1. 伝統工芸品「曲げわっぱ」を弁当箱に
杉やヒノキから作られる曲げわっぱ。中でも秋田県の物は昭和55年に国の伝統工芸品に指定された。
手間のかかる工芸品
杉などの美しい木目を生かし、製材・木取り・熱湯に浸けた後の曲げ加工・山桜の皮での縫い留め・底入れ・木地仕上げ・塗り・磨き...等々を繰り返し、職人が技を駆使して時間と手間を掛けて仕上げていく。天然素材のみの器は加工にも手間がかかるが、昔ながらの曲げわっぱには妥協や効率化は一切行われていない。
曲げわっぱの効果
天然木を使用しているため、木の吸湿作用が高く水分吸収をする。温度も極端に変わらない。このため、夏はご飯が傷みにくく、冬も冷えて固まらず、ご飯がふっくら美味しいのが何よりの特徴である。米やおかずには木の香りが移る。殺菌効果が高いし軽くて丈夫だ。木の性質を最大限に利用した製品である。
2. 曲げわっぱの種類と特徴
曲げわっぱは基本的に電子レンジが使えず、プラスチックのように密閉性がないので汁もれしやすい。様々な種類によって特徴があるので目的によって選ぼう。
白木(無塗装)
初心者に一番おすすめなのが白木である。洗剤はなるべく使わず、湯で洗って乾燥させる手間が必要だ。油物を入れるとシミになる可能性があるが、それも馴染んでくる。使い勝手を求めるならプラスチックより劣るが、それでも一番におすすめする理由は曲げわっぱの特徴を最大限に味わえるからだ。木の香り、米の美味さ、手に持った柔らかさは白木ならではだ。
漆塗り
耐久性に優れており、何十年も使用出来る。漆塗りは使い込むと艶が出て見た目も美しい。ただし、漆でコーディングされているので白木より香りと吸湿性が劣る。漆には殺菌効果があるので、香りと風合いが白木より劣るものの、使い勝手を求めるならこちらだろう。コーディングのおかげで油物もシミになりにくい。
ウレタン塗装
ウレタンの樹脂で完全コーティングした物。使い勝手だけ考えればこれが一番だ。油物を遠慮なく入れられるし、洗う時も洗剤が使える。しかし、木の香りや効果は全くなくなると考えよう。木目の美しさは味わえるので、機能性と見た目で選ぶならこちらだ。内側が白木で外側だけウレタン塗装の物もあるが、米とおかずに木の香りが移るものの、底がコーティングされているため吸湿性はあまり望めない。
3. 曲げわっぱ弁当への詰め方のコツや手入れ法
独特の手入れが必要な曲げわっぱだが、コツさえつかめば大丈夫だ。また、深さがあるので弁当の詰め方にもポイントがある。
まずは米から詰める
米に木の香りを移すコツは温かい米を入れることである。冷めて行く過程で米に香りが移っていく。曲げわっぱの内側をサッと水で濡らしてよく拭いてから入れると米がくっつかない。おかずは米に立てかけるようにして縦に入れていこう。油物はカップに入れてから詰めるといい。
普段はお湯洗い
汚れが酷い時は洗剤を使っても大丈夫だ。ただし洗剤が染みないようにすぐ洗い流そう。普段は手や柔らかいスポンジを使ってぬるま湯で洗い、その後50~60度のやや熱い湯ですすいでよく拭き、上向きに置いて熱気で乾燥させる。歪みが出るので、お湯の浸けおきは10分までだ。もし黒ずみが出来て気になったら、1:1の酢水で30分ほど浸け置き洗いしてみよう。
結論
塗装された曲げわっぱは使い勝手が上がるため、それなりの雰囲気でいいなら塗装タイプを選ぼう。多少の手間を覚悟で白木を選べば、自分専用のおひつを携帯しているような味わいを楽しめる。電子レンジは使えないが、木の弁当箱の米は冷え切らないから不思議だ。ぜひ曲げわっぱの弁当箱にチャレンジしてみよう。
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