1. フルーツ大福とは
江戸時代の大福
そもそも大福は、大福餅を略した言葉である。江戸時代にはすでに大福餅が存在していたといわれているが、実はいまのそれとは少し違う形だったよう。江戸時代の大福餅は、鶉餅とも呼ばれており、塩味の餡を包んだ餅だったそう。鶉餅の別名からもわかるように鶉のような形をしており、腹の部分がふくれたその形や、食べると腹が膨れることから、腹太などという別名もあったらしい。江戸の街では大福餅を売り歩くものがおり、祝い事などに活用されていたようだ。大福餅の屋台もあったと記録されており、人々のお腹を満たしてくれる存在だったことがうかがえる。
甘い大福
和菓子として大福が誕生したのは、さらに後になってから。砂糖は高級品であったことも関係しているのかもしれない。江戸時代には餅を使用したものもあったようだが、いまの大福は餅粉を原料にしたものがほとんど。餅粉は求肥の材料にもなるので、求肥粉と呼ばれることもある。さらに甘いあんこが入っているのが定番だ。もちもちの食感に魅了される人が多く、シンプルなものはもとより、豆大福のようなアレンジバージョンも人気が高い。
フルーツ大福
フルーツ大福の王道といえば、いちご大福であろう。大福の中にいちごを入れたもので、甘酸っぱいいちごとあんこの相性がよく、とにかく人気が高い。好きな人も多いことであろう。そんなフルーツ大福が、いま、進化を遂げている。いちごに限らず、さまざまなフルーツを使った大福が登場しているのだ。特筆すべきは、フルーツをまるごと使ったもの、そしてフルーツの甘さを生かすよう白あんを使ったものが多いことだ。
2. フルーツ大福が人気の理由
老舗のフルーツ大福
差し入れやお使い物の定番「果匠 正庵」のあんず大福は、ジューシーな杏があんこと一緒に包まれているものだ。ここ数年で登場したものではなく、10年以上前から販売されている名品だ。いちご大福然り、実は以前からフルーツ大福は存在をしていた。
映える断面
フルーツ大福が人気を集めることになった理由はいくつかあるが、美しい断面が映えるという点は外すことができないだろう。数年前、カットした際に断面が美しいサンドイッチ、通称わんぱくサンドがブームになったときに生まれた言葉、萌え断。フルーツ大福もまさに萌え断なのである。和菓子好きにはもちろん、これまで和菓子にはあまり興味をもっていなかった世代や人にも一気に広まった感がある。
需要と供給
フルーツ大福は、大きすぎないサイズ感も人気を集めるゆえん。また、自然の甘みを生かしたものが多く、甘いものが苦手という人にもすすめやすい。多くの専門店でオンラインで注文、配送ができる点にも注目。外出は控えたいけれど、美味しいものを食べておうち時間を充実させたい、そんな2020年らしい需要にぴったりとハマったといえそうだ。
3. おすすめのフルーツ大福店
果実の福
フルーツ大福は、専門店が数多く登場している。ここからは、おすすめの専門店を紹介していこう。まずは、京都祇園の和菓子店「仁々木」から生まれたフルーツ大福専門店「果実の福」。愛らしいラッピングは、ギフトにしても喜ばれそうだ。もちもちの皮に包まれているのは、厳選したフルーツと熟練の職人が練り上げる北海道産の大手亡豆を使用した白あん、そしてホイップクリーム。チョコレートクリーム、ブルーベリーとヨーグルトムースなど、創意工夫をしたバリエーションがあるのも魅力。
弁才天
名古屋覚王山にある弁才天もフォトジェニックな断面が楽しめるフルーツ大福専門店。高級羽二重粉で作った品のいい求肥に包まれているのは、全国から取り寄せたこだわりのフルーツ。主役のフルーツがもつ甘さを引き立てるよう甘さ控えめな白あんのみを使用しているところもポイント。フルーツの美味しさを生かす皮とあんの黄金比率は、一食の価値あり!
養老軒
岐阜県にある養老軒は、フルーツがいくつも入った大福が人気。いちごとバナナ、栗に合わせたのは、老舗らしく丁寧に作られたつぶあん。さらにホイップクリームを合わせることで、和洋折衷の新しい美味しさを実現。そのほか、単一フルーツを使ったバリエーションもある。
結論
フルーツ大福は、大福の進化版ともいえる存在。映える断面と小ぶりで食べやすい大きさ、購入しやすい価格帯、オンラインオーダーができるなど、いまの気分にぴったりとハマったことで、一大ブームになっているようだ。まずはぜひ一度購入して食べてみることをおすすめする。その美味しさにハマる人も多いはず!
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