1. 糸こんにゃくの基礎知識

こんにゃくと糸こんにゃく
結論からいえば、基本的にこんにゃくと糸こんにゃくは同じもの。違うのは形状だけである。原料はこんにゃく芋と呼ばれるサトイモ科の植物の球根。こんにゃく芋は、アクが強く、そのままでは食べることができない。先人たちは、いかにしてこの芋を食べるか考えあぐねた結果、あえてアク(灰汁)を混ぜることにより、アクを中和させる方法を編み出したのだ。現在は、アクの代わりに水酸化カルシウムなどが使われている。
作り方は2通り
こんにゃくと糸こんにゃくは、作り方もとても似ている。こんにゃくにつくり方には2通りあり、1つめは、こんにゃく芋を薄くスライスして乾かし、粉状にした精粉を使用して作る方法。もう1つは、すりおろしたこんにゃく芋を使う方法だ。こんにゃくと糸こんにゃくの作り方の違いは、最終工程にある。こんにゃくは、素材を型にはめて固める。それに対してしらたきは、シャワーヘッドのような細い管に素材を通し、細く仕上げる。
色の違い
スーパーのこんにゃくや糸こんにゃくコーナーをのぞいてみると、白、黒、そしてベージュがかった3色がある。白は粉状にした芋を使って作ったもの。黒も粉状にした芋を使うが、途中でアラメやひじきなど、海藻を入れる。これが黒さの素。ベージュがかったものは、別名生芋糸こんにゃくと呼ばれているもの。生の芋をすりおろして作った昔ながらの作り方のものである。
2. 糸こんにゃくとしらたき

糸こんにゃくとしらたきは、見た目にはどちらがどちらだか判断がつかない。古くは、糸こんにゃくというとこんにゃくを糸状に切ったもののことを指していたが、現在では糸こんにゃくもしらたきもほぼ同意義で使われる。メーカーによっては、糸こんにゃくよりしらたきの方が細い場合もあるが、大きな違いはない。
関西と関東
糸こんにゃくとしたらきは、ほぼ同じものといえるのになぜ呼び名が異なるのか?違いの1つに挙げられるのは、地域性の問題。一般的に関東ではしらたき、関西では糸こんにゃくと呼ばれている。ただ人によっても異なるので、一概にはいえない。
3. 糸こんにゃくの変色

糸こんにゃくはアルカリ性の食品なので、酸性に反応する。ポリフェノールの一種、クロロゲン酸が含まれる野菜と一緒に煮るとこの反応で変色することがある。ぎょっとするような色ではあるが、身体への影響はないので、そのまま食べることができる。
多彩に変色
ちなみにごぼうと一緒に調理すると緑色、玉ねぎとなら黄色、里芋とならピンク、と多彩に変化する。それぞれアク抜きをせず、白いこんにゃくと一緒に煮ると色がわかりやすい。玉ねぎは6時間ほど煮汁につけておくと赤くなるようだ。
変色を防ぐ方法
カラフルではあるが、実際はやや食べづらいカラーリング。意図して変色させない限りは、変色を防ぐのが妥当だろう。その方法としてあげられるのは、しっかりとアク抜きをすること。糸こんにゃくだけでなく、ごぼうやれんこんなどもアク抜きが必要だ。それから、食材と糸こんにゃくを合わせたら手早く味付けをすると、比較的変色しづらいようだ。
結論
糸こんにゃくの色の違いは、製造方法にある。変色の問題は、合わせる食材によるものだったことがおわかりいただけただろうか。ヘルシーで食物繊維の多い糸こんにゃくは、ボディラインが気になり始めたオリひと世代の味方である。その基礎をよく学んで、食事に採り入れてみよう。