1. サクマ式ドロップスとは

サクマ式ドロップスの販売元は佐久間製菓株式会社。千葉県出身の佐久間惣治郎が海外産のドロップスの美味しさを自身の手で作ろうと試行錯誤の末、1908年に発売したドロップスである。どうしても溶けやすいドロップスにクエン酸を加え、溶けにくくし、数年後には缶入りタイプを販売するに至った。オリジナルの製造方法は、サクマ式製法と名付けられ、サクマ式ドロップスは登録商標を獲得する。
戦争とドロップス
日本の戦争が激化するなか、砂糖は貴重品となっていく。その結果、多くの産業と同様、佐久間製菓も事実上の廃業に追い込まれる。戦後、横倉信之助という実業家によって再建がなされ、2018年には誕生から110年を迎えるロングセラー商品となった。
缶詰の絵柄
サクマ式ドロップスの缶詰には、3つのひし形に囲まれたヨットが描かれている。3つのひし形は、横浜、神戸、長崎、ヨットは貿易船を表しており、海外へドロップスを輸出したいという創業者の思いがこもっている。サクマ式ドロップスの缶詰は、白と赤が基調。
2. サクマドロップスとは

サクマドロップスの販売元は、サクマ製菓株式会社。サクマ製菓株式会社は、戦時中にやむ負えなく廃業した佐久間製菓の社長であった山田弘隆の子息が戦後に今一度立ち上げた製菓会社。1948年にサクマドロップスの製造を再開した。以来、こちらもロングセラー商品として愛されている。
缶の絵柄
サクマドロップスの缶には、王冠を冠するようにヨットが描かれている。全体を覆うのは、深いグリーン。そこにドロップスの写真が配されている。
人気のキャンディ
ちなみにサクマ製菓株式会社には、ほかにもロングセラー商品が存在する。そのひとつがいちごみるくだ。いちごキャンディでミルクを包み込んだもので、その誕生は1970年。飴は舐めるものという概念を打ち砕くべく、噛む飴として発売した。サクサクとした独特の食感と小さめサイズは、今でも不動の人気を誇っている。
3. サクマ式ドロップスとサクマドロップス

サクマ式ドロップスとサクマドロップスは、元をたどると同じところにたどり着く。戦後の再建時期もほぼ同じと、いわば双子のような存在である。商標をめぐるイザコザは現代社会においては日常茶飯事だが、サクマ式ドロップスとサクマドロップスは、両者が共存した状態で、今もなお販売されているのだ。
フレーバーは?
サクマ式ドロップスはイチゴ、レモン、オレンジ、パイン、リンゴ、ハッカ、ブドウ、チョコの8種類。少し白っぽく粉吹いているところが特徴だ。対してサクマドロップスはイチゴ、ハッカ、リンゴ、スモモ、レモン、メロン、オレンジ、パインの8種類。こちらは透明感あるルックスである。異なるフレーバーはサクマ式ドロップスのぶどうとチョコ、サクマドロップスのスモモとメロンということになる。
結論
サクマ式ドロップスもサクマドロップスもそもそもの出所は同じ。戦争で廃業に追い込まれたのちに、それぞれが独立をして成功を収めた商品だ。糖分が手軽に摂取できることから、近年では非常用の長期保存タイプも販売されており、注目を集めている。サクマ式ドロップスやサクマドロップスを食べて懐かしい気分に浸ってみるのも悪くない。