い

ジョギングと筋トレはそもそも目的が違う上、運動自体の性質も異なるし取り組む時間も異なる。そのため比較はナンセンスだが念のため紹介させていただいた。こうしてみると筋トレの消費カロリーは少ないが、筋肉の増強が目的なのでその点はさほど気にする必要はない。
逆をいえば、ダイエットなどカロリー消費が目的の人は有酸素運動がおすすめというわけだ。なお筋トレをしたあとにジョギングなどの有酸素運動を取り入れると、さらに効率よくカロリーを消費できる。したがって組み合わせることができればよりよい。
3. ジョギングの正しいやり方

ジョギングにはさまざまな効果が期待できるが、間違ったやり方をすると十分な効果を得られない上、ケガにつながるおそれもある。ジョギングの正しいやり方というものを確認しておこう。
ウェアやシューズをきちんと揃える
形から入ることは大切だ。とりあえず普段の靴でという人もいるが、筋肉や関節にかかる負担を考えた場合、ジョギングシューズを履くのが望ましい。滑りにくい靴下、通気性のよいウェアなども揃えよう。お気に入りならテンションやモチベーションも上がるかもしれない。
ストレッチで身体をよくほぐす
いきなり走るとケガをするおそれがあるため、入念なストレッチで身体をほぐし、温めてから走り始めよう。関節や筋肉を痛めれば日常生活にも影響を及ぼしてしまうし、気持ちも萎えてしまいかねない。ストレッチとジョギングはセットで考えるようにしよう。
ジョギングの正しいフォームを覚える
走り方は人それぞれだが、ジョギングの効果を得るためには正しいフォームを覚えることが大切だ。一つずつ確認しながら進めていこう。
【1.背筋を伸ばしてアゴを引く】
マラソンランナーも短距離ランナーもみんな姿勢がよい。それだけ姿勢が重要ということだ。背筋は伸ばして軽くアゴを引いた状態をキープしよう。
【2.視線はまっすぐ前に向ける】
視線を落としてしまうと頭が下がる。つられて背中も丸くなるなどし、正しいフォームを維持しづらくなる。足元の確認や周囲の状況把握はもちろん大切だが、視線をまっすぐ前に向けることもきちんと意識しておこう。
【3.肩の力を抜いて肘を曲げる】
肩に余分な力が入っているとスムーズに腕が振れず、疲れてしまったり呼吸が乱れてしまったりする。肩の力を抜いて、肘を軽く曲げた状態で走るようにしよう。
【4.肘は後ろに大きく引く】
あまり腕を動かさずにジョギングする人や、前に大きく動かしてジョギングする人も見かけるが、肘は「後ろに大きく引く」が正解だ。これにより推進力が生まれる、テンポよく走れるため疲れにくくなるといったメリットがある。
【5.自然な歩幅で地面を後ろに蹴るように進む】
歩幅は不自然に広げる必要はない。むしろ広すぎると足首などへの負担が増すおそれがあるため、しっくりくる歩幅(ごく自然に踏み出した歩幅)で始めよう。
なお肘を大きく後ろに引くと自然と歩幅も広くなるが、リズミカルに走れていて、なおかつ足首などへの負担がなければそれでもOKだ。
4. ジョギングの効果を高めるためのポイント

ジョギングの効果を正しく得るためのポイントもお伝えしておこう。もちろん基本は何よりも正しいフォームだが、それ以外にも次のようなポイントは押さえておきたい。
最大心拍数の60〜70%を意識する
心拍数を把握することは運動強度を知る上で重要である。たとえば「距離・ペース・疲労感」などで運動強度を判断する人も多いが、主観であり実際は負荷が軽いトレーニングかもしれない。
その点、心拍数は目に見えるため強度を知る指標となる。ではどの程度の心拍数を目指せばよいのか、ここで役立つのが「最大心拍数」だ。
【最大心拍数の求め方は?】
最大心拍数とは、自分の体が上げることができる心拍数の最大値である。一般的に「220−年齢」などで求めることが多い。40歳なら220−40=180といった具合だ。
先述の通りジョギングの心拍数は「最大心拍数×0.6〜0.7」が理想なので、当てはめると40歳の方は「180×0.6(〜0.7)=108〜126/分」が目安となる。
ジョギング前のストレッチで心拍数をある程度まで上げて、そこからジョギング中に最大心拍数×0.6〜0.7まで持っていってキープ、クールダウンで普段の心拍数に戻す。といったように心拍数を意識してみよう。なお心拍数の計測にはウェアラブルデバイスがおすすめだ。
週60分以上を目標に取り組む
目的によるが、生活習慣病予防のためのジョギングであれば「週60分以上取り組む」のが望ましいとされている。たとえば1週間に30分のジョギングを2日取り入れるなどしよう。
従来「20分以上取り組まないと脂肪燃焼効果が期待できない」とされていたが、近年は20分以下でも脂肪は燃焼できるということがわかっている。そのため短時間でもこまめに取り組むとよい。
ダイエット目的なら筋トレのあとに走るのがおすすめ
筋トレで基礎代謝を高めた状態でジョギングをすることで、効率よく脂肪を燃焼しやすくなる。筋トレのあとに分泌される成長ホルモンには脂肪を分解する働きがあるため、その状態でジョギングをしたほうが効率がよいというわけだ。
5. ジョギングを継続するためのコツ

ジョギングに限ったことではないが、運動はとにかく継続することが大切だ。ジョギングを長続きさせるためにはどのようなところを意識すべきなのか、ちょっとしたコツをお伝えしておこう。
無理せずクリアできる目標に設定する
いきなり毎日30分のジョギングを設定しても継続は難しい。まずは身体を慣れさせることが大切だ。10分でも20分でもよいので、無理せずクリアできる目標を設定しよう。
【初心者の方はウォーキングからでもOK】
初心者の人や走ることに不安がある人はウォーキングから始めるのもおすすめだ。1カ月も継続すれば身体も運動に慣れてくるし、途中でジョギングの要素(フォームやペース等)を取り入れて肌で感じながらジョギングに切り替えるタイミングを見計らうのもよい。
ジョギングアプリなどで記録をつける
記録を付けることは大切だ。とりわけウェアラブルデバイスにも対応しているアプリなどがよいだろう。平均ペースやテンポ、消費カロリーや心拍数などアプリによって測定できる項目が異なるため、自分が必要としている情報が手に入るものを選ぼう。
前後の動作と結びつけることで習慣化する
「◯◯をしたらジョギング」「ジョギングをしてから◯◯」といったように、前後の動きと組み合わせてみると思いのほかスムーズに習慣化できる場合がある。日々ジョギングを開始するキッカケにもなるため、こうしたところも意識してみてはいかがだろうか?
仲間を作ったりSNSで宣言したりする
ジョギング仲間やダイエット仲間を見つけて励まし合ったり、SNSをやっている人なら「明日も◯時に走る」など宣言したりするのもよいだろう。一人ではない、誰かが見ていてくれるといった喜びは、継続する上で大変大きなエネルギーとなるはずだ。
筋肉痛になったら無理をせずウォーキングにする
筋肉痛があるときは無理をしてはいけない。痛い部分をかばってほかの部位に負担がかかり、ケガを招くおそれがあるためだ。身体を動かしたければウォーキングに切り替える、室内での階段昇降程度に留めるなどして、コンディションが万全になってから再開しよう。
6. ジョギングの効果に関するよくある疑問

ジョギングの「効果」についてよくある疑問に回答しよう。
1カ月継続すれば効果を実感できる?
ジョギングの効果には個人差がある。強度や頻度でも変わるし、日常生活や食習慣なども関係するためだ。したがって一概にはいえないが、食事管理もしている場合は早くて2週間〜1カ月ほど、ジョギング以外は何も取り入れていない人でも3カ月ほどで、何らかの効果を実感できるようになるといわれている。
筋肉が減ってしまうというのは本当?
走り始めは脂質や糖質がエネルギー源となる(消費される)が、長時間走るとそれらが減少してエネルギー不足となる。代わりに、筋肉を作るたんぱく質がアミノ酸に分解されて消費される。これが筋肉が減少するといわれている理由だ。
筋肉量をキープしたい場合は、30分程度のジョギングを週2〜3日程度にしておくとよいだろう。
結論
ジョギングはほかの運動と比べても決して「効果がありすぎる」わけではない。だが手軽に始められる運動にも関わらず、脂肪燃焼効果、ストレス発散、心肺機能の向上など多くの効果が期待できる。これが「効果がありすぎる」といわれる理由だろう。道具不要で強度も調整しやすいため、運動不足の人でも取り組みやすい魅力がある。ぜひジョギングを取り入れてみてはいかがだろうか?
(参考文献)
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