1. くるみには身体によい油がたっぷり詰まっている!

炒ったくるみ100g当たりには68.8gも脂質が含まれている(※1)。この数字から、くるみに含まれている脂質がいかに多いかが分かる。脂質が多い食品は身体に悪いと思われがちだが、含まれる脂肪酸の種類によっては身体によい影響を与える。ここではまずくるみに含まれる油について解説する。
くるみにはオメガ3系脂肪酸が含まれる
油(脂質)は脂肪酸という成分で構成されている。身体によい油と悪い油はどの脂肪酸が含まれているかによって判断することができる。くるみにはオメガ3系脂肪酸が多く含まれている。オメガ3系脂肪酸はn-3系脂肪酸と呼ばれることもある脂肪酸で、端的にいえば身体によい脂肪酸だといえる。そのため、オメガ3系脂肪酸が多く含まれるくるみは良質な油を含んでいるといってよい。
オメガ3系脂肪酸は摂取が推奨されている
オメガ3系脂肪酸は青魚にも多く含まれており、摂取が推奨されている。その理由には身体によいことももちろんあるが、人体に必要な脂肪酸であることも関係している。いくつかの脂肪酸は体内で作ることができるのだが、オメガ3系脂肪酸は体内で合成できない。そのため、食品から摂る必要があり摂取が推奨されているのだ。くるみ100g当たりにはオメガ3系脂肪酸が8.96gも含まれている(※1)ため、摂取には最適な食品だ。ただし、カロリーが高いため食べすぎには注意が必要な食品でもある。
2. くるみが酸化するとどうなる?油臭い場合は要注意!

身体によいオメガ3系脂肪酸がたっぷりと含まれているくるみだが、油が多く含まれているからこその問題もある。それが酸化だ。酸化とは油が空気中の酸素と触れて変化してしまうことを指す。
酸化するとくるみはどうなる?
くるみが酸化しても見た目は変わらないため、袋に入ったくるみが酸化しているかどうかを見極めるのは難しい。酸化しているかどうかを確認するときにチェックしてほしいのがにおいだ。くるみのにおいをチェックすることはあまりないかもしれないが、酸化している場合は嗅がなくても違いが一瞬で分かる。なぜなら油臭くなっているからだ。油臭いというのがいまいち分からない場合はペンキの臭いを想像してほしい。ペンキのようなにおいがした場合はくるみが酸化していると判断できる。
酸化したくるみは食べてもよい?
見た目は変わらず、においが油っぽいだけで食べても問題なさそうに思えるが、食べるのはあまりおすすめできない。酸化するということはにおいが油っぽくなるだけでなく、風味も落ちるからだ。食べると分かるが油臭い味になってしまい、くるみ本来の風味を味わうことはできない。そのため、油臭くなった時点でくるみを食べるのは諦めよう。酸化したくるみを無理に食べると体調を崩す危険もある。
3. くるみを油臭くしないための保存方法

油臭くなったくるみはそのまま捨てるしかない。しかし、油臭くなるのを防ぐことはできる。ここではくるみが油臭くならない保存方法を紹介する。
殻付きのくるみはそのままがベスト
くるみが油臭くなるのは酸化、つまり空気中の酸素に触れることが原因だ。そのため、くるみを空気から遮断すれば油臭くなるのを防ぐことができる。もっとも手っ取り早いのは殻付きのくるみを買うことだ。殻で包まれているため、くるみが酸素に触れるのを防ぐことができる。すぐに食べきる予定でないなら殻付きのくるみを買って、食べるときに殻をむくのがベストだ。
密閉がポイント
最近は殻をむいた状態のくるみが売られていることが多い。袋を開けない状態であれば酸化することはないが、開けてしまった場合はどんどん酸化が進んでしまう。そんなときは密閉できる袋に移し替えよう。袋を閉じるときにしっかりと空気を抜くのが重要だ。くるみを入れた袋は冷蔵庫に入れて保存すれば油臭くなるのを防げる。ちなみに、冷蔵庫にくるみをしまう際に注意すべきポイントがもう1つある。周りににおいの強い食品を置かないことだ。くるみはほかの食品のにおいを吸着することがあるため、油臭くならなくても別のにおいがしみつくことがある。置き場所には注意しよう。
結論
くるみに含まれる油にはオメガ3系脂肪酸が多く含まれている。オメガ3系脂肪酸は身体に必要な油であり、積極的に摂りたい油であるため、くるみに含まれる油は身体によい油だといえる。しかし食べすぎには注意が必要だ。油が酸化すると油臭くなり風味も落ちるため、保存する際は密閉かつ冷蔵庫で保存するようにしよう。できるなら殻付きのくるみを買うのがおすすめだ。
(参考文献)
(※1)文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
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