目次
1. 味噌の種類:区分の方法

味噌の種類を確認する前に、まずは味噌の基本的な区分方法について確認しておこう。味噌の区分方法には、以下にあるように「原材料」「色味」「味わい」「地域」などの種類がある。
味噌の基本的な分類方法
- 原材料:麹の種類の違い。米味噌・麦味噌・豆味噌などの種類がある
- 色味:味噌の色味(熟成度)の違い。白味噌・淡色味噌・赤味噌などの種類がある
- 味わい:塩辛さの違い。甘口味噌・辛口味噌などの種類がある
- 地域:産地による違い。信州味噌・東海味噌・西京味噌などの種類がある
味噌の分類方法の特徴
このように味噌の種類は、「何で分類するか」によっていくつか分け方が異なる。一般的には白味噌や赤味噌のように「色味」で分けることが多いが、信州味噌や西京味噌のように「産地」で呼ぶことも少なくない。なお、地域によってある程度、味噌の原材料・色味・製法などは決まっている。
2. 味噌の種類:「原材料」の違い

味噌の主な原材料は大豆と麹である。そして、この麹には米麹・麦麹・豆麹の3種類がある。それぞれの麹から作られる味噌は、「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」と呼ばれている。また、これらとは別に、2つ以上の味噌を混ぜた「調合味噌」がある。以下ではこの原材料による味噌の違いを確認する。
原材料1.米味噌
米味噌は、主に大豆・米麹・塩から作られる味噌である。日本で生産される味噌の約80%を占めるポピュラーな味噌で、一般的には熟成期間が1か月~1年程度と比較的短いことが特徴である。主に北海道から本州で作られているが、地域によって米味噌の色味や味わいは異なっている。
原材料2.麦味噌
麦味噌は、主に大豆・麦麹・塩から作られる味噌である。日本で生産される味噌の約5%を占めており、米味噌とは異なる「麦らしい豊かな香り」が楽しめるのが特徴である。全国的に見ると九州地方・四国地方・中国地方で作られているが、麦味噌に関しても地域によって色味と味わいが異なる。
原材料3.豆味噌
豆味噌は、主に大豆(豆麹)・塩から作られる味噌である。日本で生産されている味噌の約5%を占めており、蒸し大豆を豆麹にしてから塩と合わせて長期熟成させて作る。濃厚な香り・うま味・渋味が特徴である。主に愛知県・三重県・岐阜県といった中京地方で作られている味噌となっている。
原材料4.調合味噌
調合味噌は、2種類以上の味噌または麹を混ぜた味噌のことである。また、米味噌・麦味噌・豆味噌以外の味噌のこともこの「調合味噌」に含まれる。日本で生産されている味噌のうち、約10%がこの調合味噌となっている。味噌の特徴を上手く合わせて、食べやすくしていることが特徴である。
3. 味噌の種類:「色味」の違い

味噌の色味には大きく、淡色味噌・白味噌・赤味噌の3種類がある。味噌の色味はさまざまな条件で変わってくるが、一番強く関係しているのが熟成期間といわれている。熟成期間が長くなると、アミノ酸と糖が反応して褐色になる「メイラード反応」によってより濃い色味へと変化していく。それでは、味噌の色味による違いについても確認しよう。
色味1.白味噌
白味噌は、見た目が白っぽい色味をしている味噌である。白味噌は、一般的に熟成期間が短いことが多く、麹の割合が高くて塩分濃度が低いことが特徴となっている。そのため、口当たりとしては甘く感じやすい。また、白味噌は主に近畿地方や中国地方などで作られている米味噌に多い。
色味2.淡色味噌
淡色味噌は、見た目が黄土色っぽい色味をしている味噌のことである。白味噌に比べると塩麹の割合が低くて、塩分濃度が高いことが特徴となっている。そのため、口当たりは甘い~辛いくらいとなっている。代表的な淡色味噌には信州味噌があり、そのほか全国的に作られている味噌である。
色味3.赤味噌
赤味噌は、見た目が赤または黒っぽい色味をしている味噌のことである。一般的には熟成期間が長いことが多く、塩分濃度が高くて、塩辛い味わいになっている。また、赤味噌も全国的に作られている味噌である。ただし、中には「東京江戸味噌」のように、赤味噌なのに甘みを感じる味噌もある。
4. 味噌の種類:「味わい」の違い

味噌は、それぞれ塩歩合と塩分濃度が異なり、その味わいで甘味噌・甘口味噌・辛味噌などに種類に分けられる。ここでは大きく「甘口味噌」と「辛口味噌」の違いについて確認しておこう。
味わい1.甘口味噌
甘口味噌は、比較的甘い口当たりの味噌である。色味によって麹歩合と塩分濃度は異なるが、淡色味噌の場合は麹歩合が8~15程度、塩分濃度が7~12程度である。また、赤味噌の場合は麹歩合が10~15程度、塩分濃度が11~13程度となっている。この範囲内のものが「甘口味噌」とされている。
味わい2.辛口味噌
辛口味噌は、比較的塩辛い口当たりの味噌である。淡色味噌の場合は麹歩合が5~10程度、塩分濃度が11~13程度となっている。また、赤味噌の場合も麹歩合が5~10程度、塩分濃度が11~13程度である。このように甘みが少なく、辛味が強いのが「辛口味噌」となっている。
5. 味噌の種類:「産地」の違い

味噌は産地によっても分類されている。日本全国で味噌は作られており、有名なものでは信州味噌・西京味噌・八丁味噌・仙台味噌などがある。その他にも、北海道味噌・東海豆味噌・府中味噌・御膳味噌などの種類もある。地域ごとの味噌については、以下の記事でそれぞれ詳しくまとめている。興味がある人は、それぞれの味噌について確認してみよう。
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6. 味噌の種類:嘗味噌とは?

ここまで紹介してきた味噌は「普通味噌」と呼ばれるものだが、味噌には「嘗味噌(なめみそ)」と呼ばれるものもある。この嘗味噌とは、径山寺味噌(きざんじみそ)・鉄火味噌・タイ味噌・ゆず味噌などのように、そのままご飯のおかず(副菜)として食べられる味噌のことである。初めから嘗味噌として作られるものと、あとから肉・魚介・野菜・香辛料などを加えて作るものの2つがある。
結論
味噌の主な区分方法には、原材料・色味・味わい・産地などがある。そして、この区分方法に従った味噌の呼び方が「米味噌/麦味噌/豆味噌」「白味噌/淡色味噌/赤味噌」「甘口味噌/辛口味噌」などである。もしレシピ本などでこれらの味噌の名前を見たら、「何で分けているのか」と「その味噌にはどのような特徴があるのか」を踏まえて、美味しい料理を作るようにしよう。