1. 1年に2度あるかつおの旬

江戸っ子には初夏の初がつおがもてはやされたが、実はかつおにはもう一度旬がある。秋の戻りがつおだ。江戸時代にはまぐろでも赤身が好まれ、脂の乗った部位は捨てられていた。かつおも梅雨を過ぎ、脂がのってくると「猫またぎ」と呼ばれ見向きもされなかった。
かつおの生態
かつおは大型の回遊魚で、温帯から熱帯の海に生息している。強いストレスがかかると腹に特徴的な縞模様が浮かび上がる。外観からは身の良し悪しが見分けにくく、目利き泣かせの魚でもある。
初夏の爽やかな初がつお

世界中の暖かい海で見られるかつおだが、日本には黒潮に乗ってやって来る。高知県沖で4月頃から水揚げされる初がつおは、脂の乗りが少なく、さっぱりとしているが、6月頃北限である三陸沖で水揚げされる初がつおは脂が乗り始め、味わいに違いがある。
秋の濃厚な戻りがつお

暑さが和らぎ、親潮の流れが緩やかになるとかつおは南下を始める。冷たい海で過ごしたかつおは脂がのり、ねっとりとした身は濃厚で特に腹身には力強い旨みがある。
2. かつおの栄養と効果

かつおは良質のたんぱく質を含むが、カロリーは100g当たり160Kcalと低く、理想的なダイエット食品だ。しかしそれだけではない。かつおには健康維持のために必要なたくさんの栄養がたっぷりと詰まっているのだ。
DHA
魚に含まれることで有名なDHAやEPAは、かつおにも多く含まれている。DHAは脳を活性化させる効果があり、EPAは血液を健康な状態に保つ効果があるとされている。
ビタミンB6・B12
ビタミンB6は代謝を促進し、体の成長に欠かせない。ビタミンB12は造血に関わり、脳の機能を守る働きもあると言われている。
ナイアシン
ナイアシンはエネルギー補給を助けてくれる上に、アルコールの代謝も助けてくれるので、お酒のつまみなどにして食べると、二日酔いの軽減などが期待できるだろう。
気を付けたいこと
寄生虫のアニサキスがいることがある。生姜の殺菌作用が有効だが、加熱で死滅するので抵抗力のない幼児や高齢者、免疫の落ちている妊婦や病人は生食を避ける。過剰摂取になりやすいビタミンDを多く含むので、ビタミンDの一日摂取量上限50μgを越えないように注意しよう。
3. かつおの美味しい食べ方

かつおは独特の臭いがある。江戸時代は臭み消しに辛子で食べていたほどだ。かつおのたたきににんにくや生姜、大葉など香りの強い薬味が使われるのもそのせいである。このポイントを抑えればかつおを美味しく料理することができる。
かつおのたたき
熊手のような専用の道具もあるが、バーベキュー用の金串で代用できる。表面を強火の遠火で焙ったら、硬く絞った濡れタオルにとり串を外す。粗熱を取るため氷水に浸けると言うが、水っぽくなるのでお勧めしない。ポン酢醤油をかけるのが一般的だが、塩と柑橘果汁だけの塩たたきもぜひ試してもらいたい。
かつおのガーリックソテー

オリーブオイルとの相性も良い。魚を焼くときは前もって塩で締めておくのだがかつおは水分が少ないので調理する直前に塩胡椒で下味をつける。フライパンにオリーブオイルとスライスしたにんにくを入れて火にかけ、薄く小麦粉をはたいたかつおを入れて両面をこんがりと焼く。白ワインを振りかけ、蓋をして蒸し焼きにする。仕上げは醤油でもいいし、トマトやオレガノ、バジルでイタリア風にしてもいい。
かつおの韓国マリネ
香味野菜と合わせると刺身でも臭いが気にならない。刺身用のかつおをぶつ切りにし、胡麻油、にんにくのみじん切り、浅葱の小口切り、炒り胡麻、オイスターソース、醤油で和える。卵の黄身を添えてもいい。酒にもご飯にも合う。
結論
古事記にも登場するくらい古くから日本人に親しまれてきたかつお。しかも健康にも大いに役立つとあっては見逃す手はないだろう。もちろん鰹節として摂取するのも良いだろう。
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