1. ホルモンとは

ホルモンの語源
ホルモンは、特定の分泌器官から分泌され、体内の器官の調節をする物質のことである。成長ホルモンや男性ホルモンと聞けば、ご存知だろう。ちなみに牛肉におけるホルモンの語源は諸説あるが、この医学用語のホルモンからきているという説が有力だ。内臓部分を総じて、ホルモン、またはモツと呼ぶ。
赤身とホルモン
牛肉は、牛の皮を剥いで吊るし、150kg以上あるといわれている内臓を取り出し、枝肉と呼ばれる体を縦半分に切った状態で取引されるのが普通。この枝肉をいわゆるロースやバラ、サーロインなど、よく耳にする部位へと切り分けていくのだ。焼肉ではこのような肉を赤身と呼ぶ。対して、枝肉にする前に取り出した内臓を総じて、ホルモンやモツと呼ぶ。このホルモンやモツも丁寧に各部位に分けられる。ただ、大腸のことだけを指し、ホルモンと呼ぶこともある。
新鮮さがキモ
ホルモンは、鮮度が命といわれている。赤身に比べると驚くほどに劣化が早く、特有のにおいやくさみが強くなってしまう。冷蔵技術や運送技術の向上により、以前よりは格段に新鮮なホルモンが出回るようになってきているが、信頼のできるお店で買って、食べることをおすすめする。
2. 知っておきたい基本のホルモン

ここからは、代表的なホルモンをご紹介していこう。
もっともポピュラーなタン
タン塩でおなじみのタンは、牛の舌。とても大きく、全体で1.2kg以上あるといわれている。表面のざらついた部分を取り除きスライスして提供されるのが定番。ホルモンのなかでは、脂肪分が多く、まろやかな味わいが特徴。
人気部位のハラミ
ハラミは赤身肉だと思っている人も多いかもしれないが、れっきとしたホルモン。横隔膜あたりの部位だ。柔らかでありながら、サシが少なめなのであっさりと食べられる。
4つの胃/ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ
牛の胃袋は4つある。まず第一胃がミノ。肉厚で白っぽく、しっかりとした歯ごたえが特徴的だ。続いて第二胃がハチノス。蜂の巣に似ていることからこの名がついた。色は黒っぽく、あっさりした味わい。イタリアンなどにもよく使われる。第三胃がセンマイ。ザクザクした歯ごたえが特徴。第四胃がギアラ。赤センマイとも呼ばれ、コリコリとした食感と濃厚な旨みも特徴。
3. 知っていたら上級者!通なホルモン

こってり派にはテッチャンかコプチャン
テッチャンは別名シマチョウと呼ばれる部位で、大腸部分を指す。コプチャンは小腸に当たる部分だ。両者ともとにかく脂がたっぷりで濃厚。ホルモンのなかでは群を抜いて柔らかく、噛み切りやすいので、ハマる人も多い。焼くときに好みの具合まで、脂を落としてから食べよう。コプチャンのほうがより柔らかい食感だ。
旨みが濃いカシラ
頭の肉を総じてカシラと呼ぶが、焼肉店で主に提供されるのは頬の肉。よく動く部位なので、程よく筋肉がついていて、旨みがたっぷり。噛めば噛むほど味わいが深まるというホルモンだ。
まろやかさピカイチ!シビレ
胸腺や膵臓を指す、シビレ。色も白っぽく、白子やフォアグラを思わせる滑らかさが特徴。よく焼いて、表面をカリッとさせるとより美味しく食べることができる。
結論
近頃では珍しい部位を多く扱う焼肉店やホルモン焼肉専門店も多く存在する。ホルモンはその肉質によって、焼きすぎると固くなってしまうものと、よく焼いた方が美味しいものがあるので、店員さんなどによく聞いて焼くことをおすすめする。