1. グリーンピースとはどんな食べ物か?
まずはグリーンピースの基礎知識から簡単に解説していこう。
熟す前のえんどう豆の実
「グリーンピース・さやえんどう・えんどう豆」これらはいずれも同じ植物である。さやが柔らかいうちに早採りしたものがさやえんどう、成熟したものがえんどう豆となる。グリーンピースはその中間で、さやえんどうがやや成長したものだが、実が未熟なものを指す。グリーンピースは冷凍や缶詰などで通年手に入る「実えんどう」だ。
グリーンピースの生産地と旬
グリーンピースの国内生産量第1位は和歌山県である。2位の鹿児島県の2倍以上の生産量を誇り、全生産量の約半分を占めている。通年手に入るものの、春から初夏が出荷最盛期、つまり旬である。
この時期の生鮮グリーンピースは、甘味に加え風味もよい。料理としては脇役の印象が強いグリーンピースだが、栄養価においては主役級の非常に優秀な野菜なのだ。豆ご飯や卵とじなどで旬の味わいを楽しみつつ、その栄養にあやかることができる。
この時期の生鮮グリーンピースは、甘味に加え風味もよい。料理としては脇役の印象が強いグリーンピースだが、栄養価においては主役級の非常に優秀な野菜なのだ。豆ご飯や卵とじなどで旬の味わいを楽しみつつ、その栄養にあやかることができる。
2. グリーンピースの栄養と効能は?
グリーンピースは小さいが栄養豊富な食品だ。では、具体的にどんな栄養素が含まれていて、どんな効能があるのか紹介する。まずは文部科学省「食品成分データベース」(※1)より、100g中に含まれる主な栄養素を抜粋して紹介しよう。
グリーンピース100gあたりの主な栄養素一覧
- エネルギー:93kcal
- たんぱく質:6.9g
- 脂質:0.4g
- 炭水化物:15.3g
- ナトリウム:1mg
- カリウム:340mg
- カルシウム:23mg
- マグネシウム:37mg
- リン:120mg
- 鉄:1.7mg
- 亜鉛:1.2mg
- 銅:0.19mg
- マンガン:0.48mg
- βカロテン:410μg
- ビタミンK:27μg
- ビタミンB1:0.39mg
- ビタミンB2:0.16mg
- ナイアシン:2.7mg
- ビタミンB6:0.15mg
- 葉酸:76μg
- パントテン酸:0.63mg
- ビオチン:6.3μg
- ビタミンC:19mg
- 水溶性食物繊維:0.6g
- 不溶性食物繊維:7.1g
ご覧のように、グリーンピースはミネラル類やビタミン類、それに食物繊維なども多く含まれている。主な栄養素とその効能について解説しよう。
食物繊維
グリーンピースの栄養成分で特筆すべきは、食物繊維の多さだ。グリーンピースひと握りで、大盛りサラダ1杯分に相当するほどの量といわれている。食物繊維は便秘の改善や整腸作用、血糖値の上昇を緩やかにするなどの効果がある(※2・※3)。
たんぱく質
多くの豆類には植物性たんぱく質が含まれており、グリーンピースも例外ではない。たんぱく質は体を作るほか、さまざまな器官の機能に影響を与えるたいへん重要な栄養素だ(※4)。動物性食品からも摂取可能だが、その場合は脂肪分が気になる。グリーンピースにはほとんど脂肪分が含まれていないため、ヘルシー志向の方にはうれしい食材だ。
カリウム
カリウムには、ナトリウムを体の外に排出する働きがある。塩分の摂り過ぎを調節するために重要な役割を担う栄養素である。また、細胞内液の浸透圧を一定に保つ作用があるほか、水分代謝を促進する効果があるため、むくみ解消にも効果的だ(※5)。
亜鉛
亜鉛はミネラルのひとつで、体内で合成できないため食べ物から摂取する必要がある。味覚などに影響を与え、不足すると味覚異常を招く場合がある。積極的に摂取したい栄養素ではあるが、過剰摂取は中毒症を招くこともあるためバランスを心がけることが大切だ(※6)。
ビタミンB1
ビタミンCなどと同じ「水溶性ビタミン」で、体内で起こるさまざまな代謝に必要な酵素の働きをサポートする役割を担っている。中でもビタミンB1は、食事で摂取した炭水化物をエネルギーに変換する働きがあるほか、脳や神経系統の機能の正常化にも役立つ栄養素だ(※7)。
βカロテン
体内でビタミンAに変わる栄養素で、活性酸素の働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除いたりする作用がある「抗酸化ビタミン」のひとつである。動脈硬化や老化、がんの予防効果などが期待できるといわれている(※8)。
缶詰のグリーンピースの栄養は?
スーパーなどでは缶詰で売られていることが多い。常温で長期間保存できるうえ、すぐに使えて便利だが、栄養価は同じなのだろうか?缶詰の場合、そのまま食べられるように一度ゆでてある。このため、水溶性の栄養素は多少なりとも流失していることが考えられる。とはいえ、ご家庭で生のグリーンピースを調理する際もゆでることから、そこまで大きな差はないと考えてよいだろう。
3. グリーンピースの選び方と保存方法
続いて、グリーンピースを選ぶときのポイントや保存方法を解説する。もちろん缶詰や冷凍ではなく、生のグリーンピースに関するものだ。
グリーンピース選びのポイント
さやを剥くと乾いてしまうため、選ぶときはさやつきがおすすめだ。そのうえで緑色が鮮やかなもの、さやが丸くふっくらしておりハリがあるものを選ぼう。
グリーンピースの保存方法
生のグリーンピースを保存する際は乾燥させないように気をつけ、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しよう。あるいは、買ってきてすぐに塩ゆでし、冷凍保存するのもおすすめだ。
4. グリーンピースの栄養を効率よく摂るおすすめの食べ方
簡単に作れるうえに美味しい、グリーンピースのおすすめメニューを紹介する。
グリーンピースごはん
洗ったグリーンピースをご飯と一緒に炊くだけの、グリーンピース定番の料理だ。炊く前に塩を少々加えるとなおよい。せっかくならミネラル塩を入れてみてはいかがだろうか。
パスタ
好きなパスタにグリーンピースを加えてみよう。それだけで、パスタひと皿の栄養価が一気にアップする。また、グリーンピースを入れるだけで見た目も華やかになる。
ベーコンソテー
ベーコンとバターでソテーするだけで、栄養価バツグンのひと皿が完成する。グリーンピースとベーコンだけでは寂しいという場合は、玉ねぎやニンジンなども一緒にソテーしよう。見た目も綺麗になるうえ栄養価も高くなる。
スープ
玉ねぎなどで作ったコンソメスープに、グリーンピースを入れてフードプロセッサーで潰すだけで作れる。お好みで残しておいたグリーンピースをトッピングするのもおすすめだ。バケットなどを添えれば朝食にもなるし、冷製にしても美味しくいただける。
オープンオムレツ
軽く火を通したグリーンピースを一度冷まし、卵液に入れてオムレツにする。お好みでほかの野菜を入れてもよい。ケチャップなどで食べると美味しいのでぜひ試してみてほしい。
βカロテンをいただくなら炒めもの
βカロテンは油に溶ける「脂溶性ビタミン」である。効率よく吸収するには、オリーブオイルなど良質な油を使った炒めものに混ぜるとよいだろう。炒めものならほかの野菜や肉とも合わせやすいのでおすすめだ。
結論
グリーンピースはミネラルやビタミンを豊富に含む、栄養価が高い食材だ。とくに、日本人のほとんどが不足しているといわれる食物繊維が多く含まれている。日々の食事に上手に取り入れていくためにも、本稿を参考にぜひ、いろいろな食べ方を試してみてはいかがだろうか。
(参考文献)
- 1:文部科学省 食品成分データベース「野菜類_(えんどう類)_グリンピース_生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=06_06023_6 - 2:厚生労働省「食物繊維の必要性と健康 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html - 3:厚生労働省「食物繊維 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html - 4:厚生労働省「たんぱく質 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html - 5:厚生労働省「カリウム _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html - 6:厚生労働省「ミネラル _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html - 7:厚生労働省「ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html - 8:厚生労働省「抗酸化ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html
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