1. マグロの種類や見分け方
マグロとは、スズキ目サバ科マグロ属の魚である。世界中の海に生息しており、身体が大きいのが特徴で、体長3m、体重は400kgを超える大きさの種類も存在する。マグロは幅広く分布しており遊泳力に長けているが、常に泳いでいないと窒息してしまう魚だ。日本で食用できるマグロの種類数は7つだが、今回は、普段目にする機会の多いマグロの特徴や見分け方を英語名と一緒に紹介する。
クロマグロ(bluefin tuna)
ホンマグロとも呼ばれることが多いクロマグロ。日本近海では大きな種類で、黒っぽい色と短い胸びれが特徴だ。刺身にも適した色鮮やかな赤身をもち、旨みやほどよい酸味が楽しめる。また、サシの入ったとろけるような大トロが多いのもポイントだ。熟成させると、味わいが濃く柔らかい身になるといわれている。
ミナミマグロ(southern bluefin tuna)
クロマグロと同様に日本で人気の高いミナミマグロは、尾の付け根が少し黄色いマグロである。インドマグロともいわれ、南半球にのみ生息している。天然で捕れるだけではなく養殖も多く行われており、1年中流通している種類のマグロである。身は濃い赤で引きしまっている。ミナミマグロにも大トロがあり、濃厚な甘みやコクを楽しむことが可能だ。
メバチマグロ(bigeye tuna)
バチやメバチという呼び名をもつマグロで、丸く大きな目が特徴だ。遊泳層が深く、クロマグロの5~7倍の漁獲輸入量がある。手ごろな価格で購入しやすく、目にする機会が多いマグロだ。さっぱりとした味わいで、変色しにくく調理により色が鮮やかになるため、和えものやサラダに使用されることも多い。
キハダマグロ(yellowfin tuna)
名前の通り、黄色い肌やひれが特徴のマグロ。身が硬く調理しても崩れにくいため、刺身だけではなくステーキなどにもおすすめだ。脂が少ないためクセを感じにくいのがポイントで、あっさりとした上品な味を楽しめる。温熱帯域に生息するマグロであるため、日本近海では九州地方などで水揚げされることが多い。
ビンナガマグロ(albacore)
ビンチョウマグロやトンボともいわれ、ツナ缶の原料として使われている。小型で胸びれが長く、脂が少なく柔らかい身が特徴だ。脂ののったビンナガマグロはトロのような食感になるため、美味しい時期に冷凍されて流通することが多い。回転寿司などでもよく見かける、比較的安価なマグロである。
2. マグロの種類による旬の違い
マグロの旬は、種類によって異なる。主に春や夏に美味しい種類と、秋・冬にかけて脂がのる種類に分けられるため、主なマグロを季節ごとに分類して紹介する。
春~夏
春先に旬を迎えるのはミナミマグロである。マグロは寒い時期に脂がのる種類が多いが、ミナミマグロは南半球に生息しており、日本の気候とは逆になり旬が4月以降になるのが特徴だ。ほかにも、キハダマグロも暖かい時期に旬を迎え、6~11月が美味しいといわれている。また、春先に日本の西部で捕れるキハダマグロは質のよい脂がのり、ねっとりとした食感が楽しめるそうだ。
秋~冬
秋以降が旬のマグロは、クロマグロ・メバチマグロ・ビンナガマグロだ。クロマグロは12~1月が美味しい時期だといわれているが、産地によって旬が異なる場合もあるようだ。メバチマグロは秋口に旬を迎えるとされている。ただし、回遊するコースによっては4~5月に旬がくるため、1年に2回の旬を迎える種類のマグロだ。ビンナガマグロの旬は冬といっても8~12月と幅が広く、ほぼ通年漁獲されるのが特徴である。
3. 寿司ネタのマグロの種類・値段順ランキング
寿司ネタの人気ランキングでも上位に入るマグロは、種類によって値段に差がある。漁獲量の少ない種類は高値で取引され、流通しやすい種類のマグロは安く手に入るため、食べるときに違いがでるのだ。
相場の高いマグロの種類として代表的なのは、クロマグロである。仕入れ価格にもよるが、寿司1貫あたり約2000円ということもあるそうだ。ミナミマグロも高級で、クロマグロの半値くらいで取引されるとはいえ、料亭などで出されることが多いといわれている。マグロのなかでもバランスがよいのはメバチマグロである。大トロはないが食べやすく、クロマグロなどに比べ安値で売られていることが多いため、高いコストパフォーマンスが期待される種類だ。また、キハダマグロもメバチマグロと同じように手ごろな価格である。関西地方で好まれることが多く、デパートなどで見かけることがあるようだ。ビンナガマグロは加工品にも使われるほど流通量が多いため、安価でスーパーでも購入できる。脂がのったビンナガマグロはビントロという寿司ネタとしても愛される、親しみやすい魚だ。
4. マグロの種類別のカロリーや栄養
マグロには部位によってトロや赤身などの種類があり、含まれる栄養も部位によって異なる。赤身には質のよいタンパク質が多く含まれているのが特徴だ。タンパク質は、消化酵素によってアミノ酸に分解されて体内に吸収され、皮膚や筋肉などを形成したり、維持したりする。タンパク質は、マグロなどの魚介類に多く含まれているセレンと結合しやすいのがポイントだ。セレンは抗酸化作用があり、老化防止や免疫力の向上に役立つといわれている。
また、マグロは赤身の部分だけなら比較的ヘルシーな食材だといわれている。しかし、マグロの種類によってカロリーが異なるため注意が必要だろう。100gあたりのカロリーを種類別にすると、クロマグロ125kcal、ミナミマグロ95kcal、メバチマグロ130kcal、キハダマグロ112kcal、ビンナガマグロ117kcalだ。赤身部分のカロリーだが、脂肪分の多いトロ部分になると、さらにカロリーは上がる。体重制限中にマグロを食べるなら、カロリーの低い種類の赤身部分を選ぶのがおすすめだ。
結論
マグロにはタンパク質など身体の基礎となる栄養素が含まれている。しかし、種類によってさまざまな特徴がある。色や食感だけではなく、カロリーや値段も大きく異なるため、好みや食べ方によって違う種類のマグロを選ぶのがよいだろう。
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