1. 一般の食肉とは違う、もつの特徴
■バラエティーに富むもつ
もつと一言でいうが、実に様々な種類がある。一般的に思い浮かぶのが大腸や小腸、いわゆるヒモやシマチョウなどと呼ばれる部分だが、そのほかにも肝臓であるレバーや心臓であるハツ、舌であるタン、牛の胃であるミノ・ハチノス・センマイ・ギアラ、尾のテールに横隔膜のハラミ、豚の脚であるトンソクもすべて、もつの範疇である。このほか気管や腎臓、子宮なども、もつとして流通している。また、関東ではもつと呼ぶことが多いが、関西では「ホルモン」と呼ぶなど、呼び名や流通する部位など地域差が大きいのも、もつの特徴だ。
■もつは鮮度が命
牛や豚の肉は屠畜後すぐではなく、熟成期間を経てから流通する。熟成させた方が、肉質が柔らかくなり旨みも増すからだ。しかし、もつの場合は違う。空気に触れると同時に傷みが進行し始めるので、できるだけ鮮度のよいものを流通させなければならない。それが一般的な食肉との流通量の差にもなっているのだろう。
■もつの消費期限
牛の生のもつの消費期限は適切に処理・流通している場合、処理後4~5日だ。消費期限とは、この期限以降は品質の劣化が見られ安全性を欠く製品に付けられる表示である。食肉と内臓は10度以下で屠畜・加工・流通・小売りをしなければならないと法律で定められているが、実際には安全性をより高めるため4度以下のコールドチェーンが構築されている。しかし、家庭に持ち帰る際、また家庭の開け閉めの多い冷蔵庫では10度以下を常に保持し続けることは難しい。消費期限にこだわらず早めに調理したい。スーパーなどではボイルした状態で売られていることも多いが、その場合でも賞味期限は4~5日だ。豚のもつになると賞味期限は2日になる。スーパー等で見かけることが少ないのも納得だ。
2. もつを冷蔵保存する場合
もつを家庭で保存する場合はどうすればよいのだろうか?
■温度が上がらないよう細心の注意を払おう
生でもボイルしてあるものでも、鮮度を保つために10度以下をキープするのが大切だ。スーパー等から買って帰る際も、氷やクーラーボックスを用意するなど、なるべく温度が上がらないように心がけよう。帰宅後はすぐに冷蔵庫に入れる。チルド室やパーシャル室などがあれば、より温度が低く設定されているので好ましい。冷蔵庫内では肉汁がもれないようにビニールに包み、生で食べる物の近くに置かないように。
■下茹でしておけば1週間ほど保存も可能
生もつの場合、帰宅後すぐに下処理すればより安全性が高くなる。もつをしっかりと洗い、下茹でをしておく。下茹でしたもつはそのまま冷蔵して数日中には調理しよう。生のままより保存できる期間は延びる。
3. もつを冷凍保存する場合
スーパー等で買ってきた生もつやボイルしたもつは比較的大容量であることが多い。1度に食べきれない場合や、すぐに食べる予定がない場合は冷凍保存をしよう。
■家庭での冷凍方法
冷凍保存をする場合、ボイルしてあるもつならそのまま、生もつであれば下茹でをしてから保存する。生のまま冷凍することもできるが、家庭の冷凍庫では業務用のように急速冷凍が難しく食感が変化しやすい。使う時の利便性を考えても下茹でをしてから冷凍する方がおすすめだ。もつ煮込みなどは調理後に冷凍することもできる。冷凍後は1カ月程度で使い切るようにしたい。家庭で凍らせる場合は小分けにして保存容器や保存袋に薄く広げるように入れる。なるべく短時間で冷凍するために、ステンレスやアルミのバット上で冷凍することができればベストだ。これはもつ以外の物を冷凍する時にも使えるテクニックなので覚えておきたい。
■冷凍したものを購入した場合
ネットのお取り寄せなどで、もつが売られていることは多い。適切に処理された業務用の冷凍もつなら、ガイドライン上1年や1年半持つことも。記載されている賞味期限を確認してみよう。
■解凍する時は
解凍は冷凍とは逆で、時間をかけてゆっくり解凍する方が美味しい。冷蔵庫で時間をかけて解凍しよう。急ぐ場合はレンジの解凍でもいいが、常温で解凍することは避けよう。
結論
もつは鮮度が大切なので、購入したらできるだけ早く消費するのが一番だ。傷みやすいもつを保存する場合は下処理や冷蔵・冷凍を正しくし、しっかり加熱してから食べるようにしよう。