白魚（しらうお）とは？しらすや素魚（しろうお）との違いを紹介！

白魚（しらうお）とはシラウオ科に属する魚で、似ている魚にハゼ科の素魚（しろうお）がある。白魚は非常に弱い魚だが、素魚は強い魚で踊り食いが有名だ。白魚は漁獲がはじまる9月頃の体長は約4cmで、成長すると10cmほどになる。4～6月頃に産卵のため、内湾から湖沼や河川に上る。

特徴は魚としては非常に弱く、漁で網からあげるとほとんどが死んでしまう。生きているときは無色透明だが、死ぬと白色で不透明になり、刺身として食べられることが多い。目は小さいが口が大きく、腹に2列の黒い点があるのが特徴のひとつだ。

白子（しらす）とはイワシ類の稚魚の総称で、春に水揚げされるものを春しらす、8～10月に水揚げされるものを秋しらすと呼ぶ。一般的な食べ方は天日に干したしらす干しや、茹でる釜揚げしらす、海苔のように干した畳いわしのように加工されて食され、新鮮なものは生食で食べられている。さまざまな加工をされて食べることの多いしらすに対し、白魚は料亭や寿司屋などで提供される高級食材だ。

次に白魚の産地や旬の時期について紹介しよう。白魚の旬は2～4月で全国の沿岸に生息するが、産卵で川に上ってくる早春が旬といわれている。主な食用は白魚とイシカワシラウオの2種類だ。青森県の小川原湖や茨城県の霞ヶ浦、島根県の宍道湖のような淡水の影響を受けやすい汽水域で獲れるのが白魚である。

千葉県や福島県のような外洋に面し、淡水の影響を受けにくい海域で獲れるのがイシカワシラウオだ。どちらも味がよく高値で取り引きされているが、近年は内湾の自然破壊や護岸などで漁獲量は減少している。春を代表する魚だが年間を通して入荷されており、価格は安定してやや高値で、とくに旬には高価になる。

味の特徴はまったくクセがなく、旨みたっぷりで後味がよい。味わい方はまるごと食べられるので、先述したように刺身をはじめ、かき揚げ、唐揚げ、酢じめ、アヒージョ、卵とじ、佃煮、塩煮、吸物など、いろいろな料理で楽しめる。

白魚は網にかかり空気に触れると、すぐ死ぬほど繊細な魚だ。また、寄生虫の危険性もある。横川吸虫は鳥類やほ乳類が終宿主の人体寄生虫で、中間宿主である白魚のような淡水魚の生食を通じ、人に寄生することが知られている（※1）。そのため白魚は寄生虫の危険性があることや、水揚げすると死んでしまうので踊り食いでは食べられない。踊り食いできるのは先述した素魚という海に生息する魚だ。

白魚は水揚げ後に時間をおかず、鮮度がよいうちは生で食べることができる。しかし鮮度がよいものは手に入りにくいため、生で食べる場合は漁獲後すぐに冷凍された白魚を寿司で食べることが多いようだ。一方の素魚は福岡市西区の室見川では名物になるほど、踊り食いが有名である。ちなみに踊り食いとは器に水をはり、生きたままの素魚を小さな網ですくい、ポン酢や溶いたうずらの卵と一緒に味わう食べ方だ。

口の中でピチピチと動く食感を楽しめ、そのまま飲み込むとツルッとしたのど越しを堪能できる。また噛むとザクッとした食感のあとに、ほろ苦さやほのかな甘みが口の中に広がる。その味わいは素魚とも共通している。

魚体が小さくまるごと食べられる白魚の特徴や旬、産地、素魚としらすの違いについて紹介した。ひらがなで書くと「しらうお」。「しろうお」とよく似ているが、2つを見分けるコツは脂びれの有無だ。踊り食いができるのは素魚なので間違いのないよう気を付けたい。

（参考文献）
※1出典：茨城県「霞ヶ浦北浦産シラウオにおける横川吸虫寄生状況について」
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/suishi/kanri/kenkyuhokoku/documents/44-01.pdf