1. かぼちゃの基本的な栄養価

「日本食品標準成分表2020年版(八訂))」には、西洋かぼちゃや日本かぼちゃなどの栄養価が収録されている。また、生かぼちゃだけでなく、「ゆで」や「冷凍」の栄養価も収録されている。まずは基本となる「西洋かぼちゃ(生)」と「日本かぼちゃ(生)」の100gあたりの栄養価を確認しよう。
西洋かぼちゃ(生)の栄養価
- エネルギー:78kcal
- たんぱく質:1.9g
- 脂質:0.3g
- 炭水化物:20.6g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.04g
・一価不飽和脂肪酸:0.06g
・多価不飽和脂肪酸:0.06g - ビタミン
・βカロテン:3900μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:4.9mg
・ビタミンK:25μg
・ビタミンB1:0.07mg
・ビタミンB2:0.09mg
・ナイアシン:1.5mg
・ビタミンB6:0.22mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:42μg
・パントテン酸:0.62mg
・ビオチン:1.7μg
・ビタミンC:43mg - ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:450mg
・カルシウム:15mg
・マグネシウム:25mg
・リン:43mg
・鉄:0.5mg
・亜鉛:0.3mg
・銅:0.07mg
・マンガン:0.13mg
・ヨウ素:Tr
・セレン:1μg
・クロム:0μg
・モリブデン:5μg - 食物繊維:3.5g
(・水溶性食物繊維:0.9g)
(・不溶性食物繊維:2.6g)
日本かぼちゃ(生)の栄養価
- エネルギー:41kcal
- たんぱく質:1.6g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:10.9g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.01g
・一価不飽和脂肪酸:Tr
・多価不飽和脂肪酸:0.03g - ビタミン
・βカロテン:700μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:1.8mg
・ビタミンK:26μg
・ビタミンB1:0.07mg
・ビタミンB2:0.06mg
・ナイアシン:0.6mg
・ビタミンB6:0.12mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:80μg
・パントテン酸:0.5mg
・ビオチン:1.7μg
・ビタミンC:16mg - ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:400mg
・カルシウム:20mg
・マグネシウム:15mg
・リン:42mg
・鉄:0.5mg
・亜鉛:0.3mg
・銅:0.08mg
・マンガン:0.1mg
・ヨウ素:Tr
・セレン:Tr
・クロム:0μg
・モリブデン:2μg - 食物繊維:2.8g
(・水溶性食物繊維:0.7g)
(・不溶性食物繊維:2.1g)
2. かぼちゃに多く含まれる栄養素

かぼちゃは緑黄色野菜の一種であり、βカロテンなどをはじめビタミン類を多く含む。また、炭水化物も多くて、身体を動かすためのエネルギー源にもなる。このようにかぼちゃは人間に必要な栄養素を多く含んでいる(※2)。そこで具体的にどのような栄養素がかぼちゃに多いのか確認しておこう。
その1.β カロテン
緑黄色野菜はβカロテンを多く含むことが特徴だが、西洋かぼちゃも同じく100gあたり3900μgものβカロテンを含んでいる。β カロテンは体内でビタミンAに変化し、目や皮膚の健康をサポートしてくれる(※3)。また、β カロテンは「抗酸化物質」として働くことも知られている(※4)。なお、日本かぼちゃのβカロテン量は西洋かぼちゃよりも少ない。
その2.ビタミン類
かぼちゃはβカロテン以外にも、ビタミンCやビタミンEなどのビタミン類も多く含んでいる。ビタミンCには体内で皮膚や組織のコラーゲンの合成をサポートする働きなどがあり、ビタミンEには生体膜の機能を正常に保つ働きなどがある(※3)。また、いずれもβカロテンと同じ「抗酸化物質」であり、体内の活性酸素を取り除いたり、発生を防いだりする働きを有している(※4)。
その3.カリウムなど
かぼちゃは、100gあたり450mgのカリウムを含んでいる。カリウムは主に体内では細胞の浸透圧を調整する働きがあり、体内の不要なナトリウムを排出する役割を担っている。そのため、ナトリウムの摂取量が多い日本人にとって、カリウムは重要なミネラルの一つとされている(※3)。なお、カリウムは一般的に野菜類・キノコ類・海藻類などのような食品に多く含まれる。
その4.炭水化物(糖質と食物繊維)
かぼちゃは炭水化物を多く含んでいる野菜である。炭水化物は体内でエネルギー源となる「糖質」と吸収されない「食物繊維」に分類できるが、いずれも多いことが特徴である。また、食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分かれるが、かぼちゃには不溶性食物繊維が豊富となっている。食物繊維はぜん動運動を活発にする働きなどがあり、お通じをよくするなどが期待できる(※4)。
3. かぼちゃの重さ別のカロリーと糖質量

かぼちゃの100gあたりの栄養価は前述のとおりだが、スーパーや八百屋で見かけるかぼちゃは丸のままだったり、カットされていたりとさまざまな大きさとなっている。そこで重さ別のかぼちゃのカロリーと糖質量についてもまとめておく。なお、かぼちゃは普通サイズのものを参考にしている。
かぼちゃの重さ別のカロリー
- 1玉(可食部約1400g):1092kcal
- 1/2玉(可食部約700g):546kcal
- 1/4玉(可食部約350g):273kcal
- 1口大(可食部約30g):23kcal
かぼちゃの重さ別の糖質量
- 1玉(可食部約1400g):239.4g
- 1/2玉(可食部約700g):119.7g
- 1/4玉(可食部約350g):59.8g
- 1口大(可食部約30g):5.1g
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4. 調理法別のかぼちゃの栄養価を紹介

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には、生のかぼちゃだけでなく「ゆでかぼちゃ」や「冷凍かぼちゃ」などの栄養価も収録されている。これによるとたんぱく質量や炭水化物量など、主な栄養価は以下のようになっている。
かぼちゃの状態別の主な栄養価
- かぼちゃ(ゆで):カロリー80kcal、たんぱく質1.6g、脂質0.3g、炭水化物21.3g、食物繊維4.1g
- かぼちゃ(冷凍):カロリー75kcal、たんぱく質2.2g、脂質0.3g、炭水化物18.5g、食物繊維4.2g
- かぼちゃ(生):カロリー78kcal、たんぱく質1.9g、脂質0.3g、炭水化物20.6g、食物繊維3.5g
5. かぼちゃを食べるときの注意点

栄養価が優れているかぼちゃではあるが、食事量や調理方法などには注意が必要だ。ここではかぼちゃを食べるときの注意点についても紹介しておこう。
注意点1.食べ過ぎないようにする
かぼちゃは栄養素に優れているが、食べ過ぎすぎるとカロリー過多になってしまう可能性もある。明確な1日の食べる量は決められていないが、農林水産省などが提唱する「食事バランスガイド」を参考にすると(※5)、かぼちゃの煮物で100g程度(1SV)が目安となっている。
注意点2.栄養流出に気を付ける
皮や実が硬いかぼちゃは一般的に下茹ですることが多い。しかし、かぼちゃをゆでると、ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンが流出してしまう。かぼちゃの栄養素をしっかりと摂りたいなら、全部食べられるスープや汁物にするのがおすすめ。また、かぼちゃをサラダなどに使いたい場合は、電子レンジを使って下茹でするとよい。
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結論
かぼちゃは甘くて美味しいだけでなく、βカロテンをはじめとする栄養素が豊富な野菜である。夏に収穫されて冬に多く流通しているが、現在はハウス栽培も盛んで一年中スーパーや八百屋で購入することが可能だ。ぜひ寒い時期だけでなく、一年を通してかぼちゃを食べるようにしよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:農畜産業振興機構「野菜ブック」
https://www.alic.go.jp/content/001162847.pdf - ※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf - ※4:厚生労働省「e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ - ※5:農林水産省「食事バランスガイド」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/chart.html
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