1. 煮干し出汁に使う煮干しの特徴

煮干し出汁に使われる煮干しとは、小魚を煮て干したものの総称である。片口鰯やウルメイワシなどを使ったものが多く、関西では「いりこ」と呼ばれている。九州では、いわしではなくトビウオを使用した「あご」と呼ばれる煮干しが人気。繊細な味わいが特徴で、料亭などでも使用されている。どれをとっても、煮干しは非常に栄養価が高く、近年注目を集めることの多いEPAやDHA、鉄分、カルシウムなどが豊富に含まれているところも優秀である。
煮干しの歴史
煮干しの主な原料であるイワシは、日本で古くから愛されてきた魚のひとつ。さまざまな加工品として食べられてきたが、出汁をとる材料として使われるようになったのは江戸時代になってからと言われている。産地の関係もあり、主に西日本から広まっていった。
美味しい煮干し選び
干してあるので鮮度は関係ないと思われがちだが、それは間違いだ。煮干しの鮮度は、出汁の美味しさを左右する重要なポイントである。美味しい煮干しを選ぶには、まず色に注目したい。美しい銀色のものを選ぶようにしよう。黄色っぽくなっているのは、酸化している証拠で、古くなってしまったか、保存管理の悪い可能性がある。腹が崩れておらず、ハリがあり、背中がくの字に曲がっているのもが、新鮮な魚を煮干しにした証拠だと言われている。
2. 水出しで引く煮干し出汁がおすすめ

美味しさの決め手は時間
煮干し出汁は、水出しにすることで、上品でまろやかな味わいを楽しむことができる。お湯で煮出す方法もあるが、まずは水出しにチャレンジしてみて欲しい。その際、必要になるのが時間。6〜8時間かけてじっくり水につけておくと、煮干しの味が十分に抽出できる。夜のうちに水につけておき、翌朝に煮干し出汁を使って味噌汁を作るのが我が家の定番だ。水につけた煮干しは、冷蔵庫で保存すること。
煮干しの腹と頭は取り除く
煮干しは、腹と頭を取っておくと、よりシャープでクリアな味わいになる。魚臭さも減るので、特有の香りが気になる人は、腹と頭を取るとよい。腹は黒い内臓部分が取れれば、OK。手で簡単にちぎることができるので、子どものお手伝いにもぴったりだ。
煮干しの量
我が家の場合は、1リットルの水に大体ひとつかみの煮干しが適量である。煮干しの量や、つけておく時間は、好みで調整するとよいだろう。また、煮干しは大きさにも個体差があり、魚の種類によっても味わいが異なる。こちらも好みを見つけてみよう。
3. 煮干し出汁の上手な活用方法

定番の味噌汁
水出しにした煮干し出汁で作る味噌汁は、とても洗練された味わいだ。いくらでも食べられるような優しい味わいは、癖になる。一度、この水出しに慣れると、市販の出汁では物足りなく感じるほどだ。出汁が美味しいので、具材はシンプルに徹するのが正解。
手製のめんつゆとして
うどんやそばのつゆに使うのもよい。特におすすめは、稲庭うどんなど細めのうどん。煮干し出汁に、塩と醤油を入れるだけで、めんつゆはでき上がり。あっさりとしているように感じるかもしれないが、その滋味深い味わいはヤミつきになること請け合いだ。
煮物やラーメンにも活躍
煮干し出汁は、煮物やおひたしのベースとしても活躍してくれる。おでんに入れてもよいだろう。最近では、煮干し出汁のスープを売りにしたラーメン店が人気を集めていることからもわかるように、和食に限らず幅広い料理に使うことができる。
結論
煮干し出汁は、水出しにすると特有の臭みが減り、クリアな味わいになる。上品でまろやかな味わいは、食材の味を邪魔することなく美味しさを引き立ててくれるので、料理の幅も広がるに違いない。出汁のとり方も簡単で、火を使うことなく、水に煮干しを一晩つけておくだけなので、ぜひ水出しの煮干し出汁を常備してみてはいかがだろうか。