目次
1. ズッキーニとは?

ズッキーニは、キュウリを大きくしたような見た目が特徴的ではあるが、実はウリ科カボチャ属の植物であり「カボチャ」の仲間である。大きく「グリーンズッキーニ」と「イエローズッキーニ」があり、お店でよく見かけるグリーンズッキーニはやや青臭く、食感は生だとカボチャっぽく、炒めるとナスっぽくなる。サラダ・炒め物・ソテー・スープなど、さまざまな料理に使うことができる。
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2. ズッキーニの基本的な栄養価

「日本食品標準成分表」には、生のズッキーニの栄養価が収録されている。そこで以下に、100gあたりの「ズッキーニ(果実/生)」の栄養価をまとめておく。
ズッキーニ(生)100gあたりの栄養価
- エネルギー:16kcal
- たんぱく質:1.3g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:2.8g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.03g
・一価不飽和脂肪酸:Tr
・多価不飽和脂肪酸:0.03g - ビタミン
・βカロテン:310μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.4mg
・ビタミンK:35μg
・ビタミンB1:0.05mg
・ビタミンB2:0.05mg
・ナイアシン:0.4mg
・ビタミンB6:0.09mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:36μg
・パントテン酸:0.22mg
・ビオチン:2.7μg
・ビタミンC:20mg - ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:320mg
・カルシウム:24mg
・マグネシウム:25mg
・リン:37mg
・鉄:0.5mg
・亜鉛:0.4mg
・銅:0.07mg
・マンガン:0.15mg
・ヨウ素:Tr
・セレン:Tr
・クロム:1μg
・モリブデン:6μg - 食物繊維:1.3g
(・水溶性食物繊維:0.2g)
(・不溶性食物繊維:1.1g)
3. ズッキーニに含まれる特徴的な栄養素

前述のとおり、ズッキーニは低カロリーであることに加え、ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などをバランスよく含んでいる。中でも注目したいのが、ビタミンK、ビタミンC、βカロテン(ビタミンA)、カリウムという4つの栄養素だ。ここでは、そんなズッキーニの栄養素の特徴を紹介する。
その1.ビタミンK
ズッキーニは、100gあたり35μgのビタミンKを含んでいる。ビタミンKは、血液凝固や丈夫な骨作りに関与しており、動脈の石灰化を抑制する作用もある。成人男性(18~64歳)の1日あたりの摂取目安量は150μgであり、ズッキーニを100g食べると23%程度補える。なお、健康な人が通常の食事をしている分には、「ビタミンKが不足することはない」といわれている(※2)。
その2.ビタミンC
ズッキーニは、100gあたり20mgのビタミンCを含んでいる。ビタミンCは、皮膚や骨、腱などのコラーゲンを生成するのに必要なビタミンである(※2)。また、抗酸化ビタミンの一種であり、体内の活性酸素を取り除いたり、過酸化脂質の生成を抑えたりする働きを有している(※3)。成人男性(18~64歳)の1日あたりの摂取推奨量は100mgで、ズッキーニ100gで20%程度を補うことが可能だ。
その3.βカロテン
ズッキーニは、100gあたり310μgのβカロテンを含んでいる。βカロテンは、体内ではビタミンAに変換されて、目や皮膚の健康を保つ働きをする(※2)。また、βカロテンも「抗酸化作用」を有するため、体内の活性酸素の発生を抑えたり、取り除いたりする働きがある(※3)。なお、「日本人の食事摂取基準」ではβカロテン単体での必要量は定められていない。
その4.カリウム
ズッキーニは、100gあたり320mgのカリウムを含んでいる。カリウムは、細胞の浸透圧の調整に関与する栄養素であり、ナトリウムを排出する働きも有している。そのため、特にナトリウム(食塩)の摂取量が多い日本人にとっては重要な栄養素といわれている。成人男性(18~64歳)の1日あたりの摂取目標量は3000mg以上であり、ズッキーニ100gで10%程度補うことができる。
4. ズッキーニとキュウリとの栄養面の違い

ズッキーニはキュウリと似ている野菜ではあるが、栄養面にはどのような違いがあるのだろうか。前述した、カリウム、βカロテン(ビタミンA)、ビタミンK、ビタミンCの栄養価を比べてみよう。
ズッキーニとキュウリとの栄養価の比較
- ズッキーニ:カリウム320mg、βカロテン310μg、ビタミンK35μg、ビタミンC20mg
- キュウリ:カリウム200mg、βカロテン330μg、ビタミンK34μg、ビタミンC14mg
カリウムの含有量はズッキーニが多い
4つの栄養素を比較してみると、カリウム、ビタミンK、ビタミンCの含有量はズッキーニのほうが多い。特にカリウムの含有量は多く、キュウリの1.6倍となっている。一方で、βカロテンの含有量はキュウリのほうがやや多い。なお、このほかの栄養価もほとんど同じくらいとなっている(※1)。
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5. ズッキーニの栄養素を上手に摂るコツ

ズッキーニには、カリウム、βカロテン、ビタミンK、ビタミンCといった栄養素が多く含まれている。そんなズッキーニの栄養素を効率よく摂るためのコツについても確認しておこう。
コツ1.油炒めなどで吸収率アップ
ズッキーニは生食も可能だが、βカロテンやビタミンKなどを効率よく吸収するために油炒めなどにするのがおすすめ。これらの栄養素は脂溶性ビタミンと呼ばれており、食用油と一緒に摂ると効率よく吸収できる。また、ズッキーニのフライ、フリッター、天ぷらなどもおすすめとなっている。
コツ2.スープ・汁物などもおすすめ
ズッキーニに含まれるビタミンCやカリウムは水溶性の栄養素であるため、長く水に浸けたり、茹でたりすると栄養素が流出してしまう(※4)。しかし、スープや汁物などにすれば、水(お湯)に溶け出した栄養素も摂れる。スープまで美味しく食べて、ズッキーニの栄養素を残さず摂ろう。
6. ズッキーニの栄養に関するよくある質問

ここまでズッキーニの栄養価や栄養素などについて詳しく解説してきた。しかし、まだ「ズッキーニの糖質量がどれくらいなのか」「1日にどの程度食べていいのか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後にズッキーニの栄養面に関するよくある質問・疑問に回答しておこう。
Q1.ズッキーニの糖質量はどれくらい?
前述の栄養価の一覧にはないが、ズッキーニの100gあたりの糖質量は1.5g程度(炭水化物2.8g-食物繊維1.3g)となっている。そのため、低カロリーというだけでなく、低糖質な野菜ともいえる。糖質制限を行っている人にとっても、おすすめの野菜といえるだろう。
Q2.ズッキーニは1日にどれくらい食べていいの?
ズッキーニの1日あたりの上限量は特別決められていない。しかし、厚生労働省が始めた「健康日本21」によれば(※5)、1日に野菜を350g以上(緑黄色野菜120g、その他の野菜230g)食べることが目標とされている。このうち、ズッキーニは「その他の野菜」に含まれるため、他の淡色野菜と合わせて230g以上を目安に食べるようにしよう。
Q3.ズッキーニの苦味が強いが食べられる?
苦味や渋みが異常に強いズッキーニは破棄したほうがよい。一般的に出回っているズッキーニは苦味や渋みが少ない。しかし、中にはウリ科に含まれる「ククルビタシン」と呼ばれる苦味成分が多いズッキーニもあるという。また、このククルビタシンは食中毒の原因になり、下痢・嘔吐・腹痛などを引き起こす可能性がある。そのため、強い苦味や渋みを感じた場合は食べずに捨てよう(※6)。
結論
ズッキーニは、低カロリー・低糖質であることに加えて、ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などをバランスよく含んでいる。特にビタミンK、ビタミンC、βカロテン、カリウムなどの栄養素の含有量が多い。いずれも大切な栄養素なので、ズッキーニを上手に日々の食生活に取り入れてみよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf - ※3:e-ヘルスネット「抗酸化ビタミン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html - ※4:国立健康・栄養研究所「ビタミンについて」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail178.html - ※5:厚生労働省「健康日本21」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b1.html#A13 - ※6:農林水産省「消費者相談」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1106/01.html
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