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ドライイチジクの代名詞【スミルナ】とは?食べ方を紹介

ドライイチジクの代名詞【スミルナ】とは?食べ方を紹介

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 藤江美輪子(ふじえみわこ)

鉛筆アイコン 2020年4月 9日

白いイチジクといえば、スミルナである。トルコが主な産地で、ドライフルーツとして見かけることが多い。それもそのはず、日本では生産できない品種なのだ。堆肥の工夫、気候や湿度をコントロールする技術力だけではどうにもならない白イチジク、スミルナについて紹介する。

  

1. イチジクの歴史とスミルナ

エジプトの壁画にも描かれており、聖書の中にも登場するイチジクは、人類が最初に栽培を始めた植物の1つであろう。1万年以上前の遺跡から栽培跡が発掘され、小麦より前からイチジクを栽培して食べてきた記録も残っているほど、長く食べられてきた果物である。
アラビア半島が原産地かといわれているイチジクは、ヨーロッパからシルクロードを渡り、中国、そして日本へも渡ってきた。いまや世界中で栽培され、食べられている果物である。
イチジクは地中海沿岸や東南アジアのような、乾燥した地域に多く生産されており、とくにトルコ、エジプト、アルジェリアで生産量が多い。しかし、日本に輸入されてくるイチジクは、ほとんどがアメリカからやってくる。
イチジクの品種は、4つに分けることができる。「普通種」、日本の桝井ドーフィンも含まれる「サンペトロ種」、ヨーロッパで主に栽培される「カプリ種」と「スミルナ種」だ。スミルナ種はトルコで多く生産され、ドライフルーツとして消費されることが多い。とくにイズミール地方でよく栽培される。
ちなみに、イズミールはかつて地中海貿易の要として発展し、聖書の時代には「スミルナ」と呼ばれていた地方である。
スミルナ種は皮が柔らかく実が厚い。そのため、ドライフルーツにしては柔らかく食べやすい食感と、乾燥させることによって凝縮された甘みが際立つ。トルコ産イチジクのドライフルーツは品質がよく高級品とされている。
アメリカでは乾燥した地域のカルフォルニア州が一大産地である。カルフォルニアは乾燥しているため害虫が少なく、農薬を使用する必要がない。木に実った状態で熟し、自然に落ちてきたものを収穫するのだ。
カルフォルニア州では黒いイチジクも栽培されているが、カルフォルニアにしかないスミルナ種の「カリミルナ」という白イチジクが有名。1882年にトルコからカルフォルニアのサンホアキンバレーに持ち込まれ、定着したものである。ナッツに似た風味と、もっちりとした食感が人気である。

2. 日本では栽培できないスミルナ

イチジクは日本では「無花果」と書くように、花の咲かない果物であるとされてきた。しかし、花は外からは見えないところ、実の内側に咲くのだ。
私たちが普段実だと思っているものは、花嚢と呼ばれる袋である。この袋の中で、イチジクの花は咲いている。この花が実れば種となり、また栽培が可能になる。しかし、日本で栽培されるイチジクは、「単為結果性品種」といい、受粉せずとも実が膨らみ、熟していく品種である。
本来イチジクの真ん中の赤い部分が花であり、その下の白い部分は、花を咲かせるための土台の花托である。普段私たちが食べているものは、受粉せず果実にならずに甘く肥大した、花とも実ともいえないものの集合体なのである。
スミルナは単為結果性品種ではないため、受粉しなければ実ができない。ならば受粉をさせてやればいいのではないかと思うだろうが、そうはいかない。
スミルナは雌雄異株なのだ。スミルナは雌の木であり、ペアである雄の木はカプリ種なのである。
小さな花嚢の中にある、イチジクの花は、虫を通してしか花受粉できない。それを担うのが、全長2mm以下のイチジクコバチという非常に小さな昆虫である。
イチジクの尻の(可頂部)ところにある、ほんの小さな隙間から入り込み、もってきたほかのイチジクの木の花粉を置いていく。イチジクコバチは小さな穴から無理やり入り込むときに、羽や触覚などを失ってしまい、出ることができなくなる。その果実の中で産卵し、一生を終えるのだ。
日本には、このイチジクコバチがいない。寒すぎて生息できないからだ。たとえ苗木を海外から輸入しても、観賞用の木として育てることはできるが、イチジクの果実が実ることはない。日本では、挿し木という方法でイチジクの木を増やしている。

3. 美味しいドライイチジクの使い方

主産国のトルコでも、たくさんのレシピがあるので紹介しよう。

イチジクのアーモンドサンド

ドライイチジクをよく洗い、常温の水に一晩ほどひたして柔らかくする。柔らかくなったら横に切れ目を入れ、クルミを挟む。
鍋に、砂糖、水、クローブ、レモン汁を入れて味を調え、砂糖が溶けたらアーモンドと一緒にイチジクをそっと入れ、ひと煮立ちする。沸騰したら中火にして、さらに煮る。イチジクが柔らかく膨らんできたら火からおろす。よく冷まし、クロデットクリームを添える。入手が難しければ、ホイップクリームでもOKだ。

洋酒漬け

瓶をしっかり洗って消毒するだけなので、これも手軽なスイーツである。広口の瓶を用意する。できれば湯で殺菌消毒をしたものを使うといいだろう。消毒した瓶にイチジクを入れ、好みの洋酒をイチジクが完全に浸す程度の量を注ぐ。
アルコール度数が高いものほど腐りにくい。ラム酒やキルシュ、ブランデーなど、好みでクローブなどの香辛料をいれても、ピリッと味が引き締まる。
ドライイチジクが洋酒を吸収して戻ったら、さらに洋酒を注ぐ。2週間ほどで食べることができるようになる。1ヶ月くらい保存しておいても、より美味しい味わいだ。お菓子の素材にしてもいいし、アイスクリームにプラスして、ちょっと特別感を演出することもできる。

ドライイチジクの鶏もも煮

鶏肉に塩コショウで下味をつけておき、イチジクは小さめに切っておく。肉の表面を焼いて、焼き色を付け、一口大の食べやすい大きさに切る。鍋にワイン・バルサミコ酢・蜂蜜、がらスープなどを入れひと沸かししたら切った鶏肉を加えて、よく煮る。イチジクは肉を柔らかくする酵素を持つため、一緒に煮込むと柔らかくなるのだ。イタリア料理などでも、肉とイチジクの組み合わせは一般的である。

結論

マルメロと呼ばれる果物にも、スミルナという品種のものがあるようだ。名前だけみて間違わないように注意しよう。イチジクのスミルナは、日本ではまだ栽培が難しい。いつか、現地へ飛んで美味しい生イチジクを食べてみたいものである。とはいえ、輸入されてくる白無花果のドライフルーツもとても美味しい。使い方は無限大なので、ぜひさまざまな調理法を試してみていただきたい。

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  • 公開日:

    2019年9月23日

  • 更新日:

    2020年4月 9日

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