1. 柿の保存は「ヘタ」がポイント

柿にはビタミンCやカロテン、カリウムやリコピンなど体によい成分が含まれている(※1)。季節が限られる果物だけに、その時期は美味しくいただきたいところだが、すぐに柔らかくなってしまうなどうまく保存できない方も多いだろう。
すぐに柔らかくなる理由
果物の中には、メロンやキウイフルーツ、西洋梨などのように完熟前に収穫し出荷されるものがある。それらは、買ってきてすぐに食べるより「追熟」させたほうが美味しくいただける。ところが柿の場合はやや異なるのだ。オレンジに色づいた実を庭の木から取った場合はもちろん、スーパーや果物屋で買った柿も、すぐに食べられる甘さに熟している。そのため、そのまま置いておくと水分が飛んで2〜3日ほどですぐに柔らかくなってしまう。
柿の保存はヘタがポイント
柿はヘタで呼吸をする果物であり、そのヘタから水分が蒸発する。買ってきた柿などを長くシャキシャキに保つためにはヘタをいかに乾燥から守るかがポイントになってくるので覚えておこう。
2. 柿を冷蔵保存する方法

日が経つにつれて柔らかくなる柿の食感を楽しむのもよいが、シャキシャキした柿を味わいたければ冷蔵保存がおすすめだ。
冷蔵保存の方法
- キッチンペーパーを水で湿らせる
- 「1」を柿のヘタが隠れるようにピタッと貼り付ける
- 隙間が生まれないようにラップでぴったり包む
- ポリ袋などに入れてしっかり封をする
- ヘタを下に向けて冷蔵庫の野菜室で保存する
保存期間の目安
保存時の柿の状態にもよるが、この方法で正しく保存できれば2〜3週間はシャキシャキ感が続くだろう。
3. 柿を冷凍保存する方法

柿は冷凍保存もできる。熟しすぎて柔らかくなった柿は、冷蔵ではなく冷凍で保存しよう。
冷凍保存の方法
柿を丸ごと冷凍する場合は、表面の汚れを流水で洗い、ヘタを取らずに冷凍用保存袋に入れて冷凍しよう。あるいは生の状態で皮をむき、薄切りや串切りなど食べやすい形にカットしてから冷凍保存する方法もある。後者の場合はひとつずつラップに包んでもよいし、冷凍用保存袋に入れてもよい。いずれにせよ、袋の空気はしっかり抜いておくことがポイントだ。
保存期間の目安
やや手がかかる保存方法ではあるが、冷凍した柿は1〜2カ月ほどであれば風味を楽しめるだろう。
解凍方法
食べるときは冷凍庫から出して、凍ったままヘタの部分をくり抜き、スプーンですくって食べるとよい。シャリシャリした食感の柿シャーベットは子どもたちも大喜びのデザートになるはずだ。完全に柔らかくなった柿でなくても、少し柔らかい状態であれば美味しい。
硬めの柿は冷凍保存に向かない
まだ実が硬い柿を冷凍保存すると、解凍したときに甘みが減ってしまうおそれがある。それに、硬いものは半解凍しても柔らかいシャーベット状態にならない。美味しくいただくためにも、触れたときに柔らかさを感じるものや、それより熟しているものだけにしておこう。
どうしても硬い状態のまま冷凍保存するなら、皮をむいて6〜8等分にカットしてから冷凍用保存袋に入れ、しっかり空気を抜いて口を閉じてから冷凍庫へ入れよう。自然解凍で半解凍くらいの状態で食べるか、凍ったままスムージーにするなどすれば美味しくいただけるだろう。
どうしても硬い状態のまま冷凍保存するなら、皮をむいて6〜8等分にカットしてから冷凍用保存袋に入れ、しっかり空気を抜いて口を閉じてから冷凍庫へ入れよう。自然解凍で半解凍くらいの状態で食べるか、凍ったままスムージーにするなどすれば美味しくいただけるだろう。
4. 干し柿なら1か月以上保存できる

昔からの知恵として今に伝わる柿の保存方法が干し柿だ。1カ月以上など長期間保存したいときは、干し柿を作ってしまう手もある。
干し柿の作り方
- 枝をT字型に切り、ヘタを取って皮をむく
- 縄に枝のT字部分を引っかける(荷造り用ビニール紐でもOK)
- 枝を持って熱湯に柿をさっとくぐらせる
- 雨の当たらない風通しのよい場所に吊るして干す
- 1週間ほど経って表面が乾燥してきたら、柿を手で軽く揉む
- 「5」から3週間ほど干したら完成
干し柿用の柿にはすでにT字型の枝が付いているので、面倒であればそちらを選ぶのもよい。
干し柿作りのポイント
鉄の包丁を使うと柿の表面が黒く変色するおそれがあるため、ステンレスやセラミックの包丁、またはピーラーを使おう。「2」では、干したときに柿が重ならないよう、1本の縄に縦に数個ずつつけるようにしよう。また熱湯にサッとくぐらせるのはカビ防止のためだ。そのまま干してもよいのだが、できれば熱湯にくぐらせておこう。
1週間ほど干してから手で揉むと、中の水分が染み出してきてムラなく乾燥が進む。手で揉んでから約3週間が仕上がりの目安だが、硬さはお好みで判断しよう。こうして作った干し柿は冷凍保存も可能だ。
1週間ほど干してから手で揉むと、中の水分が染み出してきてムラなく乾燥が進む。手で揉んでから約3週間が仕上がりの目安だが、硬さはお好みで判断しよう。こうして作った干し柿は冷凍保存も可能だ。
5. 美味しい柿の選び方も知っておこう

柿のさまざまな保存方法をお伝えしてきたが、そもそも美味しい柿を選ぶことが何よりも重要である。最後に目利きのポイントを紹介するので、あわせて参考にしてほしい。
ヘタ
緑色が残っており、ピタッと果実に張り付いていて4枚きちんと揃っているものがよい。
形状と色
形がいびつでなく、全体的に濃いオレンジ色をしているものを選ぼう。
重さや硬さ
手に取ったときにしっかり重みを感じるもので、柔らかくないものを選ぼう。
結論
柿は、ポイントを押さえて上手に保存すれば意外と長持ちする果物だ。すぐに柔らかくなってしまうと悩んでいた方は、ぜひ本稿で紹介したやり方を参考に、上手に柿を保存してほしい。環境や条件にもよるが、マンションのベランダでも美味しい干し柿が作れるので、チャンスがあればぜひトライしてみよう。
(参考文献)
- 1:文部科学省「食品成分データベース」
https://fooddb.mext.go.jp/