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ビールは水より安くて安全?!ヨーロッパのビール文化

ビールは水より安くて安全?!ヨーロッパのビール文化

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

2020年7月 2日

「ビールは水より安くて安全」この言葉を聞いて色めき立つ人もいるだろう。残念ながら日本の話ではない。近世ヨーロッパではビールが飲料水の代わりとされたこともあったと言う。現在でもミネラルウォーターよりソフトドリンクよりビールの方が安価な国は結構ある。なぜなのか、ビールの歴史と共に考察しよう。

  
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1. 文明の始まりと共にあったビール

ビールの歴史は古い。紀元前8000年から4000年頃栄えたメソポタミアのシュメール文明で、すでにビールが飲まれていた痕跡が発見されている。紀元前3000年頃のエジプトでもビールがピラミッド建築の労働者に配給されていた記録がある。ビールは人類の文明と共に歩んできたと言っても過言ではない飲み物なのだ。もちろん当初のビールは現代の物とは見かけも味も異なるものだっただろう。しかし麦を使い酵母の発酵によりアルコール分が生じた酒であり、それが現在のビールの礎となっていることは間違いない。

初期のビールはパンを砕き水につけ自然に発酵したおかゆのような物だったと考えられている。飲むと気分の良くなる嗜好品としての側面と同時に、栄養価の高い栄養ドリンク的な面も持ち合わせていた。

中世になると麦の栽培に適した現在のドイツ周辺でビールの醸造が盛んになる。8世紀に出された荘園令により、修道院や荘園でビールかワインの醸造が義務付けられ、醸造技術が格段に進歩する。グルートと呼ばれる香りづけのハーブを入れるようになったのもこの頃だ。現在はホップが担っているグルートの役割は香りづけだけでない。ビールを格段においしくし、さらに日持ちさせる防腐剤としての役割も持っていた。

ビールは栄養補給や医療にも使われ「液体のパン」と呼ばれていたのである。

2. 水よりもビールのワケ 

大航海時代とビール

大航海時代に入り、長期間補給なしで航海する必要が生まれた。問題は食料と飲物だ。航海も終盤になると食料は虫のわいたカチカチの堅パンにチーズ、干し肉があれば良い方。水も当然腐って色も臭いもひどいものだったそうだ。

そんな船内に積み込まれたのがビールだ。ピルグリムファーザーズを乗せ、初めてアメリカに渡ったメイフラワー号には400樽ものビールが積み込まれたという記録がある。アルコールには殺菌作用があり、さらにグルートの防腐効果が働くビールは水より長持ちし、船上の荒くれ者の憂さ晴らしにもなっていた。もちろん長い航海中には炭酸も抜け、乳酸発酵するので酸味が増し最終的には腐敗してしまうのだが、それでも水よりは長く飲める。

飲料水・栄養補給・娯楽の3点を同時に賄えるビールは、飲料水代わりに重宝されていたのだ。大航海時代の終盤にはよりアルコール度数の高いワインやラム酒が船に積み込まれるようになっていく。

水は安全ではない

「水よりもビール・ワイン」だったのはビールの機能面からだけではないようだ。実はヨーロッパでは「水を飲む」という習慣自体があまりなかったらしい。

現在ほど水のろ過技術が発展していない時代、水は安全な飲み物ではなかったのだ。しかも日本と違いミネラル分を多く含む硬度の高い硬水で、飲み口の良いものではない。湿度も低く過ごしやすい気候のヨーロッパでは汗をかくことがあまりないため「水分補給のために水を飲む」という習慣そのものが発達しなかったのだ。

3. 日本より気軽に飲めるヨーロッパのビール

水より安い!

このような理由からヨーロッパでは「水よりもビール・ワイン」という文化が育まれてきた。何より長年土地で育ってきたビールやワインに対しての愛着の強さは並々ならぬものがある。国も保護する政策を取るため、ヨーロッパを旅行するとビールが水よりジュースより安いということがしばしば起こる。それほどビールは生活に根差している飲み物なのだ。

ビールは16歳から?!

ビールの解禁年齢も概して日本より低く設定されている。イギリスやデンマーク、スペイン、ピルスナー発祥のチェコなどでは18歳、イタリア、ドイツ、フランスは16歳だ。酒の種類で解禁する年齢を段階的に引き上げる国も多いが、ビールは最初に解禁される酒だ。イギリスでもビールとリンゴ酒は食事の場であれば16歳から飲酒可能である。

日本では「お酒は二十歳から」が常識とされているが、ヨーロッパではそれよりもずいぶん早くからビールを楽しんでいるのだ。
欧米系の人はアルコールに対する耐性が体質的に強いのも理由の一つだろうが、ビールとの関わり方という文化的側面は否定できない。

結論

「ビールは水より安くて安全」は、ヨーロッパがビールの歴史と共に育んできた文化であった。日本でビールが飲まれるようになったのは明治に入ってから。安全で清浄な水をいつでも容易に手に入れることが可能な日本では生まれなかった文化に違いない。そんなうんちくを肴に今日も一杯、楽しみたい。

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  • 公開日:

    2018年7月29日

  • 更新日:

    2020年7月 2日

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