1. 米と一緒に炊き込む「炊き込みご飯」

実は炊き込みご飯には、一緒に炊いた方が良い具と後から混ぜた方が良い具がある。同じ食材でもメニューによって使い分ける必要があるのだ。
繊維質で堅いもの
ゴボウ、れんこん、人参等の根菜類やタケノコ、栗等は一緒に炊いてしまっても大丈夫だ。むしろ繊維質で堅いものは、炊飯器の圧力と高温蒸気で中までしっかり火が通り、美味しく仕上げることが出来る。炊き込みご飯に入っている調味料の塩気を吸って、具材自体も美味しくなるだろう。
出汁が取れる乾物
昆布、干しシイタケ、干し貝柱等の旨味が凝縮した乾物は大変いい出汁がとれるが、出汁が出て来るまで時間がかかる。この点炊き込みご飯ならじっくり炊飯することで米に旨味が移るので、ぜひ一緒に炊き込もう。
大きさや部位によって使い分ける具材
後述するが、魚介類は堅くなってしまうため後から混ぜた方が良いとされている。しかし鯛飯等、大きな一尾を丸ごと乗せたり、サンマのぶつ切りを入れる場合は最初から炊き込もう。大きな生魚は加熱しても風味が損なわれにくい。また、肉類も脂肪が多い鶏モモ肉等は一緒に炊いても大丈夫だ。
2. 具だけ別煮にする「混ぜご飯」

加熱しすぎると食感や風味が落ちる食材、煮崩れる食材等は出汁だけ取って後から乗せる。また、具沢山にしたい時も、炊きムラを防ぐために後から混ぜ込むようにした方が無難だ。
代表的なのは魚介類
牡蠣、海老、アサリ、脂肪分の少ない鶏肉、等々...ちょっと想像すると、加熱しすぎてパサパサの食感になったら残念な食材たちだ。これらの魚介類や肉は先に鍋等で出汁を取り、一度取り出しておこう。米を出汁で炊き上げ、ほぐしてから最後に盛り付ける時に具を乗せると見栄えも食感もいい。干し貝柱は一緒に炊き込み、生のホタテは出汁だけ取って後から乗せる。イメージが湧いただろうか。
具沢山にしたい時
炊き込みご飯の具は米の量の3~4割程度が最適とされている。ゴロゴロと大きめに切った具を沢山にしたい時は、炊きムラを防ぐために別煮にして後から混ぜた方がいい。また、ヒジキの煮物のように味をしっかりつけた煮物なら、炊きあがった白米に混ぜ込んだ方が、味が決まることもある。美味しくしたいからと詰め込み過ぎては失敗の元なので、そういった時は別煮で混ぜ込んでみよう。
3. 失敗してしまったら

最低限のリカバリーは可能なので、無駄にしないように気をつけよう。捨ててしまう前にぜひ試して欲しい。
芯が残って堅い
水分量が足りない時の失敗だ。目安として1合あたり50cc程の水を足し、全体を混ぜてからもう一度炊飯してみよう。平らな皿に移して水大さじ2程を回しかけ、ラップをして数分レンジ加熱するのもおすすめだ。
水っぽい
堅い時の逆に、水は加えずラップをかけずにレンジ加熱して水分を飛ばす。もちろん雑炊やリゾットにするのも手だ。
味が濃い
玉子かけご飯にしたり、雑炊やお茶漬けにしてみよう。野菜を足して味を調節し、チャーハンにしても再利用できる。
結論
炊き込みご飯自体は水加減さえ間違わなければ上手に炊くことが出来る。米にしっかり出汁がしみてどっしりした味わいになる「一緒に炊き込みご飯」と、具の食感や具そのものを味わいたい「後から混ぜご飯」。季節の食材で炊き込みご飯を作ろうと思ったら、一緒に炊き込むか後から乗せるか、はたまた混ぜ込むのか考えてみよう。加熱したらどんな食感になるのか想定してチャレンジして欲しい。