1. 紅茶としては注目されなかった「べにふうき」、日本茶へ!

1993年に命名登録、1995年に品種登録されたべにふうき。本来は、紅茶として誕生した品種である。1960年代半ばに始まった品種開発が完遂したのは1990年代に入ってからのことであった。その誕生には、さまざまな秘話がある。
徳川慶喜の幕臣の1人が持ち込んだお茶?
べにふうきは、一風変わった経歴を持つ日本茶である。大政奉還後、徳川慶喜とともに静岡に移住した幕臣の一人が当時の中国やインドに派遣され、さまざまな茶の品種を日本に持ち込んだ。その1つが、インドから日本に到来した紅茶「べにほまれ」である。これにダージリン系の品種をかけた試みが、1960年代から続けられてきた。その後、紆余曲折を経て「べにふうき」が生まれ、命名登録されたのは1993年のことである。当初は紅茶および半発酵茶の系統として開発され、1995年には「茶農林44号」と品種登録された。
紅茶としては注目されず
香りのよさを特徴として誕生したべにふうき。しかし、紅茶としてはそれほど注目されなかった。のちに、べにふうきには製造法により緑茶に加工できるというメリットが判明したことで状況は一変する。それは、「メチル化カテキン」という成分が多く含まれているというべにほまれの特質の副産物であった。もともと日本産の茶は緑茶のほうが需要が高いことから、その後のべにふうきは緑茶が主流となった。べにふうきの生産量が増加したのは2003年頃からである。現在では、鹿児島県、静岡県、大分県などで多く栽培されている。
2. かずかずの特許を持つ日本茶「べにふうき」

べにふうきは、さまざまな特許を有する日本茶である。それが話題となり、一時期は品切れ続出であった。また、緑茶として飲用するだけではなく、べにふうきを使用したコスメや菓子、入浴剤、サプリなどの開発も盛んである。
関連商品には独自のロゴマークが許される?
現在も、べにふうきを使用した商品開発が各地で進行中である。野菜茶業研究所は、共同研究をもとに開発した商品に独自のロゴマークの使用を許可している。それほどまでにべにふうきが重用される理由に、関連する特許数の多さがある。
10以上の特許を取得
べにふうきに関連する特許は、日本においてじつに10を超える。機能性食品として認可されているほか、マーケティングにつながる要素を数多く有している。そのため、べにふうきの名をうたった茶飲料にとどまらず、サプリやキャンディー、入浴剤、ベビー用せっけんなど、さまざまな商品が誕生している。日本では初の紅茶および半発酵茶の品種として登録されたべにふうきではあるが、緑茶として加工したことによって、特許に関連するメリットがより多く引き出されたのだ。
肝心の味わいは?
効能ばかりに注目されるべにふうき、実際の味わいはどんなものであろうか。香りを重視して開発されたべにふうきは、まろやかな芳香がある。かすかな渋みがあり、これがまた茶のディレッタントたちに愛される理由となっている。
3. 日本茶だけどじつは紅茶としても高品質の「べにふうき」

1971年に自由化された紅茶産業は、日本国内で苦難の時代を乗り越えてきた。べにふうきは、1965年から開発が進められてきたが、こうした時代の趨勢に押されてその誕生に長年を要した。
現在は、緑茶としてその名を馳せているが、じつは紅茶としてのべにふうきも世界的な評価を得ている。英国で行われた「グレート・テイスト・アワード」において、金賞を獲得すること数回。産みの苦しみが長かった分、その品質の高さはいかなる加工法を用いても盤石といったところであろう。
現在は、緑茶としてその名を馳せているが、じつは紅茶としてのべにふうきも世界的な評価を得ている。英国で行われた「グレート・テイスト・アワード」において、金賞を獲得すること数回。産みの苦しみが長かった分、その品質の高さはいかなる加工法を用いても盤石といったところであろう。
結論
紅茶やウーロン茶のカテゴリーに近い品種として誕生したべにふうきだが、緑茶に加工することでさまざまな効能が認められ、注目に値する特許を取得してきた。飲料としてだけではなく、数多くの分野からおおいに注目されるべにふうき。今後も、商品化の勢いは止まりそうにない。苦難を乗り越えて誕生した歴史に思いを馳せ、関係者の苦労をしのびながらべにふうきの芳香と深い味わいを堪能したいものである。