1. 松茸ごはんの特徴、歴史や由来

松茸は、きのこのなかでも独特な香りをもつのが大きな特徴だ。この松茸の香りを生かした料理が数多く考案され、松茸ごはんもそのひとつである。
■松茸の出汁と食感を楽しむ料理
松茸ごはんは、スライスした松茸と米を合わせて炊く料理。炊飯すると松茸から出た香りが漂い、食欲をそそる。また、松茸ならではのシャキシャキとした食感も楽しめる。一般家庭の食卓にあがることはあまりないが、産地の付近などの家庭では、旬に美味しい松茸が手に入ったら必ずといっていいほど松茸ごはんが作られている。
■松茸の産地・京都の郷土料理
京都では松茸の生産が盛んに行われてきた歴史があり、戦前は年間1,200t以上もの生産量を誇っていた。しかし、戦後になって松を燃料として利用しなくなると松林が放置されるようになり、松茸の生産量は落ち込んでしまったのである。その後、京都の松茸を生育させるための環境整備が進み、輸入された松茸が多くを占める現在でも、京都で松茸の生産が続けられている。京都だけでなく、松茸の旬である秋頃には松茸ごはんが全国各地の料亭で出されるようになった。
2. 松茸ごはんの主な使用食材、カロリー

松茸ごはんの主な食材は、その名の通り松茸と米である。ほかは調味料や酒、昆布出汁などのみが基本の材料だ。
■松茸ごはんは一膳あたり232kcal
茶碗一膳(159.8g)で計算した松茸ごはんのカロリーは、232kcalとなっている。食材別のカロリーは、米(61g)が218kcalで松茸(12.4g)が3kcal、調味料もそれぞれ3~5kcal。つまり、松茸ごはんのカロリーは米がほとんどを占めているといえる。松茸に限らず、きのこはカロリーがほとんどないため、体重制限中の人におすすめな食材なのである。
3. 松茸ごはんに含まれる栄養

松茸ごはん一膳あたりに含まれる三大栄養素は、たんぱく質4.51g、脂質0.62g、炭水化物49.54gとなっている。
■松茸ごはんは炭水化物に偏った料理
松茸ごはんだけの栄養を見ると、炭水化物が圧倒的に多いことがわかる。糖質も48.61gと高い。ごはんだから仕方ないのだが、松茸も炭水化物が最も多い食品のため、組み合わせるとどうしても偏ってしまうのだ。おかずや汁物でたんぱく質や脂質を補い、バランスを整える必要があるだろう。
■モリブデン、ビタミンDを含む
きのこにはビタミンDが多く含まれており、松茸も例外ではない。ただし松茸ごはんの場合、松茸の量はごはんに対して少ないためビタミンDの量も多いとはいえない。米にはミネラル類のモリブデンが多く含まれており、松茸ごはんにした場合も多く摂取できる。また、昆布出汁を使用する場合はヨウ素が多くなる。
4. 基本の松茸ごはんの作り方

高級な料亭で出されるイメージの強い松茸ごはんだが、作り方はとても簡単だ。いつものごはんに松茸と調味料を加えて炊くだけというシンプルな料理なのである。美味しく作るために次のポイントをおさえておこう。
■松茸は洗わない!
山の幸である松茸には、土などの汚れがついていることも多い。きれいに落としたいところだが、きのこは水洗い不要の食品。とくに松茸は、うっかり水で洗おうものならせっかくの風味が流れ出てしまうため厳禁だ。濡らして固く絞った布巾やキッチンペーパーで表面を軽く拭くだけでよい。石づきはこそげ落とすように削る。あとは、薄切りにしたり手でさいたりしてから炊飯しよう。
5. アレンジした松茸ごはん

松茸ごはんを作り過ぎたら、おじやや焼きおにぎりにリメイクするのもおすすめだ。また、松茸のみでシンプルに仕上げるのが最もおすすめだが、もの足りないという人には具材を追加したアレンジを紹介する。
■牛肉や鶏肉をプラス
松茸は牛肉や鶏肉とそれぞれ相性がよいため、食べごたえのある炊き込みごはんができる。
■人参や油揚げをプラス
炊き込みごはんによく使われる食材を追加して、五目御飯のようにする方法もある。さまざまな具材を加えると松茸の存在感は薄れてしまうが、彩りや栄養バランスはよくなる。
結論
京都産の松茸は、輸入松茸よりも濃くて上品な風味があるといわれている。旬の松茸の美味しさを余すことなくいただけるのが、松茸ごはんの魅力である。作り方がシンプルなのも、素材のよさを生かすためなのだろう。ただ、高カロリーではないものの糖質が高いため、ほかの料理と組み合わせて食べ過ぎに気をつけつつ楽しみたい。
(写真出展)
農林水産省 うちの郷土料理 松茸ごはん
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/matsutakegohan_kyoto.html
農林水産省 うちの郷土料理 松茸ごはん
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/matsutakegohan_kyoto.html
この記事もCheck!