1. 鯖ってどんな魚?

秋の魚、鯖
代表的な「秋の魚」と言えば、やはり秋刀魚(サンマ)だろう。しかし、鯖もまた秋が旬の魚。秋になると鯖の体には脂肪が付き、身が引き締まって風味が上がるため、「秋サバ」と呼ばれるのだ。鯖の年間漁獲量は48万5,717t(2016年(平成26年)総務省:日本統計年鑑)で、まぐろやサンマよりも多い。また、鯖は日本だけでなく海外でもよく食べられ、缶詰などの加工品にも使われる。鯖は世界的に消費量の多い魚なのだ。近年注目されているDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸の含有量も多く、美味しさだけでなく、栄養の観点から見ても魅力的な魚といえるだろう。
鯖は鮮度がすぐ落ちる!?
「鯖の生き腐れ」という言葉がある。鯖は鮮度の低下が早く、また細菌による中毒を生じやすいため食中毒の原因となりやすい。そのため、このように表現されるようになった。では、鯖独特の生臭さは、傷みが原因なのだろうか?答えは「NO」である。確かに、鯖は生臭い。少なからずどんな魚介類にも生臭さはあるが、鯖は特に臭みが強い。生臭さが原因で、鯖を好まない人もいるほどだ。しかし、これは鮮度が低下しているためではなく、鯖の体内に含まれる成分が原因だといわれている。鯖の生臭さは、しっかりと下処理をすることで気にならなくなる。
2. 鯖の下処理~まるまる1尾編

ここからは、鯖の下処理の方法について詳しく解説する。まずは、頭から尾までのまるまる1尾の鯖をゲットした場合の処理方法を学んでおこう。
釣った鯖
釣った鯖の下処理方法は2通りある。
- 氷水に入れる
厳密には下処理ではなく調理するまでの間、鮮度を保つ方法だが、知っておいて損はないだろう。鯖を釣ったら、とにかくすぐに氷水に入れる。鯖の鮮度を保つにはもっとも適した方法であり、鯖くらいのサイズの魚ならこの方法がおすすめだ。 - サバ折り
サバ折りとは、鯖の血抜きの手段である。鯖のエラを切除してから首(エラの下辺り)の骨を背中側に折り、海水につけておく。こうすることによって鯖の血が抜け、鮮度が落ちるスピードを緩めることができるのだ。
購入した1本の鯖
旬の時期には、切り身だけでなく頭から尾までついた鯖もスーパーなどに並ぶ。切り身は調理が楽だが、魚をさばくことができるのであれば、まるまる1本の鯖を購入したいところである。スーパーなどで購入した鯖の下処理方法は以下を参考に。
- 鱗(うろこ)を落とす
包丁の背を使い、薄い鱗を落とす - 頭を落とす
ヒレ下部と両方の胸ヒレから包丁を入れ、頭を落とす - 内臓を取り除く
腹側を切り開き、血合いに切れ目を入れ、血合いと内臓をかき出す - 洗う
流水で洗い、残った血合いや汚れを落とす
3. 鯖の下処理~切り身、調理編

最後に、鯖の切り身の下処理と調理時にできる工夫について解説する。切り身ならそのまま調理を始めることができるが、ひと手間かけるだけで仕上がりの香りが格段に変わる。美味しい鯖をもっと美味しく食べるため、惜しまず手間をかけよう!
切り身の鯖
- 塩
塩焼きにおすすめの方法。鯖の切り身の両面に塩をまんべんなくふり、15~30分ほどそのままおく。その後キッチンペーパーで水分を拭き取る。 - 酒
1の下処理後、ボウルに鯖を入れ、酒を50ccほど加える。ボウルの中で鯖の表面を酒で洗い、キッチンパーパーで水分を拭き取る。塩のみの下処理よりも効果あり。 - 熱湯
煮る料理におすすめの方法。鯖をボウルに入れ、鯖が完全に隠れるまで90度以上の熱湯を加える。軽く混ぜながら、全体が白っぽくなるまで待つ。水を足し、ボウルの中の水で鯖の表面を洗い流す。この方法は"霜降り"と呼ばれる。 - 牛乳
ボウルに牛乳と鯖を入れて20分ほどおく。 - 酢
3倍に薄めた酢に鯖をくぐらせ、キッチンパーパーで拭き取る。
調理時の工夫
- 酒をたっぷり使う
鯖の味噌煮を作る場合に有効。熱湯をかけて下処理した後、臭み消しになる酒をたっぷりと使う。 - ネギや生姜を料理に使う
臭みを消す効果のある食材を使うのもおすすめ。ネギと鯖の煮付けやネギ塩焼き、生姜焼きや生姜煮など、ネギや生姜を使う料理はにおいが消えやすい。また、生姜とネギのソースを竜田揚げに絡めても美味。
結論
鯖の生臭さが気にならなくなる下処理について解説した。どんな下処理よりも大切なのは、新鮮な鯖を用意することだ。鮮度が落ちれば、臭みはもっと気になるようになる。購入時にも新鮮なものを見極め、すぐに調理や下処理をしよう!