1. いちごの旬と最盛期

いちごの旬
いちごは本来、春から初夏にかけて旬を迎える果物である。「冬じゃないの?」という声が今にも聞こえてきそうだが、それもそのはず。クリスマスから年末、節分時期にかけて、スーパーの青果売り場には多くのいちごが並んでいる。まさに最盛期である。
栽培方法の違い
日本では現在、多くの野菜が旬を問わずに安定した状態で手に入る。これはハウス栽培をはじめとする農業技術の革新によるもの。ももや洋梨など、果実においては旬の時期にしか手に入らないものが多いが、いちごは野菜のようにハウス栽培が可能であったため、本来の旬よりも前に出荷されているのだ。
売れる時期
いちごの出荷を前倒ししたのには、大きな理由がある。需要と供給のバランスである。その要因となっているのが、クリスマスケーキである。日本でクリスマスケーキといえば、ショートケーキを挙げる人が多いことであろう。ご存知の通り、ショートケーキには多くのいちごが使われている。この食文化こそ、12月にいちごの需要が著しく上昇する理由だったのだ。供給を間に合わせるために、いちごの生産は、路地からハウス栽培へと移行していったのである。
2. いちごの豆知識

いちごの果実はどこ?
実は、我々がいちごだと思って食べているものは、厳密にいうと果実部分ではない。これは花托(かたく)と呼ばれるもので、果実を支えるクッションのような役割をしている部位。本来の果実は表皮についているつぶつぶ部分で、痩果(そうか)と呼ばれている。痩果の量と花托の大きさは比例しており、痩果が多ければ多いほど、花托が大きくなる。
いちごとバラ
いちごは、バラ科の植物。花屋で販売されているバラと同じ品種ということである。そのほか、サクラや梨、さくらんぼなども同じくバラ科の木である。いちごは木ではなく、草に分類されるため、本来は野菜の一種ともいえる。路地ものであれば、5月頃に可憐な白い花が咲く。
いちごとミツバチ
いちごは、虫に受粉を手伝ってもらう虫媒花である。ただハウス栽培の場合、風もなく、虫や鳥もほとんどいないため、自然の力で受粉は難しいのが現状。そこで、ミツバチを放ち、受粉を手伝ってもらうことがある。いちごには雌しべがたくさんあり、そのすべてに満遍なく花粉がつくことで美しい形に成長する。ミツバチは、花の上を円を描くように飛び、花粉を四方八方に撒いてくれるのだ。
3. 今どきのいちごのブランド品種

王道品種
福岡生まれの甘く大きな「あまおう」、東日本の代表格・栃木の「とちおとめ」、2002年品種登録の新鋭「紅ほっぺ」、佐賀生まれの美形いちご「さがほのか」。このあたりが、スーパーなどで広く並んでいる王道のブランド品種である。
新しい品種
2018年デビューした、佐賀生まれの「いちごさん」は、美しい形とみずみずしい果汁が特徴のいちご。和歌山生まれで、甘さが特に強い完熟の「まりひめ」、ほんのりと白っぽい色味と桃のような香りが特徴の「桃薫いちごももみ」など、続々と新種が誕生している。
進む高級化
新しい品種は、甘さと柔らかい果肉、ほどよい大きさである傾向があり、総じて王道品種よりは価格も高めである。桐箱に入ったものなども販売されている。自分で買うことはあまりないかもしれないが、ギフトなどに選ぶと話題になりそうだ。
結論
フルーツのなかでも人気の高い、いちご。本来の旬とは異なる時期にハウス栽培ものが出荷されることで、美味しく食べることのできる期間は年々、伸びている。露地ものは出回ることが少ないので、見つけたら即購入がおすすめだ。また、高級志向の新たなブランド品種も続々と登場しているため、お土産などにチェックしてみるのもよいだろう。