1. ほうれん草の基本をおさらい

ほうれん草とは、ヒユ科(アサガ科)ホウレンソウ属に分類される植物のこと。ビタミン類やミネラル類を多く含む緑黄色野菜の一種であり、葉肉が薄い東洋種、葉肉が厚い西洋種、この二つを掛け合わせた交雑種がある。アクであるシュウ酸を含むため、一般的には下茹でしてから食べる。また、おひたし、和え物、炒め物、汁物、パスタ、サラダなどさまざまな方法で美味しく食べられている。
2. ほうれん草の旬は「冬」

ほうれん草は一年中流通しているが、本来は「冬(11~1月頃」が旬の時期とされている。実際、東京都中央卸売市場の市場統計情報を見ても(※1)、7~9月頃の取引量は少ないが、10月頃から取引量が増え始めて春ごろまで毎月1,400~1,800トン程度の取引がある。旬の時期のほうれん草は、色味が濃かったり、甘みが強かったり、栄養価が高かったりとメリットが多くある。
3. ほうれん草の産地別の収穫時期

農林水産省の「作物統計調査」によると(※2)、2020年の全国のほうれん草の収穫量は21万3,900トンとなっている。また、都道府県別に見ると埼玉県(22,700トン)、群馬県(22,400トン)、千葉県(19,400トン)の順に多くなっている。主要産地の主な収穫時期は以下のようになっている。
ほうれん草の産地ごとの主な収穫時期(※3)
・埼玉県:10月下旬~6月頃
・群馬県:10月下旬~2月頃
・千葉県:周年
・茨城県:周年
・宮崎県:6月~10月頃
・群馬県:10月下旬~2月頃
・千葉県:周年
・茨城県:周年
・宮崎県:6月~10月頃
4. 冬のほうれん草は栄養価も優れている

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には(※4)、ほうれん草の「冬採り」と「夏採り」の栄養価が収録されている。この二つの栄養価はほぼ同じだが、100gあたりのビタミンC含有量は冬採りが60mgで、夏採りが20mgとなっている。冬採りのほうれん草はビタミンC含有量が多いため、栄養面の観点からも冬のほうれん草はおすすめとなっている。
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5. 冬限定のちぢみほうれん草とは?

ちぢみほうれん草(寒締めほうれん草)とは、冬季に露地栽培で生産されたほうれん草のこと。冬の厳しい寒さに耐えながら育つため、普通のほうれん草よりも甘み・うま味・香りが強くなっているのが特徴だ。また、その一方でえぐみの原因であるシュウ酸や硝酸が少ないため、生で食べることも可能となってる。名前の由来には、冷気に当たって葉や茎にシワが寄ることが関係している。
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結論
ほうれん草は一年中流通している身近な野菜ではあるが、本来の旬は冬となっている。旬の時期のほうれん草は色味・味わい・栄養面のいずれも優れていて、ぜひ取り入れたい食材のひとつといえる。また、冬の時期にだけ出回る「ちぢみほうれん草」も楽しんでみるとよいだろう。
(参考文献)
- ※JAグループ「ホウレンソウ」
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=13 - ※1:東京都中央卸売市場「市場統計情報(月報・年報)」
https://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/geppo/ - ※2:農林水産省「作況調査(野菜)」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_yasai/index.html - ※3:農畜産業振興機構「ほうれんそう」
https://www.alic.go.jp/content/001162828.pdf - ※4:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
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