1. 白菜ってどんな野菜?

白菜は、キャベツなどと同じアブラナ科の葉野菜である。白菜には大きく「結球タイプ」「半結球タイプ」「非結球タイプ」の3種類があるが、日本に流通している多くは、葉が先端まで重なり合っている結球タイプである。現在は1年間を通じて流通しているが、本来の旬は冬頃(10月~2月頃)。実際、東京都中央卸売市場のデータを見ても、白菜の流通量は10月頃に一気に増えている(※2)。
2. 白菜の基本的な栄養価

「日本食品標準成分表」には、「生白菜」や「ゆで白菜」などの栄養価が収録されている。ここでは基本となる「白菜(結球葉/生)」の100gあたりの栄養価を確認しよう。
白菜(結球葉/生)100gあたりの栄養価
- エネルギー:13kcal
- たんぱく質:0.8g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:3.2g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.01g
・一価不飽和脂肪酸:Tr
・多価不飽和脂肪酸:0.03g - ビタミン
・βカロテン:92μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.2mg
・ビタミンK:59μg
・ビタミンB1:0.03mg
・ビタミンB2:0.03mg
・ナイアシン:0.6mg
・ビタミンB6:0.09mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:61μg
・パントテン酸:0.25mg
・ビオチン:1.4μg
・ビタミンC:19mg - ミネラル
・ナトリウム:6mg
・カリウム:220mg
・カルシウム:43mg
・マグネシウム:10mg
・リン:33mg
・鉄:0.3mg
・亜鉛:0.2mg
・銅:0.03mg
・マンガン:0.11mg
・ヨウ素:1μg
・セレン:Tr
・クロム:0μg
・モリブデン:6μg - 食物繊維:1.3g
(・水溶性食物繊維:0.3g)
(・不溶性食物繊維:1.0g)
3. 白菜の特徴的な栄養素

白菜は95%が水分でできており、特別目立った栄養素は含んでいない。しかし、ビタミンC・カリウム・食物繊維などの含有量は多め。また、アブラナ科の野菜である白菜は「イソチオシアネート」という辛味成分も含んでいる。こうした白菜の特徴的な栄養素・成分についても確認しておこう。
その1.ビタミンC
白菜は、100gあたり19mgのビタミンCを含んでおり、これはレタス(5mg)の約4倍である。そんなビタミンCは、体内では皮膚や細胞のコラーゲンを合成するのに役立つ(※3)。また、ビタミンCは「抗酸化ビタミン」の一種であり、過酸化脂質の生成を抑える働きもある(※4)。
その2.カリウム
白菜は、100gあたり220mgのカリウムを含んでいる。カリウムは体液の浸透圧を調整する働きを担っており、体内のナトリウムを排出する作用がある。そのため、ナトリウムの摂取量が多い日本人にとっては重要な栄養素の一つだ(※3)。ほかにも神経や筋肉の興奮伝達などにも関わっている。
その3.食物繊維
白菜は、100gあたり1.3gの食物繊維を含んでいる。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があるが、白菜は水に溶けにくい「不溶性食物繊維」を多く含んでいる。不溶性食物繊維は、便のカサを増やし、腸を刺激して働きをよくするといわれている(※5)。
その4.イソチオシアネート
アブラナ科の野菜である白菜は、辛味成分である「イソチオシアネート」を含んでいる。そんなイソチオシアネートには、「抗酸化作用」があるといわれている(※6)。抗酸化作用とは、体内の活性酸素の発生を抑制したり、取り除いたりする働きのことである(※4)。
4. 主な白菜料理の三大栄養素

「日本食品標準成分表」には、ゆで白菜、塩漬け、キムチなどの栄養価も収録されている。そこで以下にこれらの白菜料理の主な栄養価をまとめておく。
白菜料理の三大栄養素のまとめ
- 白菜(ゆで):カロリー13kcal、たんぱく質0.9g、脂質0.1g、炭水化物2.9g、食物繊維1.4g
- 白菜(塩漬け):カロリー17kcal、たんぱく質1.5g、脂質0.1g、炭水化物3.3g、食物繊維1.8g
- 白菜(キムチ):カロリー27kcal、たんぱく質2.3g、脂質0.1g、炭水化物5.4g、食物繊維2.2g
5. 白菜の栄養を上手に摂るコツ

白菜は鍋料理をはじめ、炒め物や漬物などさまざまな料理に使うことができる。しかし、白菜に含まれるビタミンCやカリウムなどは水溶性であるため、水に浸けておくと栄養素が流出してしまうので注意が必要だ。そこで白菜の栄養素を上手に摂るコツについても確認しておこう。
その1.スープで汁ごと飲む
白菜に含まれるビタミンCやカリウムなどは水溶性(水に溶け出しやすい)の栄養素であるため、スープや煮込み料理などにする場合は汁ごと食べるのがおすすめだ。また、スープにする場合は薄味にして、白菜をはじめ肉・魚・野菜などのうま味を生かして食べるようにしよう。
その2.淡色野菜合計で230g食べよう
白菜の1日あたりの上限量は決められていない。しかし、厚生労働省の「健康日本21」によれば(※7)、1日あたりの野菜の摂取目安量は350g以上で、そのうち白菜などの淡色野菜の摂取目安量は230g以上となっている。キャベツや玉ねぎ、大根といった淡色野菜と合わせて、1日に230g程度食べるようにしよう。
6. 白菜に関する疑問・質問に回答

ここまで白菜の栄養価・栄養素を中心に説明してきたが、まだ白菜について知りたいこともあるだろう。そこで最後に、白菜全般に関する疑問・質問に回答しておこう。
Q1.美味しい白菜を選ぶポイントは?
白菜を丸ごと購入する場合は「ずっしりと重量感があるもの」「葉先までしっかりとしているもの」を選ぶのがポイント。また、カットされている白菜を購入する場合は「切り口がみずみずしいもの」「葉がぎっしりと詰まっているもの」を選ぶのがよい。なお、カットされている白菜でも成長はするため、中心部分が膨らんでいるものは避けるようにしよう。
Q2.長崎白菜(唐人菜)の栄養価は?
長崎白菜(唐人菜)は、長崎県で古くから栽培されている半結球タイプの白菜である。そんな長崎白菜の栄養価も「日本食品標準成分表」には収録されており(※1)、通常の結球タイプの白菜に比べると全体的に長崎白菜のほうが栄養価は高くなっている。特にβカロテンは豊富で、100gあたり1900μgである。結球タイプと異なり、長崎白菜は非常に栄養価が優れている野菜といえるだろう。
Q3.白菜を美味しく保存するには?
白菜は、基本的に冷蔵庫で保存することが多い。冷蔵庫で保存する場合は、濡らしたキッチンペーパーで切り口を覆ってから、食品用ラップなどに包んで保管するとよい。また、白菜は冷蔵保存だけでなく、常温保存・冷凍保存・乾燥保存(ドライ保存)も可能となっている。それぞれのやり方は別ページで解説しているので確認してみよう。
この記事もCheck!
結論
鍋料理の常連食材である「白菜」は、ビタミンCやカリウム、食物繊維などの栄養素を多く含んでいる。ただし、ビタミンCやカリウムなどは水溶性の栄養素であるため、水に長く浸けておくと栄養素が流出してしまう可能性がある。鍋料理やスープ、煮込み料理などにする場合は、薄味にして汁まで残さず食べられるようにしよう。
【参考文献】
■※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
■※2:東京都中央卸売市場「市場統計情報(月報・年報)」
https://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/geppo/
■※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
■※4:e-ヘルスネット「トップページ」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
■※5:健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
■※6:日本家政学会誌「植物性食品成分イソチオシアネートの反応性とその生理的関連性」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/70/7/70_448/_article/-char/ja/
■※7:厚生労働省「健康日本21(栄養・食生活)」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b1f.html
■※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
■※2:東京都中央卸売市場「市場統計情報(月報・年報)」
https://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/geppo/
■※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
■※4:e-ヘルスネット「トップページ」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
■※5:健康長寿ネット「食物繊維の働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
■※6:日本家政学会誌「植物性食品成分イソチオシアネートの反応性とその生理的関連性」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/70/7/70_448/_article/-char/ja/
■※7:厚生労働省「健康日本21(栄養・食生活)」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b1f.html
この記事もCheck!