1. 洋梨ってどんな梨?

和梨は生食、洋梨は加工が多い
秋の代表的な果物、梨。通常は単に"梨"と呼ばれるが、洋梨と区別するときには"和梨"と呼ばれる。主な品種は"幸水"や"豊水"などで、沖縄以外の日本各地で栽培されている。甘くてみずみずしく、食感の良さと美味しさが魅力だ。ミックスフルーツに混ぜられることはあるが、皮をむいてカットし、そのまま食べることが圧倒的に多く、梨を加工した食品や梨を使った菓子類には洋梨が使われることが多い。
洋梨の特徴
洋梨は"西洋梨"とも呼ばれる。ヨーロッパや北アメリカ、オーストラリアなどでは、一般的に"梨(pear)"と言えば洋梨を指す。原産地はヨーロッパで、日本で栽培が開始されたのは明治時代のこと。気候が適合せず極めて限られた地域でのみ栽培されていたが、現在では寒冷地帯で広く栽培されている。洋梨の収穫量の全国トップは明治時代に栽培を開始した山形県で、総収穫量の約70%を占める。1980年代頃までは収穫した洋梨のほとんどが加工用だったが、現在は生でも食べられている。和梨の食感はシャリシャリとしているが、洋梨はなめらかでまろやか。和梨同様に甘いが、まったりとした芳醇な甘さが特徴的だ。
洋梨の種類
洋梨と聞いて"ラ・フランス"を思い浮かべる人も多いだろう。"ラ・フランス=洋梨"と認識されがちだが、実はこれは間違い。ラ・フランスは洋梨の品種の一つである。日本で栽培されている洋梨の約70%がラ・フランスで、バートレットやル・レクチエと続く。
2. 食べ過ぎ注意!?洋梨のカロリーや栄養素

洋梨のカロリー
一般的なサイズの洋梨(約255g)のカロリーは138kcal、一方の和梨(約255g)は110kcalである。ダイエットや健康を意識する場合に気になる糖質は、和梨は10.4g/100g、洋梨は12.5g/100gと洋梨の方が少し高めである。また、血糖値の上昇に関係するGI値は洋梨36、和梨32で、どちらも低GI値食品に該当する。代表的な和梨"幸水"の糖度は12度~12.5度、一方洋梨の糖度は品種によっては16度~17度と高いものもあるため、食べ過ぎには注意しよう。
- カロリー
洋梨...138kcal(1こ)
和梨...110kcal(1こ) - 糖質
洋梨...12.5g/100g
和梨...10.4g/100g - GI値
洋梨...36
和梨...32 - 糖度
洋梨...14度~15度
和梨...12度~12.5度
(出典:食品成分データベース/文部科学省、西洋なし品種紹介/山形県)
洋梨に含まれる栄養素
洋梨は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどのビタミン群のほか、カルシウム、リン、鉄、マグネシウム、銅などのミネラル類を幅広く含んでいる。そのほかにも、葉酸やパントテン酸、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸、ポリフェノールの一種であるタンニンも含まれる。様々な栄養素を含むが、それぞれの含有量はそれほど多くはない。しかし、栄養成分の相乗効果によって、高血圧の予防、貧血の予防、動脈硬化やがんの予防、美肌、脳の活性化など、様々な効果が期待できる。
3. 洋梨を使った美味しいレシピ

もともと加工を目的として栽培されていた洋梨は、いろいろな料理や菓子に使われる。最後に、洋梨を使った簡単レシピを紹介する。週末に家族で作ってみよう。
洋梨のコンポート
① 洋梨をよく洗って縦に4等分し、芯と皮を取り除く
② ①で剥いた皮をお茶用のパックに入れる
③ 鍋に水(300ml)・白ワイン(150ml)・グラニュー糖(90g)・はちみつ(50g)・レモン汁(大さじ2)を入れて中火にかける
④ 沸騰したら①の洋梨と②の洋梨の皮を鍋に入れてクッキングシートを乗せ、アクが出たら丁寧に取りながら弱火で15分ほど煮る
⑤ 粗熱が取れたら皮を取り出す
② ①で剥いた皮をお茶用のパックに入れる
③ 鍋に水(300ml)・白ワイン(150ml)・グラニュー糖(90g)・はちみつ(50g)・レモン汁(大さじ2)を入れて中火にかける
④ 沸騰したら①の洋梨と②の洋梨の皮を鍋に入れてクッキングシートを乗せ、アクが出たら丁寧に取りながら弱火で15分ほど煮る
⑤ 粗熱が取れたら皮を取り出す
洋梨とルッコラのサラダ
① 洋梨(1/2個)の皮を剥いて一口大にカットし、ぶどう(好きなだけ)を半分にカットする
② 玉ねぎ(1/4個)を薄くスライスする
③ ①の洋梨とぶどう・②の玉ねぎ・ルッコラ(好きなだけ)をボウルに入れ、ブルーチーズ(適量)をかける
④ レモン汁(大さじ1)・オリーブオイル(大さじ1)・塩こしょう(適量)をよくかき混ぜ、③にかけて軽く和える
② 玉ねぎ(1/4個)を薄くスライスする
③ ①の洋梨とぶどう・②の玉ねぎ・ルッコラ(好きなだけ)をボウルに入れ、ブルーチーズ(適量)をかける
④ レモン汁(大さじ1)・オリーブオイル(大さじ1)・塩こしょう(適量)をよくかき混ぜ、③にかけて軽く和える
- 一口大にカットしたイチジクなど、旬のフルーツを加えると更に美味しくなる。仕上げに細かく砕いたナッツ類を乗せるのもオススメ。冷蔵庫の残り野菜やフルーツを加え、より多くの栄養素を取り入れよう。
結論
同じ"梨"の仲間でありながら、見た目も味も食感も大きく異なる洋梨。そのまま食べても調理してもおいしいので、見かけたらぜひゲットしてみよう。ちなみに、ラ・フランスはフランスで発見された洋梨の品種だが、気候の不適合からフランスでは絶滅した種類である。国名を品種名につけながら栽培していないとは、面白い話である。