目次
1. えのきは冷凍保存が可能?

えのきは冷凍保存が可能だ。一般的に魚類や野菜類などの生鮮食品を冷凍すると、組織が壊れて食感が悪くなったり、栄養分が逃げてしまったりする(※1)。しかし、えのきは冷凍や解凍をしても食感が変わりにくいのが特徴。また、組織が壊れることでえのきに含まれるうま味成分が染み出るため、より美味しく食べられる。そのため、えのきは冷凍保存しても問題ない。
2. えのきを冷凍保存する3つのメリット

えのきを冷凍保存すると「長期保存ができる」「うま味成分が増える」など、冷蔵保存とは異なるメリットが期待できる。そこでえのきを冷凍保存することのメリットをいくつか確認しておこう。
メリット1.長期保存が可能になる
えのきの保存期間は、冷蔵保存の場合は1週間程度とされている。一方、冷凍保存の場合は1か月程度の保管が可能となっている。保存期間が長くなる理由には、えのきを冷凍することで、劣化の原因となる食品中の微生物が活動を停止するからだ(※2)。そのため、1か月程度の長期保存ができるようになる。ただし、冷凍焼け(酸化・乾燥)は防げないので、できる限り早めに食べるようにしよう。
メリット2.うま味成分が多くなる
えのきのうま味成分である「グアニル酸」は、細胞内の「ヌクレアーゼ」という酵素の働きによって作られる。この酵素の特徴は加熱や冷凍などによって、組織がダメージを受けると活動し始めるというものだ。えのきを冷凍保存すると、うま味成分が増えてより美味しく食べられるようになる。
メリット3.キノコキトサンが増える
近年、えのきに含まれる「キノコキトサン」という抗肥満成分に注目が集まっている(※3)。このような成分もえのきの細胞内に多く含まれているため、加熱や冷凍などにより組織を壊しておくほうが効率よく吸収できるという。このようにえのきの冷凍保存は、健康面にも役立つ可能性もある。
3. えのきの基本的な冷凍保存のやり方

それではえのきの冷凍保存のやり方を確認しよう。冷凍保存のやり方にはいくつかあるが、ここでは基本的な「生のまま保存する方法」を紹介する。また、注意点も説明するので確認しておこう。
生のえのきの冷凍保存の手順
- えのきの石づき部分を切り落とす
- えのきを使いやすい長さに切っておく
- 根元に近い部分をバラバラにほぐす
- 冷凍用保存袋にえのきを入れてチェックをする
- できるだけ広げた状態で袋のまま冷凍庫で保管する
※1時間後くらいに軽く揉むと使いやすくなる
えのきを冷凍保存する際の注意点
えのきに限らず、ほとんどのキノコ類は洗う必要はない。むしろキノコ類は水分に弱いため、早く劣化してしまう可能性がある。また、冷凍する際に水分がついていると、えのきどうしがくっついたまま固まってしまう可能性もある。そのため、えのきは乾いた状態のままで冷凍しよう。また、酸化や乾燥、ニオイ移りを防ぐために、密閉できる冷凍用保存袋などを使うようにしよう。
4. えのきの冷凍保存のテクニック3選

えのきの基本的な冷凍保存方法は前述の通りだが、えのきは加工したり調理したりしてからでも保存が可能になっている。そこで冷凍保存に役立つテクニックを2つ紹介しておこう。
その1.ペースト状にして保存する(えのき氷)
- えのきの石づき部分を切り落とす
- えのきを1/3くらいの長さに切っておく
- ミキサーにえのきと水(1.3倍程度)を加える
- ミキサーを攪拌してペースト状にする
- (4)のペーストを鍋に移して沸騰直前まで加熱する
- 焦がさないよう弱火で1時間ほどじっくり煮詰める
- 火を止めて冷まし、製氷皿に入れて冷凍庫で凍らせる
- 完全に凍ったら冷凍用保存袋に入れて冷凍保存する
その2.調理してから保存する
- えのき料理の粗熱を取っておく
- 冷凍用保存袋に移し替えてチェックをする
※ラップなどでしっかりと包む方法でもよい - できるだけ広げた状態で袋のまま冷凍庫で保管する
その3.乾燥させてから保存する(干しえのき)
- えのきに石づき部分を切り落とす
- えのきを軽くほぐしてからザルに乗せる
- 2~3日天日干しして完全に乾燥させる
- 冷凍用保存袋に移して冷凍庫で保管する
※2~3か月程度は美味しく保存できる
5. 冷凍えのきの解凍方法と使い方

冷凍したえのきは特に解凍する必要はない。凍ったまま汁物や炒め物、和え物、ホイル焼などに使うようにしよう。また、自然解凍や電子レンジ解凍をするとえのきからうまみ成分を含んだ水分が出てしまう。それを捨ててしまうとうま味や栄養を無駄にしてしまうので注意しよう。なお、えのき氷の使い方も基本的には同じで、凍ったままスープや煮物などに加えて美味しく食べるようにしよう。
6. 冷凍えのきで作るおすすめ料理3選

前述のとおり、冷凍えのきは汁物・炒め物・和え物・ホイル焼きなど、さまざまな料理に使える。ここではそんなえのき料理の中から、特におすすめのえのき料理を3種類紹介する。
料理1.なめたけ
冷凍えのきを使って、最近人気の「なめたけ」を作ってみるのもおすすめだ。作り方は鍋に冷凍えのき・酒・砂糖・醤油を加えて煮詰めればOKだ。そのまま食べてもビールなどに合うが、ご飯に乗せたり、パスタにトッピングしたりしても美味しい。
料理2.えのきのナムル
冷凍えのきを使ったスピード料理の一つが「えのきのナムル」。冷凍ナムルを耐熱容器に入れ、電子レンジ(600W)で2分ほど加熱。それから、ゴマ油やゴマなどを加えてサッと和えれば完成だ。冷凍えのきのうま味を存分に楽しめる食べ方の一つといえる。
料理3.えのきのソテー・炒め物
えのきのソテーや炒め物もおすすめ料理の一つ。バターを溶かしたり、ゴマ油を引いたりしたフライパンに冷凍えのきを加えて炒める。そして火が通ったら、塩・コショウ・醤油などで味付けすれば完成だ。えのきだけでもいいが、ベーコンやイカなどと一緒にソテーにしても美味しい。
7. えのきの冷凍に関する質問・疑問

ここまで、えのきの冷凍方法について詳しく解説してきた。しかし、なぜ冷凍えのきが茶色くなるのか、食べられない冷凍えのきはどんなものかなど、よくある質問・疑問に回答する。
Q1.冷凍したらえのきが茶色くなった!
「ブラウンえのき」などを除けば、基本的にえのきは白っぽい見た目をしている。しかし、冷凍すると茶色くなってしまうことがある。この主な理由は「酸化」であり、通常はえのきが長時間空気に触れていることで起こる。酸化による変色であれば食べることは可能だが、風味などは落ちている可能性が高い。冷凍保存している場合でも、酸化する可能性はあるためできるだけ早く食べ切ろう。
Q2.食べないほうがいい冷凍えのきとは?
前述のとおり、少しの変色であればえのきは食べられる。しかし「鼻を付くような異臭がする」「カビが生えている」「異常なヌメリ感がある」といった異変が見られる場合は、冷凍していたとしても食べないほうがよい。基本的には冷凍していれば腐敗の心配はないが、例えば、冷凍が不十分であったり、再冷凍を繰り返していたりすると、傷んだり腐ったりしてしまう可能性はある。
結論
えのきの保存方法は「冷蔵保存」が一般的ではあるが、実は「冷凍保存」のほうが長期保存できたり、うま味成分が増えたりするためおすすめとなっている。そのため、ここで紹介したような冷凍方法を参考に試してみよう。また、えのき、しいたけ、しめじ、まいたけなどを食べやすい大きさに切り揃えて「ミックスきのこ」を作って保存しておくのも便利である。
【参考文献】
■※1:農林水産省「ホームフリージングを行う際は、どんな点に注意すればよいですか。また、どのような食品がホームフリージングに向きますか。」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1810/01.html
■※2:ベターホームのお料理教室「家庭での冷凍・解凍の基本を、科学的な観点からまとめました」
https://www.betterhome.jp/lp/book_01/
■※3:日本きのこ学会誌「肥満モデル動物におけるキノコキトサンの抗肥満効果」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/msb/21/1/21_KJ00008639248/_article/-char/ja/
■※1:農林水産省「ホームフリージングを行う際は、どんな点に注意すればよいですか。また、どのような食品がホームフリージングに向きますか。」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1810/01.html
■※2:ベターホームのお料理教室「家庭での冷凍・解凍の基本を、科学的な観点からまとめました」
https://www.betterhome.jp/lp/book_01/
■※3:日本きのこ学会誌「肥満モデル動物におけるキノコキトサンの抗肥満効果」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/msb/21/1/21_KJ00008639248/_article/-char/ja/
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