1. みたまの特徴・歴史や由来

最初に石川県の郷土料理である、みたまの特徴・歴史や由来を紹介しよう。みたまとは黒豆(黒大豆)ともち米を蒸したおこわだ。その見ためから地域や人により「めだま」と呼ぶ場合もあり、漢字では御霊と表記することもある。ちなみに昔から石川県内では法事や建前(上棟式)の引き出物で贈るならわしがある。
小豆入りの赤飯は見ためが赤色で火事を連想させるため、建前の引き出物には適してないといい、黒と白のみたまを祝い膳にする風習が広がったようだ。同じ理由で赤い鯛の尾頭つきではなく、サバやアジのような青魚を用いるらしい。ちなみに黒豆は健康を意味し、床上げの際にふるまうこともある。
2. みたまの主な使用食材・栄養

次に、みたまの主な使用食材・栄養を紹介しよう。みたま作りに使用する主な食材は黒豆ともち米だ。黒豆とは黄大豆・赤大豆・青大豆など、多くの大豆の種類のひとつで表皮の色が黒色のものをいう。正式名称は黒大豆で、日本では古くから栽培されていた。さまざまな栄養素が含まれているが、黄大豆と比較するとタンパク質がやや多めで脂質は少なめ、黒い皮にはポリフェノールの一種であるアントシアニンという色素が含まれており、視覚機能を改善する働きがあるといわれている。
みたま作りに使用するもち米は餅・おこわ・赤飯に使用される米で、うるち米は半透明だがもち米は白く不透明だ。大きな違いはでんぷんの成分で、うるち米はアミロペクチンとアミロースがおよそ8:2で含まれているが、もち米はアミロペクチンのみが含まれており、アミロースは含まれていない。もち米に含まれる主な栄養素は炭水化物・タンパク質・脂質・カリウム・リンなどだ。
3. みたまの食習の機会や時季

次に、みたまの食習の機会や時季について紹介しよう。石川県ではみたまを新築の建前や慶事、弔事で食べることがあり、通夜では仏前に供えられ集まった人で分け合った。また先祖の供養のため盆の15日にも食べられている。ちなみに黒豆は健康を意味しているそうだ。
さらに江戸時代から原型があったという白山市美川地区の「おかえり節」では、みたまがふるまわれる。ほかにも5月に開催される伝統行事では神輿と山車が地区を巡行し、神輿のお還り(おかえり)のルートにあたる場所は「おかえり節」といい、地区一帯の家々で友人や知人を招いた祝宴が行われるが、そのときにもみたまが食される。現在では昔ほど各家庭で作る機会はないが、スーパーや直売場などで購入できる。
4. みたまの作り方

次に、みたまの作り方を紹介しよう。みたま作りに使用するのは、もち米・黒豆・塩・水だ。黒豆は水と塩にひと晩つけておく。豆がふっくらと戻ったら水気をきり、蒸し器で1時間ほどやわらかくなるまで蒸す。
もち米もひと晩水につけて水気をきり、2~3回ほど打ち水をしながら約45~50分蒸しあげる。あとは器にもち米を盛り付け、上に黒豆をのせれば、みたまの完成だ。
5. みたまの食べ方

次にみたまの食べ方を紹介しよう。紹介したみたま作りのほかに、しょうゆや砂糖で煮た黒豆を蒸したもち米に混ぜて食べる方法もあり、黒豆の素朴な風味や、もち米の食感が楽しめる美味しさだ。
また黒豆に味付けをしない地域もあれば、甘く煮込んで食べるところもある。金沢市では食べる直前に、みたまにきなこをかける食べ方が定着している。ちなみに黒豆ともち米を別々に蒸すのは、黒豆の色がもち米に移らないようするためだ。
結論
石川県の郷土料理である、みたまについて紹介した。祭り・建前・法事・葬儀の際に、赤飯の代わりにみたまを作る家庭もある。店舗でも販売されており、特別な食べ物ではなく日常的に食べられているようだ。黒豆ともち米をひと晩水につけておけば簡単に作れるので、機会があればぜひ作ってもらいたい。
(写真出展)
農林水産省 うちの郷土料理 みたま
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/mitama_ishikawa.html
農林水産省 うちの郷土料理 みたま
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