1. カピとは?
ブームのタイ料理に欠かせない調味料
日本食という素晴らしい料理を食文化のベースとしながら、日本では世界のあらゆる国や地域の料理を食べることができる。しかし、いろいろな国の料理を当然のように楽しむことができるようになったのはごく最近のこと。現在の食事事情を知る我々にとってはなかなか信じがたいが、鎖国を終えて開国するまでの日本の食事は、ほぼ日本国内の食材でまかなわれてきた。鎖国は1853年まで続いたため、今からわずか160年ほど前までは国内自給が頼りだったのだ。開国後、1860年以降に西洋や中国の料理を扱うレストランがどんどん開業した。今回のテーマである"カピ"は、2014年頃からブームとなっているタイ料理に欠かせない調味料である。
茶色のペースト
タイ料理ブームを感じさせるのが、日本におけるパクチー人気だ。スパイスやハーブ、香味野菜などを多用するエスニック系の料理は、日本人の口に合わないとされてきた。しかし、食の多様化・ヘルシー思考・食の安全性への懸念などにより若い女性からブームに火がつき、もちろん苦手とする人もいるが、パクチーとタイ料理の両方が日本に広まった。そんなタイ料理に使う調味料といえば"ナンプラー"が有名だが、"カピ"も重要な役割を果たす。カピは、プラスチック容器や瓶に入った茶色いペースト。次の項目では原料や味について解説する。
2. カピの原料や味は?
原料はエビ
カピはエビを原料とした天然の旨味調味料である。ナンプラーと同じく魚醤(魚や魚介類を原料とした調味料)の一種であるが、さらりとした液体のナンプラーとは異なり、ペースト状、もしくは固形である。カピは小エビを塩漬けにし、発酵させて作る。キムチや納豆など発酵食品には匂いのキツイものが多いが、他にもれず、カピも強烈な匂いで知られている。では、カピに含まれる原材料を見てみよう。
- 小エビ(あみ)
- 食塩
ほとんどの商品の原材料は、小エビ(干しエビ)と塩のみである。ちなみに、インドネシアやマレーシアなどでもエビを発酵させた調味料を使用する。これらはまとめて"シュリンプペースト"と呼ばれている。
タイのダシ
カピの見た目は味噌っぽいペーストだが、エビを発酵させた調味料である。一体どんな味がするのだろう?調味料であるカピをそのまま口に入れることはまずないが、カピの味はかなり塩辛い。しかし、料理に加えることによって強烈な匂いも塩辛さも"旨味"に変わる。カピは、ダシとしてタイの料理に活躍するのだ。ただし、調理することによって旨味に変わるとは言っても、元々かなり塩辛いため、使用するときには少しずつ加える必要がある。
3. どんな料理に使う?カピの使い道
味に深みをあたえる旨味調味料であるカピは、様々な料理に使われる。ダシが日本料理の味の決め手となるように、カピもまたタイ料理の味付けや風味を大きく左右するのだ。どんな料理に使われるのだろうか?
- カレーペースト
タイのカレーと言えばグリーンカレーが有名である。本格的なグリーンカレーやレッドカレーを作る際には様々な調味料やスパイス、野菜などを使用するが、カピも欠かせない調味料のひとつである。タイ料理ブームの波に乗ってレトルトのタイカレーなども商品化されているが、本格的なカレーを食べるには、カピを使って手作りしよう。 - 炒め料理
カオパット(タイ風チャーハン)や野菜炒めにもカピは必需品である。炒めることでカピの強烈な匂いは食欲をそそる香りに変化し、塩辛さも旨味に変わる。フライパンに油をひいて火にかけ、油が温まったらカピを投入し、そして野菜を炒める。冷蔵庫の残り野菜が驚くほど美味しく変身する。 - 煮込み料理
カピはダシとして煮込み料理にも使われる。美味しい煮込み料理にダシが欠かせないのは、日本料理もタイ料理も同じなのだ。
ここで紹介した使い道のほか、スープに味をつける調味料としてもよく使われる。また、様々な料理のベースとなる唐辛子ソースにもカピは必要不可欠である。
結論
タイの調味料"カピ"について解説した。都市バンコクを有するタイには多くの日本企業が進出しており、親日家も多い。プーケットなどのリゾート地では、観光業も盛んである。タイを訪れる機会があれば、ぜひ現地のスーパーなどをのぞいてみよう。カピをはじめとする面白い調味料や食材に出会えるかもしれない。